独立・開業・起業とは?起業までの道のり、支援制度
独立・開業・起業という言葉は、どれも似た意味を持っていますが、厳密な違いはお分かりでしょうか?今回の記事では、それぞれの意味を解説し、開業・起業をするための簡単な手順を見ていきます。
独立とは?
独立するということは、具体的にはどのようなことでしょうか?独立とは、会社などの企業に属することなく、個人でお店を開いたり、サービスを提供するために個人事業主として開業することを意味します。職種によっては、フリーランス、フリーランサーなどと呼ばれることもあり、会社に帰属せずに個人で運営している点では大きな共通点があります。インターネットが発達する前は、独立と言えば、実店舗で商品やサービスを提供するイメージが強くありました。現在は、ライターやエンジニアなど、自宅でできる仕事で独立する人が増えています。
個人事業主に人気の職種
2021年8月に、日本のフリーランサー400人を対象にして行われた調査によると、フリーランスの職種として最も多いのは以下の職種でした。
順位 | 職種 | 人数 |
---|---|---|
1位 | ライター(Web、キャッチコピー、ネーミング) | 233 |
2位 | デザイナー(Web、グラフィック、イラスト) | 28 |
3位 | エンジニア(IT、ソフトウェア、ロボット) | 17 |
4位 | データ入力・タスク業務 | 15 |
5位 | 翻訳家 | 10 |
開業とは?
開業とは、新しく事業を開始することを意味します。主に個人事業主が事業を開始する時に使われる用語で、法人設立とは異なります。スキルを活かしてサービスを提供する場合や、お店を開くなど、状況は様々です。講師、コンサルタント、飲食店運営など、職種は様々です。専門的な分野では、医師、弁護士、宅地建物取引士などが個人のクリニックや事務所を設立する場合も開業という扱いになります。
店舗経営に人気の職種
個人事業主として店舗経営をしたい人に人気の職種には以下のようなものがあります。楽器、語学、ヨガ、またはその他で得意の分野があり、かつコミュニケーション能力が高い人は店舗で講師として開業をすることも選択肢です。
美容系サロン運営
ネイル、エステなどの美容系の需要はいつの時代でも高いため、開業のニーズがある職種です。技術があり店舗さえ確保できれば、コツコツとキャリアを築いていけるでしょう。現在は、サロン用のスペースや設備などを貸し出すシェアサロンという施設もあり、個人事業主に有難い環境が整っています。
飲食店運営(カフェ・レストランなど)
近年は、ウェブサイトやアプリから支払いを済ませて、テイクアウトで注文を引き渡すスタイル(セルフオーダー)の飲食店も増えてきました。ライフスタイルの変化に応じ、昨今ニーズが高まっている職種です。
講師・インストラクター
専門的スキルやコミュニケーション能力が高い方は、音楽講師、語学講師、ヨガインストラクターなどの職種があります。自宅で開業できるものも多く、元手が少なくても開業できる職種の一つです。
お店を開業する方法
お店を開業するためには、基本的に以下のようなステップで進めていきましょう。
お店のコンセプトを決める
どのようなサービス、商品を、どのような人たちに提供するのかを明確にしておきましょう。
場所・物件を選ぶ
立地について調査をし、物件を探します。交通量はどうか、アクセスのし易さ、駐車場の有無など、来店に繋がる条件が揃っているかを確認しましょう。物件を決めた後には「不動産登記」を行い、自分がその建物の持ち主であることを証明するようにしましょう。
資金計画をたてる
成功への近道は、綿密な資金計画です。自己資金が足りない場合は、融資、補助金、助成金などの支援制度を受けられないかを検討してみましょう。毎月の売り上げや必要経費をまとめた「収支計画」を作成し、開業後のおおよその収益を把握しておくと、開業のための資金計画がより明確になるはずです。
開業届を出す
コンセプト、物件、資金など、すべての条件が整い、開業の準備ができた時点で開業届を提出します。提出方法は、税務署の窓口で直接提出する方法と、郵送で送る方法の2種類があります。
起業とは?
起業とは、新しい事業を起こすことです。開業と意味は似ていますが、一般的には、世の中の役に立つサービスや商品を提供していくのが起業です。起業する人のことを起業家と呼びます。現在は、インターネットさえあればサービスや商品を提供できる便利な時代になったため、起業をするハードルが低くなっています。とは言え、起業し成功するのは簡単ではありません。
起業、会社経営に人気の業種
インターネットを活用した業種は、必ずしも物理的なオフィスを必要とせず起業にチャレンジしやすい業種です。リモートワークの浸透で、従業員や顧客とオンラインでやり取りする働き方も増えています。
会社を設立し経営を軌道に乗せるためには、起業アイデアとその検証、経営スキルが非常に必要です。起業する分野は、医療、人材、美容、旅行などニーズの高い分野から、生活の困りごとを解決するニッチな分野まで、幅広い可能性があります。各分野とデジタル技術を掛け合わせ、ベンチャー企業から大企業へと一気に成長するケースもあります。
会社を起業する方法
起業するには、まずどのような業界で、どのような人達に向けてサービスや商品を提供していくのかを明確にすることが重要です。開業届や法人登記などの登録をする前に、起業する内容を定めておきましょう。
起業のコンセプトを決める
起業を成功させる秘訣は、事前のプランニングです。提供するサービスや商品が、社会の中でどのような役目を果たすのかを考えてみましょう。狙うべきターゲット顧客の特徴、サービスを提供する地域、なども重要な検討項目です。
開業届を出す
起業のコンセプトを明確にし開業の準備ができたら、開業届を提出します。郵送で税務署に送る、または直接出向いて提出することも可能です。開業届の申請方法、必要書類はこちらから確認できます。
商業登記・法人登記
商業登記は、会社名、住所や事業の目的などを法務局に登録する手続きです。法人として活動していきたい場合は、これらの登記を済ませましょう。
独立・開業・起業の支援制度
独立、開業、起業に際して、様々な支援制度が設けられています。支援を受けたい場合、以下のような選択肢があります。
国や自治体による支援制度
独立や起業のために国が提供している支援制度には、補助金や助成金があります。融資と違い、補助金・助成金は、原則的に返済不要という大きなメリットがあります。以下は、起業家が活用できる国による支援制度の例です。
- 経済産業省(経産省)系の補助金・助成金 (中小企業庁ホームページ)
- 厚生労働省系の補助金・助成金 (厚生労働省|事業主への支援、助成金等一覧)
- 自治体独自の補助金・助成金 (例:東京都創業NET|融資・助成制度)
商工会議所の支援制度
商工会議所では、特定創業支援事業という支援制度を提供しています。特定創業支援事業は、商工会議所主催の創業セミナーを受講することで、事業登録料の減額や各種支援金制度、融資制度の優遇が受けられるものです。創業セミナーの多くが、数千円程度の参加費で受講が可能です。
その他、起業のための資金を必要としている場合、商工会と商工会議所からの支援を受けることができます。起業者が利用できる補助金の中には、国や自治体が公募している「地域創造的起業補助金」があります。国の経済を潤す目的で提供されている「地域創造的起業補助金」は、起業の際の経費の一部を補助してくれる支援制度です。
また、「小規模事業者持続化補助金」は、すでに開業をしている事業者に用意されている支援制度で、販路のPR活動時に経費をサポートしてくれる補助金です。
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