会計ソフトを変えたい、新しく導入したいと考えていても、どれがいいか良くわからないという人も多いのではないでしょうか。
今回は会計ソフトとは何か、会計ソフトを導入するメリット、スモールビジネスの経営者や個人事業主におすすめな会計ソフトについて説明します。
会計ソフトとは
会計ソフトとは企業の会計業務を効率化するためのソフトウェアで、日々の帳簿つけや決算期には決算書の作成を支援します。
中小企業庁が毎年発表している中小企業白書の2018年版では、中小企業の景況感は改善傾向にあるとしながらも生産性や人材不足を課題として指摘しています。「業務を効率化したい」「人手を補いたいものの人材がみつからない」などの課題を実感している経営者も少なくないでしょう。中小企業白書ではITの利活用を解決策の一つとして挙げ、1章を割いて現状を分析しています。
参考:中小企業白書 第2部第4章 IT利活用による労働生産性の向上(中小企業庁)
同白書によると財務・会計業務に関するIT導入比率は、企業の業務の中では比較的高く、75.3%の企業が導入していて、さらに72%以上が効果を感じています。また、会計ソフトに限ったものではありませんが、ITの導入や利用にあたっては、費用、効果、従業員が使いこなせるかが主な課題となるようです。
クラウド型サービスの登場
以前は会計をはじめ多くの業務分野でパッケージソフトウェアが主流でしたが、クラウドサービスの普及にともない、インターネット経由でサービスとして提供されるタイプの会計ソフトが増えています。処理内容は従来のソフトウェアと同様ですが、コンピューターにソフトウェアをインストールする必要がなく、従業員はパソコンやタブレット端末と、インターネットに接続できる環境さえあればいつでもどこでも利用でき、さらに自社でシステムを運用したりアップデートしたりする必要がありません。
参考:平成30年版 情報通信白書 企業におけるクラウドサービスの利用動向(総務省)
平成30年版情報通信白書をみると、中小企業に限った数字ではありませんが、クラウドサービスを一部でも利用しているという企業の割合は年々増え、2017年には56.9%となり、そのうち85%以上の企業が効果を実感しているといいます。全体の27.1%が給与、財務会計、人事に関するクラウドサービスを利用しています。クラウドサービスの利用が進む背景には、運用・保守の人材を確保する必要がないこと、いつでもどこからでもサービスを利用できること、システムの安定性を確保できることなどが主な理由として挙げられています。
ここまで会計ソフトの概要と、その新しい形態であるクラウドサービスの利用状況を見てきました。続いて会計ソフトを導入する具体的なメリットを確認してみましょう。
会計ソフトを導入するメリット
会計ソフトを導入すると、手作業の紙ベースの帳簿管理よりも、飛躍的にデータを処理しやすくなり、帳簿をつけたり決算書を作成したりするときのミスを減らすことができます。また、帳簿はつけているものの独自のエクセルファイルを駆使してデータを管理しているという場合でも、会計のノウハウが盛り込まれ、形式化された会計ソフトを利用するメリットは大いにあります。今後の消費税率の変更や軽減税率の導入などにも柔軟に対応できます。
さらにクラウドベースの会計ソフトであれば、ITの専門知識をもった人材を確保する必要がありません。また、会計業務にあたる従業員にとっても普段使い慣れたブラウザがインターフェイスとなるため、使いこなせるか心配する必要もほとんどありません。費用についてはクラウドサービスの普及とも相まって、多額の初期投資や利用料のかからないサービスも出てきています。
そのほか、税務申告にあたって、国税庁の電子申告・納税システムe-Taxに対応した会計ソフトを使用すれば、会計ソフトで作成したデータをもとに電子申告を行うこともできます。会計処理から税務申告まで一気通貫にできれば業務効率化につながります。
おすすめ会計ソフト6選
具体的にどのような会計ソフトがあるのか、おすすめの会計ソフトを紹介します(五十音順)。
エプソン財務応援 R4
情報関連機器大手のエプソンが提供する会計ソフトです。パッケージソフトウェアですが、ネットワーク基本ライセンスとユーザーを追加することでネットワークでも利用できます。導入事例には規模の大きな組織での事例もあり、価格は比較的高価で、Lite+プランで標準価格(税別)150,000円、年間保守料金(税別)30,000円です。60日間の体験版が提供されています。
勘定奉行
中小企業向の会計ソフトウェアを提供するオービックビジネスコンサルタントの会計ソフトです。パッケージ版の勘定奉行10とともにクラウドサービスの勘定奉行クラウドも提供しています。同社によると勘定奉行は業界No. 1の会計ソフトで、累計導入実績は56万社にものぼるといいます。価格はパッケージ版のスタンドアロン型で220,000円から、クラウドサービスで年額160,000円(税別)からです。パッケージ版もクラウド版も無料体験ができます。
freee
freee株式会社が提供するクラウド会計ソフトです。同社によると「クラウド会計ソフトのシェアトップ」とのようです。freeeに登録した事業所数は100万件、スマートフォン向けのアプリも好評なようです。導入事例では中小企業での豊富な事例が、freeeによってどれほど業務が効率化されたかとともに紹介されています。利用料金は法人で月額2,380円から、個人で月額980円からとなっています。すべてのプランで30日間限定の無料体験版が提供されています。
フリーウェイ経理Lite
株式会社フリーウェイジャパンが提供する会計ソフトです。パッケージソフトウェアでWindowsを使えるコンピューターが必要です。他の会計ソフトと違うのは有料版とほぼ同機能の無料版が存在し、利用期間無制限で利用できるところです。無料版は個人事業主と中小企業を、無料版の機能に加えてデータをインターネット上とパソコン内に保存できる有料版は月額3,000円(税別)で中小企業を対象としています。また、税理士などとデータを共有できるタイプもあります。
マネーフォワードクラウド会計
株式会社マネーフォワードが提供するクラウド会計ソフトです。会計事務所が顧問先に勧めたいクラウド会計ソフトNo.1とのことで、特に会計士事務所や税理士事務所との連携が密な場合に導入を検討してみるとよいかもしれません。導入事例では若いスタートアップが多く見られます。利用料金は法人で月額3,980円から、個人事業主で1,280円からとなっています。フリープラン、1カ月限定の無料体験版が提供されています。
弥生会計
弥生株式会社の会計ソフトウェアです。パッケージ版の弥生会計19、クラウド版の弥生オンラインが提供されています。パッケージ版、クラウド版ともにサポートの充実したプランが用意されています。パッケージ版の場合、保守サポートのついた初年度優待価格で39,800円(税別)から、クラウド版の場合最大2カ月のサポートがつくセルフプランは年額26,000円(税別)、契約期間を通してサポートがつき、仕訳・経理業務・マイナンバー相談のつくベーシックプランは年額30,000円(税別)です。パッケージ版は1年間無料、クラウド版は2カ月無料で体験できます。
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執筆は2019年6月5日時点の情報を参照しています。
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