食品に関わるビジネスオーナーなら知っておきたい、食のフェアトレード

農林水産省の発表によれば、2017年度のカロリーベースでの食料自給率は38%でした。国内で消費されている食料の半数以上が輸入に頼っていることがわかります。

参考:日本の食料自給率(農林水産省)

コーヒーや砂糖、チョコレート、果物、野菜など、日頃から私たちは多くの輸入された食品を口にしています。消費者だけでなく、食べ物を提供する飲食店や小売店の経営者としては、お店で扱っている食品がどこから来て、誰の手によって生産されているのか、気になることも多いのではないでしょうか。

今回は食にまつわるフェアトレードについて紹介します。

フェアトレードとは

フェアトレードは、日本語では「公正な貿易」と訳されます。具体的には生産者に対して公平な条件のもとで、適切な価格で購入者が製品を購入することを指しています。搾取されがちな発展途上国の生産者の自立と環境改善を目的としてもので、1960年代にはヨーロッパでフェアトレードを専門とする団体が設立されています。

日本でもフェアトレードの仕組みに共感し、フェアトレード食品を扱う企業や飲食店が増えています。また、「フェアトレードタウン」と呼ばれるフェアトレードを推進している自治体もあります。2011年に日本初かつアジア初のフェアトレードタウン認定を受けたのが熊本市です。その後、名古屋市や逗子市、浜松市がフェアトレードタウンに認定されました。

参考:フェアトレードタウン(特定非営利法人フェアトレード・ラベル・ジャパン)

alt text

フェアトレード商品を扱うメリット

フェアトレードはヨーロッパで始まった国際的な取り組みです。欧米を中心にフェアトレードの取り組みは広がっていますが、日本でも最近ではスーパーマーケットなどでフェアトレードマークのついたバナナやチョコレートを見かけるようになりました。国際的なフェアトレード団体Fairtrade Internationalが2016年に行った報告によれば、フェアトレードの認証を受けた商品の市場規模は世界で約9,470億円に達しています。日本の市場規模は113億円と全体の1%程度ですが、年々増加しています。

参考:2016年 国際フェアトレード認証製品の世界市場規模発表 78億ユーロへ(特定非営利法人フェアトレード・ラベル・ジャパン)

お客様に出すコーヒーの豆、料理に使う食材やお店で販売する加工食品を選ぶ際に、フェアトレード商品を選択するメリットは何でしょうか。もちろん、フェアトレード商品の流通が増えることは、公正な取引の促進や環境保護につながります。ほかにも以下のようなメリットが考えられます。

差別化
フェアトレード食品を扱うことは、他社や他店との差別化にもつながります。たとえば、美味しいコーヒーと季節の果物を使ったスイーツを売りにしているカフェなら、内装やスタッフが身に着けるエプロンにこだわるのと同じように、仕入れるコーヒー豆、ケーキに使うチョコレートや砂糖もフェアトレードのものにすることで、生産者や地球環境にも配慮しているお店だということがお客様に伝わります。

生産者支援
フェアトレード食品を扱うことで、間接的に生産者のサポートにつながります。フェアトレード食品が普及することで生産者の収入は増え、より高品質な食品づくりのための技術や環境に投資できるようになります。結果的に、安定的に高品質な食品が市場に出回ることになります。

また、フェアトレードでは児童労働や強制労働などの人権問題の解決も目指しています。生産者に適切な報酬が支払われることで、労働環境が改善され、コミュニティ全体の発展にもつながります。

SDGs経営
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と呼ばれています。2015年の国連サミットで採択された2016年から2030年までの国際的な目標です。SDGsを戦略的に取り入れているかどうかで、投資家や消費者の評価が変わるといわれるほど、国際的に重要視されている目標です。フェアトレード食品を扱うことは、SDGsへの取り組みの一環になります。

SquareのPOSレジなら高機能なのにずっと0円

キャッシュレス決済、在庫管理、顧客管理、スタッフ管理など、店舗に必要な機能をすべて搭載

alt text

フェアトレード食品を扱う際の注意点

フェアトレード食品を採用する前に、注意しておきたい点も把握しましょう。

フェアトレードの基準が曖昧である
フェアトレードを認証団体は世界中に複数存在しています。国際的な認証団体として国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)がありますが、団体を通さず生産者と企業もしくは飲食店などが直接フェアトレードを行うケースも少なくありません。そのため、国際的な統一がなされるにはまだ時間がかかりそうです。

消費者の理解が必要な場合もある
フェアトレードが始まったヨーロッパと比べ、日本ではまだまだ普及が遅れており、フェアトレードという言葉を初めて聞くお客様や、よく知らないというお客様も存在します。

今まで扱っていた食品をフェアトレードのものに変更したときや、新しく扱うときにはお客様への周知が欠かせません。中には、これまでの商品と値段などが違うことに不満を覚えるお客様がいるかもしれません。お客様に理解してもらえるよう、丁寧な説明が必要だといえます。

フェアトレードは日本ではまだ認知度が低いかもしれませんが、SDGsを含めた国際的な流れを見れば、日本でも今後普及していくことが予想されます。いち早くフェアトレードに取り組んでみませんか。

関連記事:
「食」に関わる事業者なら知っておきたい!ベジタリアンとビーガンの違い
実店舗にクレジットカード決済を導入するメリット
ネットショップで食品販売をする上で知っておきたいこと

執筆は2019年6月3日時点の情報を参照しています。
当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。
Photography provided by, Unsplash