美容院、カフェ、クリニック……いつか自分がオーナーになって店を開きたいと願う将来の経営者も多いことでしょう。「どのような準備をすればいいのかわからない」「何から準備をすればいいのかわからない」という人のために、今回は新規開店の際に必要なコンセプトの決め方、資金の準備方法、宣伝のやり方に焦点を当てて解説します。
店舗のコンセプトを決める
コンセプト(concept)とは、日本語で「概念」や「考え」を意味します。店舗のコンセプトという場合は、「その店舗を作っていくにあたって土台になる考え方やイメージ」を指します。客層や立地、商品・サービス、オリジナリティなどの複数の観点から自分が理想とする店舗のコンセプトを決めることで、店名や開店時間、価格設定、内装といった、さまざまなことを決めるときの軸となります。また、コンセプトがはっきりしていると、資金調達の際に求められる事業計画書などの作成が容易になります。
1,どんな客層か
メインとなる客層の年齢や年代、性別だけでなく、単身者かファミリー層か、どのような職業についていて、どのくらいの収入があり、どのようなライフスタイルなのかを可能なかぎり明確に想定します。ターゲットに想定する客層が何時ごろに、どのような動機で来店するのか、来店のタイミングが平日なのか週末なのかなども想定しておくと、ターゲットのイメージがより具体的になります。マーケティングに欠かせない、ペルソナの設定とはでは、具体例をあげながらターゲット設定について説明しています。参考にしてください。
2,どこに出店するか
ターゲット層と同様に、立地についてもイメージを明確にしましょう。住宅街、オフィス街、学生が多いエリア、商業エリア、ファミリー層が多く訪れるエリア、駅から近いのか郊外なのか、静かな場所なのか、週末はにぎやかな場所なのかなど具体的に考えましょう。周囲の環境や雰囲気だけでなく、物件のタイプや階数、賃料などの条件についてもイメージしてみます。新規オープンも店舗拡大も!成功するための立地条件も読んでみてください。
3,何を売るのか
販売する商品やサービスにおいて主力となるものを決め、その特徴を明確にしましょう。価格や提供方法などについてもイメージを固めます。商品やサービスの訴求ポイントを早い段階で言語化しておけば、チラシを準備したり広告を出したりするときに役立ちます。
4,差別化できる「売り」は何か
同業他社との差別化を図るため、自店舗ならではの「売り」を考えましょう。バーならハッピーアワーやピアノなどの生演奏を取り入れる、歯科クリニックなら子どもに小さなプレゼントを用意する、カフェならオーガニック食材を使用する、クリーニング店ならポイント割引制度を提供するなど、ライバル店との差をつけリピート客を増やすための具体的な工夫が必要です。
資金を準備する
資金調達についても考えましょう。新規開店に必要な費用として、家賃や保証金、居抜き物件の造作譲渡費用などの物件取得費用、内装・設備費用、仕入れ代金や人件費などの運転資金、広告宣伝費などがあります。商工会議所や自治体が提供している補助金制度などを使うことも、安定した経営の助けとなります。
小規模事業者持続化補助金事業
日本商工会議所による、小規模事業者の販路開拓や業務効率化を支援する補助金事業です。対象は、従業員数20人以下(宿泊・娯楽業を除く商業・サービス業が主な事業の場合は5人以下)の事業者で、事業を立ち上げた後の販促用チラシ作成や郵送費用、ネット広告費用、新商品の開発費用、販路開拓のために助言を受けた専門家への謝礼といった経費の3分の2、かつ50万円以下の補助が受けられます。申請には、事業支援計画書の作成・交付を地域の商工会議所に依頼する必要があります。
参考:平成30年度第2次補正予算 日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金
自治体の助成金制度
地元の産業振興などを目的に、独自の補助金や助成金制度を設けている自治体があります。たとえば、東京都では東京都内で創業を予定している人または創業してから5年未満の中小企業者などを対象に、賃貸料や人件費、広告費など創業にあたって必要となる経費の一部を助成する制度があります。対象と認められる経費の3分の2以内、かつ100万円から300万円の間で助成金が受けられます。申請の際に事業目的や事業の見通し、展開などについて記入して提出する必要があります。
2019年 補助金・助成金の最新情報まとめも参考にしてみてください。
宣伝方法を考える
宣伝方法には、ネット広告を出す、チラシを活用する、商品やサービスを実際に体験してもらう機会を設けるなどがあります。
1,Google マイビジネスに登録する
店舗の住所や開店時間、メニューなどのプロフィール情報を登録しておくことで、Google 検索やGoogle マップなどGoogleが提供するサービス上にお店の情報を表示させましょう。登録・利用は無料です。
たとえば、東京都港区のラーメン店を探したいとき、インターネット上で「港区 ラーメン」と入力して検索します。これをローカル検索といいます。Googleが2014年に発表した調査では、消費者5人のうち4人がローカル検索を行っています。中でも、スマートフォンで店舗の住所や開店時間などを調べるローカル検索を行った消費者の50%がその日のうちに検索した店舗を訪れているそうです。
参考:
Google マイビジネスについて(Google)
Understanding Consumers’ Local Search Behavior May 2014(Google)
2,チラシを活用する
チラシを配布する方法には、ポスティング(投函)、ハンディング(手渡し)、新聞折り込みの三つがあります。どこで、誰に、どのように配布するかを決めるときに役立つのが、ターゲットとして定めた客層です。ファミリー層がターゲットならば、住宅街でポストに投函する方法や新聞折り込みが有効かもしれませんし、ビジネスパーソンや学生がターゲットならば駅前やオフィス街で通勤・通学の時間帯に手渡しする方法が有効かもしれません。効果的なチラシの作り方については、広告費を無駄にしないチラシ集客のコツを参考にしてください。
3,プレオープンも宣伝のチャンス
本オープンの前に、商品やサービス、店舗の雰囲気を体験してもらうプレオープン営業や内覧会を行いましょう。フルコースを提供するフレンチレストランであれば、気軽に味を知ってもらうために、リーズナブルなランチを提供するプレオープン営業はいかがでしょう。クリニックであれば、近隣住民にクリニックを開放し、設備をみてもらったり、医師と話をして人となりを知ってもらったりするだけでなく、看護師による血圧測定や診療科目に関するクイズラリーを開催するなどクリニック内部の雰囲気をじっくりと知ってもらう工夫も効果的です。
コンセプトを固め、資金調達の目処が立ち、宣伝方法を具体的に決めたら、決済方法についても検討しましょう。2014年にSquareが行なった調査では、クレジットカード決済に対応していない店舗は、一カ月に1回以上クレジットカードを使うお客様のうち21%の来店機会を失っていることが明らかになりました。
多忙な経営者に導入のしやすさと資金繰りの面でぜひおすすめしたいのが、Squareのモバイル決済です。普段使っているスマートフォンやタブレット端末にIC カードリーダー(Square リーダー)をBluetooth接続するだけで、クレジットカード・QRコード・電子マネーでの決済を受け付けることができます。オンラインでの審査に通過すれば最短で即日から利用開始でき、決済手数料が引かれた金額が最短で翌営業日に振り込まれます。月額利用料金は不要で、必要になるのはカード決済端末(Square リーダー)の購入にかかる7,980円(税込)と決済時の手数料のみです。
売り上げの機会損失を防ぐためにも、新規開店の際にはSquareの決済も導入してみませんか。
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執筆は2019年6月18日時点の情報を参照しています。2022年9月15日に記事の一部情報を更新しました。 当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。
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