人ごとではない!黒字倒産の理由と対策法

倒産と聞くと、赤字になり経営を続けるのが難しくなることを想像するかもしれません。ところが見落とされがちなのは、実際に利益が黒字でも、資金繰りがうまくいかず手元の現金が不足し、ビジネスをたたまざるを得なくなる「黒字倒産」の可能性です。今回は、スモールビジネスにとって珍しくない黒字倒産の原因や対策法について解説します。

paola-chaaya-eAkjzXCU0p0-unsplash

47.7%もの事業が追い込まれる危機。黒字倒産の現状

どのようにして黒字でも倒産の危機に陥るのでしょうか。

わかりやすい例として、事業を成長させるために一気の多くの商品を仕入れたとしましょう。その際、商品は売れていたとしても入金は数カ月先となると、いざ仕入れ代金を支払う際やその他の費用を支払ううえで手元に現金がなく、支出が賄えないという事態になりかねません。結果として下記のようなことが起こり得ます。

・従業員へ給与の支払いが滞る
・販売促進コストを割くのが難しくなる
・取引先への支払いが間に合わず、信頼関係が薄れてしまう

上記による悪循環から、倒産に追い込まれてしまうことが考えられます。実際に起業したばかりのスモールビジネスの約6割は、資金繰りを課題と感じていると報告しており、東京商工リサーチが発表した2018年「倒産企業の財務データ分析」調査からは、47.7%の企業が黒字倒産していることがわかっています。

参考:
47.7%が黒字倒産(2018年)、人件費上昇が収益悪化を加速(2019年2 月15日、Yahoo!ニュース)
freee、中小企業の資金繰りを解決する「資金繰り改善ナビ」–残高予測や資金調達も(2019年6月25日、CNET Japan)

Square 請求書なら、作成からオンライン送信まで簡単スピード対応

請求書の作成、送信、支払いまでの流れが簡単に。自動送信、定期送信など便利機能も無料。

adeolu-eletu-DqWEAOHsAvc-unsplash

黒字でも倒産してしまう原因と対策

「黒字=経営が順調」と思いたいところですが、倒産に至る起因を見落としてしまえば黒字でも倒産しかねません。ビジネスをするうえで押さえておきたい、黒字倒産を招く原因を詳しく見ていきましょう。

1, 利益だけで会社の状況を判断している

Profit & Loss Statement(P/L)としても知られる損益計算書をもとに会社の状況を判断していませんか。帳簿上での利益が黒字の場合、手元に現金がないことを見落としてしまいがちです。

損益計算書からは今期の利益が確認できますが、ここには入金予定の売り上げも含まれるため、全てが手元にあるキャッシュとは限りません。手元にどれだけの資金があるかは、キャッシュフロー計算書から、キャッシュの流入・流出を確認する必要があります。最近では便利なクラウド会計ソフトなども誕生していることから、いずれもオンラインで簡単に作成することができます。

2, 在庫を抱えすぎている

売れると思い、多めに商品を仕入れたものの、期待通りの売れ行きが見られず、在庫として残ってしまったことはありませんか。品切れとなれば販売のチャンスを失ってしまうので、在庫を十分に抱えておきたいと思うのは当然のことですが、スモールビジネスこそ資金繰りを考えたうえでの在庫管理をしておかないと運転資金が減り、それこそ黒字倒産になりかねません。

このような事態を回避するためには、リアルタイムで在庫の過不足を確認し、商品ごとの売れ行きが確認できるPOSレジを取り入れてみると、効率的に在庫管理ができるようになるでしょう。Squareでは、アカウントを作成するだけで、ブラウザからでもアプリからでも、無料でPOSレジ機能が使えるようになります。

3, 支払サイクルが整っていない

商品の仕入れ先に買掛金を支払うタイミングと、顧客から売掛金を回収するタイミングの循環も、注意を払いたい点です。

基本的には商品を仕入れてから取引先に代金を支払う(買掛金)期間を長く設けて、顧客から代金を回収する(売掛金)期間を短くすることがキャッシュフローの改善には有効とされています。

顧客からタイミングよく売掛金が回収できていないと、取引先に買掛金を支払わなければいけないときに、「手元にキャッシュがない」という事態になりかねません。お金の流入(キャッシュ・イン)と流出(キャッシュ・アウト)をタイミングよく行うことが、キャッシュを生み出すうえで大切といえるでしょう。

4, 売掛金を早期に回収する手段を視野に入れていない

現金支払いであれば、その場で売り上げを回収できますが、クレジットカード決済の場合、入金までにタイムラグが発生してしまうところがネックです。

少し前まではクレジットカード決済を取り扱う際に、クレジットカード会社や代行会社と契約を結び、決済代金の入金は月1回というのが一般的とされていました。ところが最近ではSquareのように、代表的なクレジットカードブランドが使えるうえ、最短で翌営業日に売上が入金されるサービスも誕生しています。キャッシュフローを改善させるためには、こういった決済額の入金が早いサービスを選ぶのも一つの手段でしょう。

一方で仕入れから商品として売るまでにタイムラグが発生する場合は、最短即日から数日で資金調達ができるファクタリングなども視野に入れてみるといいでしょう。顧客からすぐに回収できない代金の債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、手元に現金がある状態を作るのがファクタリングの仕組みです。手数料は発生しますが、運転資金がない状態を防げるのはもちろんのこと、銀行融資のように担保もいらず、入金までのプロセスも早いので、資金調達として考えられる方法の一つです。ファクタリングについてはこちらで詳しく説明しています。

5, 前金制を活用していない

注文が発生した際には予定通りに入金されることを願いたいところですが、キャンセルが入ってしまうなど、利益となるはずのものが損失に……といったケースも珍しくはありません。たとえば受注生産の商品を販売している場合、商品がようやくできたタイミングで顧客からキャンセルが入ることも考えられます。未入金トラブルは、資金繰りが難しいスモールビジネスであればなおさら避けたいところです。特に高額な商品の場合、前金をもらっておくことで回避することも大切です。

資金繰りにおいて「予測が難しい」「改善の手段がわからない」「調達にハードルがある」などはビジネスオーナーの悩みどころでしょう。こういった問題点に働きかけながら、「せっかく起業したのに倒産してしまう」という事態を防げるよう、上記対策を自社ビジネスに取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考:freee、中小企業の資金繰りを解決する「資金繰り改善ナビ」–残高予測や資金調達も(2019年6月25日、CNET Japan)

執筆は2019年7月25日時点の情報を参照しています。
当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。
Photography provided by, Unsplash