公開日:2022/08/09
更新日:2023/01/16

開業届とは、新しく事業を開始する上で、事業用の事務所・事業所を新設・増設・移転・廃止した際に提出する「個人事業の開業届出・廃業届出」を意味します。

開業届の提出対象者

開業届の提出対象者は個人事業主だけではなく、フリーランスや会社員が副業で事業を行い、その事業を継続して行う予定がある場合は、開業届の提出対象者に当てはまります。開業届の提出に、事業から生じる収入の有無、所得額は条件になっていませんので、事業の開始、または事業所などの開設のいずれかに該当する場合は、たとえ収入がなくてもすみやかに提出しましょう。

開業届の入手方法と提出方法

開業届の届出書は、最寄りの税務署の窓口で入手できます。国税庁のウェブサイトからダウンロードして取得することもできます。

開業届は、事業を開始した日から1カ月以内に税務署長へ提出しなければならないと法律で定められています。提出期限が土曜日や日曜日、祝日などになるる場合は、その翌日が期限となります。

開業届は、次の3つの方法で提出できます。

  • 税務署の窓口に持参:最寄りの税務署の窓口に持参すれば、記入事項などをその場で修正できるので便利です。税務署の開庁時間である、平日の8時30分から17時までの間に行きましょう。開庁時間に間に合わない場合は、税務署の時間外収受箱に投函する方法もあります。

  • 郵送:税務署宛に郵送する方法です。

  • インターネット(e-Tax):国税庁のオンラインサービスであるe-Tax を使用して、インターネットで税務署に申請する方法です。

開業届の書き方と必要書類

開業届出書を記入する際に必要なものは、マイナンバー、事業所の住所、開業日などがわかる参照書類です。

1. 提出先と提出日

開業届を提出する管轄の「税務署名」と「提出日」を記入します。提出先は、納税地を所轄する税務署です。国税庁のウェブサイトで所轄の税務署を確認できます。

2. 納税地と住所

住所地、居所地、事業所のなかで、納税地に該当する項目を選択し「住所」と「電話番号」を記入します。住所地、居所地、事業所の違いは以下の通りです。 

住所地:実際に住んでいる、住民票と同じ場所
居所地:住民票の住所地ではない、一時的に住んでいる場所
事業所:事務所や店舗として事業を行っている場所

自宅とは別に事務所や店舗を置いて事業を行う人も、一般的には「住所地」で届出をします。

3. 氏名、生年月日、個人番号

事業者の「氏名」「生年月日」を記入し、押印します。マイナンバー(通知)カードに記載されている12桁のマイナンバー(個人番号)を記入します。

4. 職業、屋号

「職業」と「屋号」を記入します。「職業」は整体師やウェブデザイナーなど、具体的な職業名を記入してください。「屋号」がない場合は空欄でもかまいません。

5. 届出の区分、所得の種類

「開業」を選択し、「所得の種類」は「事業所得」を選択します。不動産投資がメインの場合は「不動産所得」を選択します。

6. 事務所を新設した日

「開業日」を記入します。開業日は自由に設定できます。

7. 開業に伴う届出書の提出の有無

青色申告承認申請書」も同時に提出する場合は、上段で「有」を選択します。下段は消費税課税事業であるかの確認です。

8. 事業の概要

イラストレーター、飲食店、美容院など、事業内容を簡潔に記入します。

9. 給料の支払い状況

青色事業専従者がいる場合は「専従者」欄に、それ以外の従業員がいる場合は「使用人」欄に人数を記入します。税額の有無とは、給与から源泉所得税を天引きする必要があるかどうかということです。給与の月額が8万8,000円以上の場合は「有」を選択します。従業員が一人もいない場合はすべて空欄となります。

開業届を提出するメリットとデメリット

開業届を提出するメリットは主に以下の3点です。

* 青色申告ができる(最大65万円の節税)
* 損失(赤字)を繰り越すことができる
* 30万円未満の固定資産を一括経費計上できる

青色申告ができる(最大65万円の節税)
開業届を提出する最大のメリットは、確定申告を青色申告できるようになる点です。青色申告では最大65万円の特別控除が受けられるので、確定申告や翌年の国民健康保険料を節税することができます。

損失を繰り越すことができる
青色申告では、損失を3年まで繰り越すことが可能です。たとえば、1年目で50万円の損失(赤字)で2年目に400万円の所得(利益)が出た場合には、350万円の所得として税務署に申告することができます。このように損失が出た場合でも、開業届を提出していれば節税により事業の負担を小さくすることができます。

30万円未満の固定資産を一括経費計上できる
10万円以上の固定資産(パソコン、冷蔵庫、エアコンなど)を経費計上する場合は、基本的に法定耐用年数に従って分割して計上する必要があり、これを「減価償却」と言います。青色申告では、購入した30万円未満の減価償却資産を一度に経費にできる特例があり、節税につながるメリットがあります。

開業届を提出する注意点は、以下の3点です。
* 青色申告承認申請書の事前提出が必要
* 失業保険が受けられなくなる
* 扶養から外れてしまう可能性がある

青色申告承認申請書の事前提出が必要
青色申告をするには、青色申告承認申請書を所轄の税務署に提出しておく必要があります。この申請書は、原則として開業日から2カ月以内に提出しなければなりません。

失業保険が受けられなくなる
開業届を提出した時点で、その人は失業者ではなく個人事業主として扱われます。失業保険は、失業者が次の仕事を見つけるまでのサポートを目的とした保険なので、個人事業主は支給の対象になりません。

扶養控除から外れてしまう可能性がある
社会保険の扶養控除の対象条件は、年間の合計所得が130万円未満の場合です。しかし、合計所得が130万円以内でも、開業届を出した場合には、扶養控除から外れてしまうケースもあります。

【関連サイト】
国税庁ウェブサイト|個人事業の開業届出・廃業届出等手続

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開業届に関するよくある質問

開業届とは何ですか?

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。個人が新規事業を開始した際や、事務所・事業所の新設や増設を行った際に税務署へ提出し、公に宣言する書類です。簡単に言えば納税のために「事業を始めました」ということを税務署に伝えるためのものです。

開業届はいつ提出しますか?

開業届は、事業を開始した日(開業日)から1カ月以内に、事業所を管轄する税務署へ提出します。開業日は個人事業主の場合、本人が「開業した」と考える日が開業日となります。提出期限が土曜日や日曜日、祝日などになる場合は、その翌日が期限となります。

開業届はどのような方法で提出できますか?

開業届は3つの方法で提出でき、最寄りの税務署の窓口に直接持参するか、税務署宛に郵送するか、または国税庁のオンラインサービスであるe-Taxからインターネットで税務署に申請します。税務署の時間外収受箱に自分で投函する方法もあります。

開業届を提出するとどんなメリットがありますか?

開業届を提出し、青色申告を選択すると、所得金額から最大65万円の特別控除が受けられます。また、赤字を3年まで繰り越して事業の負担を小さくする、事業用の銀行口座を開設する、30万円未満の固定資産を一括経費計上する、といったこともできます。さらに「開業届の控え」があることによって持続化給付金などを受け取ることも可能です。

開業届はいくつまで提出できますか?

開業届は、複数の事業ごとに提出する必要はありません。複数の職で収入を得ている場合は、収入のメインになっている職業を1つ職業欄に記入してください。または、収入のメインになる事業がなく、いずれの事業も同じくらいの収入を得ている場合は、収入の多い順に複数記入しましょう。

開業届の控えはいつ返送されますか?

開業届の控えは、管轄の税務署の窓口に開業届を直接提出した場合はその場で受け取ります。郵送した場合は、開業届提出からおよそ1週間後に返送されます。e-Taxで申し込んだ場合は開業届の控えはありませんが、e-Taxシステムから受信した受付通知を印刷するか、電子申請等証明書を使用する方法があります。

本ページは情報提供を目的としており、掲載している情報は記事更新時点のものです。法律、雇用、税務、その他経営に関する最新情報に関しましては専門家にご相談ください。

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