公開日:2022/08/09

領収証とは、会社や個人事業主が商品やサービスを提供した際、その対価として代金を受け取ったことを証明する書類です。支払った側にとっては領収書の存在により、代金が支払い済みであることを証明でき、二重払いや過払いを防ぐことができます。

法人や個人事業主は確定申告の際、売上金や経費を正確に把握し証明するのに領収書が必要になり、法人や企業では、内部不正を防止する役割も担います。経費精算の際、従業員に領収書の提出を義務付けることで、虚偽の経費請求などの不正を防ぐことができます。

領収書の種類

領収書には単票式領収書と複写式領収書の2種類があります。単票式領収書とは控えの残らない1枚のみの領収書です。文房具店やコンビニなどで購入できます。複写式領収書はカーボンなどによって複写するもので控えが残るため、売り上げや入金照合の根拠となります。電子帳簿保存法を適用し、領収書やレシートを電子保存することも可能です。

領収書の書き方

領収書に必要な6つの項目について基本的な書き方を見ていきましょう。最近ではインターネット上に領収書のさまざまなテンプレートがあります。それらをダウンロードして使用することもできます。

1. 発行日

領収書は金銭の授受を証明する書類です。実際に金銭の授受が行われた日付を記載します。

2. 宛名

金銭を支払った側、つまり領収書を受け取る側の正式名称を記載します。原則として、(株)のような省略文字を使わず、「株式会社」などの正式名称を記載しましょう。また、簡略化のため宛名に「上様」と記入する場合がありますが、この方法は金銭授受の事実関係が不明瞭になるため避けましょう。支払いを行った会社や個人の名前を正確に記載することを心がけましょう。

3. 金額

以下は、領収書の金額を記入する際の基本ルールです。領収書発行後の金額の改ざんを防ぐためです。

 ・金額を表す数字の前に通貨記号「¥」(円での支払いの場合)を付ける
 ・金額を表す数字の後ろに「-」と記載する
 ・金額を表す数字の3桁ごとに「,」を入れる(数字の前に「金」、数字の後に「也」でも構いません)

4. 但し書き

金銭の受け渡しが何のために行われたのか、何のための支払いなのか、サービスや商品の内容を具体的に明記します。

5. 領収書発行者の名称と住所

金銭授受の関係を明白にするために、金銭を受け取る側、つまり商品やサービスの提供者の名称と住所を記載します。

6. 領収書の受け取り金額が50,000円以上の場合は、収入印紙を貼付

受け取り金額が50,000円以下の場合は非課税ですが、50,000円以上の場合は、金額に応じ、領収書に収入印紙を貼る必要があります。この場合、不正防止のために、収入印紙と領収書をまたぐようにして押印(割印)または署名(サイン)する必要があります。

領収書と収入印紙

不動産売買契約や請負に関する契約書のように経済的利益の発生する取引用に作成された書類には印紙税が課されます。領収書も受取金額が50,000円以上の場合はこの対象になります。収入印紙とは印紙税を支払うために発行される証票のことです。

収入印紙を貼り忘れると印紙税脱税と見なされます。また、金額を間違えると罰則が発生する場合がありますので、取り扱いには注意しましょう。

印紙税額は以下の通りです。原則として消費税は含みません。本体価格のみで判断されます。

領収書の受け取り金額 収入印紙の金額
5万円未満 必要なし(非課税)
5万円以上100万円以下 200円
100万円超200万円以下 400円
200万円超300万円以下 600円
300万円超500万円以下 1,000円
500万円超1,000万円以下 2,000円

注)受け取り金額が1,000万円を超える売上金の税額は、「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」を参照してください。

【関連サイト】
国税庁ウェブサイト|No.7105 金銭または有価証券の受取書、領収書

【関連記事】
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領収書に関するよくある質問

領収書とは何ですか?

領収書とは、会社や個人事業主が商品やサービスを提供した際、その対価として代金を受け取ったことを証明する書類です。支払った側にとっては領収書の存在により代金が支払い済みであることを証明でき、二重払いや過払いを防ぐことができます。

領収書が必要な理由は何ですか?

領収書は金銭の授受が完了したことを証明する書類です。支払った側にとっては二重払いや過払いを防ぐことができます。法人や個人事業主は確定申告の際、領収書が売上金や経費を正確に把握し証明するのに必要な書類となります。法人や企業では、内部不正を防止する役割も担います。経費精算の際、従業員に領収書の提出を義務付けることで虚偽の経費請求などの不正を防ぐことができます。領収書を正確に発行することで取引先の信用を得ることにもつながります。

領収書とレシートの違いは何ですか?

小売店や飲食店などで発行されるレシートは領収書と性質が似ており、経費を計上する際に領収書の代わりになり得ます。発行元、発行年月日、金額、購入品明細が記載されていれば領収書として有効です。他にも「受取書」「預り書」「受領書」「領収証」または「代済」「相済」などの記載のある請求書や納品書も、領収書の代わりとして扱われます。

領収書のどこに印鑑を押印しますか?

領収書発行者の名称(会社名、個人事業主名など)と住所にかぶるように押印します。収入印紙が貼付されている場合は、印紙と領収書をまたぐように印鑑(割印)を押します。角印を使用し、シャチハタの使用はなるべく避けましょう。個人名の印鑑も使用可能です。

クレジットカード決済の場合、領収書は必要ですか?

クレジットカードを利用して決済が行われた場合、領収書が発行されず、利用明細書が発行されます。領収書の必要事項と同じ項目が記載されていれば、領収書の代わりとなります。クレジットカード決済の場合、店舗側に領収書発行義務はありませんが、ネットショップや実店舗では依頼があればサービスで領収書を発行することもあります。

領収書の控えはどのように取り扱いますか?

領収書は原本を金銭の支払者に渡し、控えが会社、個人事業主の手元に残ります。控えは会計、税務上の必要書類として大切に保管しましょう。書き損じた領収書は原本と控えをセットにして「書損」と記入するか、大きく斜線を入れて保存します。

法人の場合は、請求書や領収書、レシートなど税務関係の書類は7年間の保管が義務付けられています。欠損金額がある場合は保存期間が9または10年に延長されます。個人事業主の場合は5(白色申告)~7年(青色申告)の保管が義務付けられています。したがって、法人の場合は10年、個人事業主の場合は7年保管しておきましょう。

この保管期間は、領収書発行日ではなく、その年の確定申告提出期限の翌日から数えます。電子帳簿保存法により、領収書を電子データとして保存することも可能です。要件を満たす会計ソフトを使用して領収書を作成し、データ保存することができます。2022年1月に改訂された電子帳簿保存法では、電子取引に関するものについては用紙ではなく電子的に作成したデータを保存することが義務化されました(2023年12月31日まで猶予期間有り)。

領収書は医療費控除に必要ですか?

医療費控除の適用を受けるのに領収書の提出は必要ありません。代わりに医療費控除の明細書を添付する必要があります。ただし、医療費の領収書は5年間保存しておきましょう。これは、税務署から求められたときに提示・提出する義務があるからです。

【関連サイト】
国税庁ウェブサイト|電子帳簿保存法の概要
国税庁ウェブサイト|医療費控除に関する”医療費控除の明細書”の添付について

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