これまで、クレジットカード決済時の本人確認方法として、「暗証番号(以下、PINコード)を入力する」あるいは「サインをする」の二つから選ぶことができました。後者はPINコードを忘れたときの救済措置として許容されてきましたが、2025年3月をもってPINコード入力をスキップしてサインで本人確認をする「PINバイパス」は原則廃止されます。
お客さまがレジに出向く手間を省くために、カードを一度お客さまから預かり、離れた場所で決済処理をした後にサインで本人確認をしている店舗もあることでしょう。PINバイパスの廃止後は、こういった対応もできなくなります。
この記事では、PINバイパス廃止の概要をはじめ、どのような店舗が影響を受けるのかやその対処法、また決済サービスの移行を検討する店舗におすすめの決済端末などを見ていきましょう。
目次
- PINバイパスとは
- PINバイパス廃止の目的、実店舗への影響
- PINバイパス廃止にどう対応すべき?対策を紹介
・(1) コストゼロで導入できる「Tap to Pay」を利用する
・(2) モバイル決済端末を導入する
・(3)オールインワンのモバイル決済端末を導入する - PINバイパス廃止対応ならSquareがおすすめ
- PINバイパス廃止についてよくある質問
・お客さまがPINコードを忘れた場合、どう対応したらいいのですか。
・訪日客にはどう対応したらいいのですか
・商品の返品・取り消しの場合も、サインは不要ですか?
・PINバイパス廃止後、サインが必要な場面はありますか?
PINバイパスとは
PINバイパスとは、クレジットカード決済時に暗証番号(PINコード)の入力を省略し、サインで本人確認を行うことを指し、「暗証番号入力スキップ機能」とも呼ばれています。この機能は、お客さまが暗証番号を忘れたときの救済措置として設けられてきました。
一定額を下回る場合、PINコードによる本人確認がいらないこともあるでしょう。こういった取引は「PINバイパス取引」ではなく、「PINレス取引(※)」といいます。この二つは別物であると理解しておきましょう。
※サインレス決済と呼ばれることもあります。
PINバイパス廃止の目的と実店舗への影響
PINバイパス廃止の目的
PINバイパス廃止の大きな目的は、不正利用の防止です。
クレジットカードの不正利用による被害額は年々上昇しており、2023年には過去最悪の540億円を記録しました1。
不正利用はネットショップなどの非対面取引2だけでなく、セキュリティー対策が不十分な実店舗でも起こりえることです。たとえば、不正な手段で手に入れたクレジットカードで決済し、「暗証番号を忘れた」と言ってサインをするケースです。不正利用が起きた場合、店舗が被害額を負担しなければいけないこともあります。こういった損失を被らないためにも、クレジットカード決済におけるセキュリティー対策は軽視できないものです。
PINバイパス廃止は対面取引での不正利用を防ぎ、カード保有者も、店舗運営者も安心してカード決済を受け付けられるよう「クレジットカード・セキュリティガイドライン」3にて2022年に定められたことの一つです。本ガイドラインは、クレジットカード取引のセキュリティー環境を国際水準に引き上げるべく設立された「クレジット取引セキュリティ対策協議会」が策定したもので、クレジットカード決済を取り扱う事業者が実施すべき取り組みをとりまとめています。
PINバイパス廃止の影響を受けるのはどんなお店?
以下のすべてに当てはまる店舗はPINバイパスの廃止に伴い、会計の流れを再検討する必要があります。
☑️据え置き型の決済端末を使用している
☑️お客さまから離れた場所で決済処理をしている
☑️サインでの本人確認を許容している
具体的には、お客さまが着席した状態で、あるいはほかの商品を見ながら会計が終わるのを待っていられるよう、会計の場面に以下の流れを採用しているお店です。
(1) カードを預かり、お客さまのもとをいったん離れる
(2) レジで決済処理をしてからお客さまのもとに戻る
(3) レシートに記載されている決済額をお客さまと確認したうえで、サインでの本人確認をお願いする
お客さまがわざわざレジまで出向く手間を省くために、このような流れを採用する飲食店、高級ブランド店、美容サロンは少なくありません。
ワイヤレスで持ち運べる決済端末を使用している店舗なら、お客さまのもとに決済端末を持ち運べば上記の流れはキープできますが、据え置き型の決済端末を使用している場合、PINバイパス廃止後は、お客さまにわざわざレジに出向いてもらうことになります。これまでの流れを損ないたくない場合には、ワイヤレス決済端末などへの移行が必要になるでしょう。
PINバイパスはいつ廃止される?
PINバイパスは2025年3月をもって原則廃止される予定です。決済端末を提供している会社は、それまでにPINコードの入力を省略できない仕様に変えることが求められています。そのため、すでに店舗に導入している既存の端末に関しても、PINバイパス自体ができない仕様に変わることが予定されています。設定が切り替わるタイミングやその方法については決済会社ごとに異なるため、詳細については利用中の決済会社に問い合わせてみるのが一番でしょう4。
PINバイパス廃止にどう対応すべき?対策を紹介
PINバイパス廃止に向けて準備が間に合っていない……!という店舗も少なくないかもしれません。すぐに導入できる対応策を三つ紹介します。
(1) コストゼロで導入できる「Tap to Pay」を利用する
Tap to Payはお手持ちのスマートフォンでタッチ決済を受け付けられる決済方法です。特別な端末は必要ないので、導入費用は無料。スマートフォンに必要なアプリをダウンロードするだけで始められます。
対応する決済方法はタッチ決済対応のクレジットカード、またはモバイルウォレットに登録されたクレジットカードのみになりますが、据え置き型の決済端末を使っていて「今すぐなんとかしたい!」とお悩みの事業者にとっては一番手早い方法です。
(2) モバイル決済端末を導入する
二つ目は、タブレットやスマートフォンなどとBluetooth接続して利用するモバイル決済端末です。手のひらにおさまる小型なサイズが特徴的で、クレジットカード決済はもちろん、電子マネー決済などに対応したものもあります。タブレットやレシートプリンターなどは別途用意する必要があります。
(3)オールインワンのモバイル決済端末を導入する
三つ目は、キャッシュレス決済機能・POSレジ・レシートプリンターを1台に凝縮した、オールインワンのモバイル決済端末です。お会計時に必要な機能が揃っているため、お客さまのもとにこれを1台持っていけば、カード決済も、PINコード入力も、レシート発行も可能です。端末にはタッチスクリーンがついているため、サイズはモバイル決済端末より大きめです。
PINバイパス廃止対応ならSquareがおすすめ
Squareなら上記で紹介した3通りの方法のどれにも対応できます。
決済サービスによっては導入までに数週間かかることもありますが、Squareは導入スピードのはやさが特徴です。手続きはオンラインで完結。審査はアカウント作成時に入力した情報をもとに行われ、結果は最短当日に登録したメールアドレスに届きます。
Tap to Payなら当日からタッチ決済が可能
Tap to Payの導入はとっても簡単です。Squareのアカウントを作成後、お手持ちのスマートフォンにSquare POSレジアプリをダウンロードします。あとは、下記の案内に従って設定をするだけ。早ければアカウント作成当日にタッチ決済を受け付けられるようになります。
▶️Android端末を使用する場合
▶️iPhone端末を使用する場合
5,000円以下でモバイル決済端末が導入できる
Square リーダーはお手持ちのスマートフォンやタブレットと組み合わせて使う決済端末です。費用は税込4,980円。手のひらにすっぽり収まるサイズで、低コストで導入できるモバイル決済端末を探しているビジネスオーナーにはピッタリです。
クレジットカード決済のほか、電子マネー決済やQRコード決済にも対応できるため、お客さまがPINコードを忘れた場合にはこれらのキャッシュレス決済方法を案内することもできます。
※年間キャッシュレス決済額が3,000万円未満の新規かつ中小企業の加盟店の場合、Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、Discoverの対面決済手数料を2.5%でご利用いただけます。年間キャッシュレス決済額が3,000万円を超える場合、すべての決済手段においてカスタム決済手数料をご利用いただける可能性がありますので、営業チームまでお問い合わせください。
Square ターミナルなら1台で決済もレシート発行もできる
タブレットやレシートプリンターを別途用意するのは面倒だな……という店舗におすすめなのが、Square ターミナルです。決済の受付もレシートの発行もたった1台で完結します。タッチスクリーン付きでPOSレジもあらかじめダウンロードされているので、届いたその日から使用できます。
Square リーダー同様、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済に対応しています。
PINバイパス廃止についてよくある質問
お客さまがPINコードを忘れた場合、どう対応したらいいのですか。
お客さまがPINコードを忘れた場合には、PINバイパス廃止の旨を案内したうえで、代替案として、PINコードを覚えているほかのカードはないか、また、自店舗で受け付けているほかの決済方法をお持ちでないかを確認してみましょう。いずれも難しい場合には、カード発行会社に問い合わせ、再発行の手続きをしてもらうようお願いしましょう。
訪日客にはどう対応したらいいのですか。
海外発行のクレジットカードの中には、PINコードによる本人確認に対応していないカードもあります。そうしたクレジットカードをご利用のお客さまに関しては、引き続きサインで本人確認を行うことになります5。
商品の返品・取り消しの場合も、サインは不要ですか?
不要です。Squareで受け付けたキャッシュレス決済の払い戻しは、POSレジアプリまたは管理画面上で行えます。払い戻し処理時にお客さまのサインは不要です。ご希望のお客さまには、払い戻しレシートの発行が可能です。払い戻しについて詳しくはこちらをご確認ください。
※交通系ICの電子マネーの払い戻しはできません。また、iD、QUICPayは一部決済額の払い戻しはできません。
PINバイパス廃止後、サインが必要な場面はありますか?
上記のようなの一部のカードを除き、サインが必要な場面はありません。サインの取得は任意になります。
カードも電子マネーも、マルチ決済端末はこれ1台
全画面タッチディスプレイ、レシート印刷機能、ワイヤレスで持ち運び可能、スタイリッシュなオールインワン決済端末「Square ターミナル」でキャッシュレス決済を始めよう。
お客さまがわざわざレジまで出向かなくてもいいよう、サインでの本人確認を許容していたお店は少なくないでしょう。2025年3月をもって、この対応はできなくなります。従来の流れを変えないためには、お客さまのもとに持っていけるワイヤレス決済端末を検討するなど、店内のどこからでもPINコードを入力できる体制を整えていきましょう。
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執筆は2024年6月12日時点の情報を参照しています。2025年4月15日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。