※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。
仕事をする=どこかの会社に所属して会社員として働くこと、をイメージする人も多いのではないでしょうか。しかし、働き方は会社に勤めることだけではありません。会社員以外の働き方のひとつが、個人事業主です。組織に属さずに個人で仕事を受注し、報酬をもらうという働き方をしている人も少なくありません。
クラウドソーシング事業を展開するランサーズが行った「フリーランス実態調査2017年版」によると、フリーランスとして活動している人は推計1,122万人(労働人口の17%)、経済規模は推計18.5兆円という結果が出ています。もちろん、フリーランスとして活動している人の全てが個人事業主というわけではありませんが、組織に属さない働き方というのは決して珍しいものではないと考えられます。
今回は、個人事業主に焦点を当て、会社員との違いについて説明していきます。
参考:フリーランス実態調査2017年版(ランサーズ株式会社)
個人事業主とは
まず、個人事業主がどのようなものなのか確認していきます。個人事業主とは、会社などの組織に所属せずに、また法人も設立せずに、個人で働いている人を指します。自営業やフリーランスと呼ばれている人も、法人を設立していないのであれば、個人事業主であるといえます。
個人事業主といってもその職種は多岐に渡ります。企業と直接契約を結び仕事を行う人もいれば、個人で飲食店を経営している人もいます。また、芸術家やプロスポーツ選手、農家、個人タクシー、弁護士や税理士なども個人事業主だといえます。
個人事業主は所属する組織がないので、働く場所が決まっていない場合が多いです。もちろん、自分のお店があったり、アトリエがあったりするのであれば、そこが働く場所にはなりますが、働く場所を自由に選べるケースも少なくありません。
個人事業主として仕事を始める際には「個人事業の開業届出書」を提出します。簡単にいうと「今日から個人事業主として仕事をはじめます」ということを伝える書類です。
書類の提出期限は事業を始めた日から1ヶ月以内、提出先は事業を運営している所在地を管轄している税務署です。たとえば、自宅で事業を行うのであれば、自宅近くの税務署、自宅とは別の場所に仕事場を借りるのであれば、仕事場近くの税務署に提出することになります。
参考:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続(国税庁)
会社員とは
一方の会社員は、特定の会社と雇用契約を結び、その会社の従業員として働く人のことです。
会社という組織に所属する分、会社の方針などの影響を受けるため、個人事業主に比べると自由度は低いかもしれませんが、安定した収入や充実した福利厚生、チームで大きな仕事に取り組めるなどのメリットもあります。
また、税金や年金の支払いなどは会社の専門部署が行ってくれるので、自分の仕事に集中することができるのも特徴です。
仕事の受け方の違い
個人事業主と会社員には前述の通りいくつかの違いがありますが、大きな違いのひとつが仕事の受け方です。
会社員の場合、仕事は会社という組織が受注したあとに、上司などから割り振られ、担当する業務内容が決まります。もし、自分の担当している業務が終わったとしても、同僚や別の部署の手伝いなど何かしらの仕事が与えられるのが一般的です。会社という組織が仕事をしやすい環境を整えてくれるので、ある程度安定した中で仕事に取り組むことができます。
一方、個人事業主にとって、仕事は基本的に個人で獲得するものです。獲得の仕方は個人のつながりであったり、自分で企業に営業をかけたりとさまざまですが、いずれにしても自分でアクションを起こさなければ仕事はなかなかやってきません。会社員は一定の収入が毎月ありますが、個人事業主は仕事がないと収入はゼロになってしまいます。
これらの点を踏まえると個人事業主は決して安定しているとはいえません。もちろん、安定して収入を得ている人も数多くいますが、軌道に乗るまでは大変な道のりになることが多いようです。
近年ではクラウドソーシングやフリーランス向けのエージェントなどが登場するなど、仕事を見つけやすくなっています。個人事業主はこれらのサービスを活用するのも手段です。
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Squareでカード決済タイムマネジメントの違い
タイムマネジメントに関しても会社員と個人事業主とでは違いがあります。
会社員の場合、フレックスタイム制を採用している会社などもありますが、勤務時間が決められている場合が少なくありません。
しかし、勤務時間が決まっている分、土曜、日曜、祝日は必ず休みとなっていたり、シフト制で休みが決まっていたりなど休むタイミングも決まっています。このように会社員の場合、会社が決めた勤務時間の中で各仕事を行うことになります。
一方、個人事業主はタイムマネジメントを全て自分で行うことになります。まず、会社員のように勤務時間が決められていないので、いつ始業してもいいですし、いつ終業してもかまいません。依頼されている仕事に納期があれば、納期に合わせる必要はありますが、その過程についてはルールはありません。そのため、納期まで1週間の作業時間があったとしても1日で終わるのなら、別の仕事をすることも可能です。
休みに関しても仕事量を調整できるのであれば、自分で休日を決めることができます。このように自由度が高いのが個人事業主の特徴ですが、タイムマネジメントを誤ってしまうと納期ギリギリまで仕事に追われる、休みなく働くことになる、など大変な状況になる可能性もあるので、しっかりとコントロールする必要があります。
税金・保険における違い
次に、税金と保険の違いについて解説します。
税金の違い
会社員の場合、源泉徴収という形で毎月の給与から所得税と復興特別所得税が天引きされます。また、12月の年末調整で、税額の細かい調整を行えば納税は完了です。
一方、個人事業主は、毎年2月から3月に確定申告を行って納税することになります。事業で得た売り上げや経費など確定申告用の書類を提出し、納税しなければいけません。これらの書類はすべて自分の手で作成することになります。
もし、書類作成が手間であると感じるなら外注することもできますが、当然費用がかかります。
保険の違い
会社員と個人事業主とでは加入する保険が異なります。
会社員の場合加入するのは
・健康保険
・厚生年金
です。
企業によっては独自の健康保険に加入することもあります。保険料に関しては企業と従業員で折半することになります。また、年金に関しては企業が加入している厚生年金に対して毎月納付することになります。
個人事業主の場合、加入するのは
・国民健康保険
・国民年金
です。
国民健康保険は市区町村が運営する保険です。先ほどの健康保険の場合、保険料は毎月の給料に応じて決まるのに対して、国民健康保険は前年の世帯の所得に応じて保険料が決まります。
会社員から個人事業主になった初年度は、前年の会社員時代の世帯所得をベースに保険料が決まるので、事業が上手くいっていない場合は負担が大きくなります。
また、国民年金は、基礎年金と呼ばれるもので、保険料は定額となっています。厚生年金は、国民年金に上乗せして支払う年金です。厚生年金に関しては毎月の給与額によって保険料が異なり、また保険料は会社との折半になります。
今回は個人事業主と会社員の違いについて紹介しました。それぞれ特徴があるため、一概にどちらが良くてどちらが悪いということはありません。今回紹介したような違いがあることを理解した上で、自分に合った働き方を選択してみてはいかがでしょうか。
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執筆は2018年6月6日時点の情報を参照しています。
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