一般社団法人を設立するメリットと手続き、必要な書類や費用を解説

※本記事の​内容は​一般的な​情報提供のみを​目的に​して​作成されています。​法務、​税務、​会計等に​関する​専門的な​助言が​必要な​場合には、​必ず​適切な​専門家に​ご相談ください。

何かの​事業を始める​ために​法人を​設立しようと​思った​とき、​最初に​株式会社を​思い浮か​べる​人が​多いかもしれません。​しかし、​地域や​社会に​貢献する​ことを​第一の​事業目的と​して、​任意団体からの​法人化を​考えた​場合は、​一般社団法人と​して​法人を​設立した​方が​よい​ことも​あります。

今回は​一般社団法人に​ついて、​概要と​設立のメリット&デメリット、​設立の​流れなどを​紹介します。

目次


一般社団法人とは

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一般社団法人とは、​「一般社団法人及び一般財団法人に​関する​法律1」に​基づき設立された​法人を​指します。非営利団体であるため、たとえ利益が出たとしても分配はしないと定められています。

社団法人との違い

かつては旧民法34条に基づいて設立される「社団法人」という名称の法人が存在していました。しかし、2008年に新たな法律が施行されて社団法人という法人格はなくなり、本記事でご紹介する「一般社団法人」と「公益社団法人」に分かれるかたちとなりました。現在は社団法人という名称での法人格は新たに設立できなくなっています。

株式会社や合同会社との違い

​一般社団法人が株式会社や合同会社などと​違うのは、「営利を目的としていない」という点です。株式会社などが​「営利法人」と​呼ばれるのに​対し、​一般社団法人は​「非営利法人」と​呼ばれます。

非営利法人と​いうと、​「利益を​出しては​いけない」​「給与や​報酬を​もらっては​いけない」と​思われがちですが、​ここでいう「非営利」は​事業利益を​「分配しない」​ことを指しています。

たとえば、​株式会社なら​事業が​成功して​利益が​出ると株主に​分配できます。​一般社団法人では、​事業から​利益が​出ても、​出資者や​設立者に​配当と​して​分配できません。​出た​利益を​次年度以降の​活動の​ために​使うのが​一般社団法人です。

もちろん、​法人の​従業員が​労働に​見合う給与を​もらうのは​問題​ありません。​そのために、​有料サービスを​提供して、​利益を​出しても​よいのです。​逆に、​事業を​継続させる​ためには、​適正な​料金で​提供する​ことが​重要です。

NPO法人との違い

非営利法人には​「NPO法人」と​いう​選択肢も​あります。​NPO法人の​場合、​設立に​費用が​あまりかからなかったり、​補助金の​種類が​多かったりなどの​メリットが​ありますが、​活動内容に​制限が​あったり、​設立までに​時間が​​かかったりと​いう​デメリットも​あります2。​一般社団法人の​方が​設立に​必要な​時間が​短く、かつ​自由に​活動できる​ため、​最近では任意団体から​法人化する​際は、​一般社団法人を​選ぶ​事業者も​増えているようです。

公益社団法人との違い

一般社団法人と​似た​ものに​「公益社団法人」が​あります。​​公益社団法人は、​学術、​技芸、​慈善など​指定された​23種類の​公益に​関する​事業を​行います。​一般社団法人設立後、​活動に​ついて​第三者委員会に​よる​公益性の​審査を​受け、​行政庁から​公益認定されなければ、​公益社団法人には​なれません2。​税制などの​優遇措置は​多いのですが、​設立するまでの​ハードルも​高いのが​公益財団法人と​いえます。

一般財団法人との違い

「一般社団法人」の​ほかに​「一般財団法人」と​いう​形態も​あります。​その​違いは、一般​社団法人が​「人」が​集まって​何かの​事業を​行う​ための​法人であるのに​対し、一般​財団法人は、​お金や​土地などの​財産を​管理・運営する​ために​つくる​法人です。

一般社団法人になるメリット

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一般社団法人に​なる​メリットは、​大きく​分けて​四つ​あります。

1. 登記手続きが簡単

一般社団法人は、​NPO法人のように​認証制では​ありません。​法務局で​登記手続きを​すれば​設立できます1。​​設立時に​必要なのは​社員​(社員総会の​議決権を​持つ​人)​2名と​理事1名です。​理事と​社員は​兼任できるので、​最低2名いれば、​一般社団法人を​設立できます。​また、​資本金も​必要ないと​いう​メリットも​あります。

2. 事業内容に制約がない​

NPO法人が​事業分野が​特定されているのと​異なり、​分野に​関係なく​事業を​行えます。​行政への​活動報告義務もなく、​自由な​事業展開が​可能です。

3. 社会的な信用

法人格を​持つ​ことで、​任意団体や​個人と​して​活動していた​ときに​比べ、​定款を​作成して​手続きを​踏んで​設立した​組織と​いう​点で、​社会的な​信用が​上がると​考えられます。

4. 税制の​優遇

税制上、​一般社団法人は​「非営利型」と​「非営利型法人以外」の​2種類に​分けられます。​「余剰金の​分配を​行わない​ことを​定款に​定めている」​「主たる​事業と​して​収益事業を​行っていない」などの​要件を​満たす​ことで​「非営利型」と​なります。​この​場合、​物品販売業、​物品貸付業など​指定された​34の​収益事業以外の​事業で​得た​利益は​非課税に​なります3。​法人の​事業と​して​考えている​ものが​医療や​福祉などの​場合は、​一般社団法人と​して​設立した​方が​税制上の​メリットは​大きいと​いえるでしょう。

一般社団法人になるデメリット

メリットの​多い​一般社団法人ですが、​設立前に​知って​おきたいデメリットも​いくつかあります。

1. 社員総会開催の義務

​個人事業や​任意団体の​ときには​なかった、​定期的な​社員総会の​開催が​義務化されます。​総会では、​会計報告や​役員の​選任、​法人に​関する​重大事項を決定します。​社員総会は​議事録などの​作成・​保管が​求められます。

2. 会計処理の手間

会計処理時に、​営利事業なのか非営利事業なのか、​きちんと​分ける​必要が​あります。​一般社団法人の​メリットの​一つである​税制の​優遇措置を​受ける​ためにも、​営利事業に​関係する​費用なのか、​非営利事業に​関する​ものなのかが、​わかるようにしなければなりません。​株式会社などに​比べて、​会計処理は​複雑で​手間が​かかる​ことが​予想されます。

3. 社会保険の加入義務

一般社団法人は​株式会社同様、​社会保険の​加入義務が​あります。​常時雇用される​従業員だけでなく、​役員も​社会保険に​加入します。
一般社団法人を​設立する​前には、​メリットだけでなく、​法人化する​ことで​発生する​手間も​考慮した上で、​法人になるべきか、​任意団体と​して​活動するかを​判断する​必要が​あります。

一般社団法人設立の流れ

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一般社団法人を​設立する​際の​流れは、​以下の​通りです1

  1. 定款を​作成して公証人の​認証を​受ける
  2. 理事を選任する
  3. 理事が、設立手続きの​調査を​行う
  4. 法人を​代表する​人が​法定期限内に、事務所の​所在地を​管轄する​法務局または​地方法務局に​設立の​登記申請を​する

定款とは

定款とは、​一般社団法人の​名称や​目的、​所在地、​事業年度など、​法人に​関する​基本的な​決まりなどを​記載した​ものです。​定款は​公証人役場で、​公証人に​よる​認証を​受けなければ​有効に​なりません。​定款認証の​ためには​5万円の​手数料が​必要です4。​また、​一般社団法人の​法人印​(実印)も​必要なので、​作成して​おきましょう。

登記申請の書類

登記時には、​一般社団法人設立登記申請書を​提出します。​主な​添付書類は​以下の​通りです(理事会および監事を​設置する​場合)5

  • 登記すべき事項(オンライン申請もしくは​QRコードにて提出)
  • 定款
  • 設立時社員の​決議書
  • 設立時理事・監事の​就任承諾書および本人確認証明書​(人数分)
  • 設立時代表理事の​選定に​関する​書面
  • 設立時代表理事の​就任承諾書および印鑑証明書
  • 登記が​完了したら、​税務署、​都道府県税事務所、​市町村役場などに、​法人設立届を​提出します。​また、​従業員を​雇用する​場合は、​年金事務所などで​必要な​手続きをします。

設立費用

一般社団法人を設立する際は、2種類の費用が発生します。まずは公証役場で定款を作成(認証)する際に支払う「定款認証手数料」が50,000円と、定款謄本の取得代金が2,000円程度で、合計52,000円。そして、法務局で一般社団法人の登記申請する際に収入印紙で納める「登録免許料」が60,000円。合わせて112,000円が総費用としてかかります。

この費用は誰が設立した場合でも必ずかかる、法定費用となります。

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寄付の​受付や​会費の​回収には

寄付や​会費が​活動を​支えていると​いう​一般​社団法人は​少なく​ありません。​設立の​手続きに​合わせて、​寄付や​会費の​支払いの​仕組みも​整えて​おきたい​ものです。​金融機関の​口座に​振り込んで​もらうのが​よく​ある​方法ですが、​クレジットカードが​利用できると​さらに​利便性が​上がります。

たとえば、​Square リンク決済は​寄付や​物販、​会費のような​定期的な​支払いにも​利用できる​オンライン決済の​方法です。​ぜひ利用を​検討してみてください。

まとめ

社会的な​信用度が​得られ、​公益性が​高い​イメージの​ある​一般社団法人は​メリットも​多く、​任意団体から​活動を​拡大したい​場合は、選択肢の​一つに​なります。​この​記事を​参考に、​設立を​検討して​みてください。


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この記事は2018年11月21日に公開しました。2025年2月13日に更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash