近年、外食産業では営業時間外の空いた時間を有効活用する方法として「二毛作ビジネス」が広がっています。
帝国データバンクの飲食店の倒産動向調査(2020年)によれば、2020年の1年間における飲食店の倒産件数は780件で、過去最多の水準となりました。業態別では「酒場・ビヤホール」と「日本料理店」は2000年以降過去最多を記録しています。飲食店の経営が決して簡単ではないことが分かります。
この記事では、飲食店経営を成功させる方法の一つとして考えられる二毛作ビジネスについて紹介します。
参考:飲食店の倒産動向調査(2020年)(帝国データバンク)
目次
- 二毛作ビジネスとは
- 二毛作ビジネスのメリット・デメリット
- 二毛作ビジネスを成功するためのコツ
・利益率が高いビジネスかどうか
・需要の見込みがあるかどうか
・追加コストを極力抑える
・既存のスタッフでも対応可能かどうか - 毛作ビジネスを始める前に知っておきたいポイント
二毛作ビジネスとは
二毛作ビジネスの「二毛作」とは、1年の間で時期を分けて、2種類の農作物を同じ田んぼや畑でつくる栽培方法を指しています。飲食業界では、同じ飲食店の設備を利用し、時間帯や曜日によって異なるビジネスを営むことを指します。たとえば、以下のような例が挙げられます。
- 昼はカフェ、夜はバー
- 昼はオフィス、夜はカフェバー
- 昼は料理教室、夜はレストラン
- 営業日は高級鮨店、定休日はリーズナブルな鮨店
- 日替わり店長(カジュアルフレンチレストラン、和食店、ブックカフェなど)
一つの飲食店を利用して、時間や曜日ごとに異なるお店を経営することを「二毛作ビジネス」と呼んでいます。
二毛作ビジネスのメリット・デメリット
二毛作ビジネスを行う上で、どのようなメリットやデメリットがあるのかを理解しておくことが大切です。
二毛作ビジネスを行うメリットとして、以下の点が考えられます。
- 相乗効果により、利益増加につながる
- 客単価のアップにつながる
- リピーターの増加につながる
- 同業他社との差別化になる
- メニューのやりくりによって食材ロスを軽減できる
二毛作ビジネスのメリットはそれぞれの業態の成功がお互いに影響しあい、利益や集客アップにつながる点です。また、飲食店がひしめくエリアでは同業他社との差別化にもなります。
どちらの業態も飲食店なら、メニューを工夫することで同じ食材を使用し、食材ロスを減らすことも可能です。
ただ、二毛作ビジネスが上手くいかないこともあります。その原因として考えられるデメリットは、以下の通りです。
- 片方の経営が上手くいかないことが影響し、両方に損失が出る
- 異なる業種の経営ノウハウがない
- 経営する業種や業態により、コストやオペレーションの負担が増える
- 異なる2店舗の経営により、お客様の混乱を招きやすい
- 食材ロスにこだわりすぎると、メニューの差別化ができない
- メニューの差別化にこだわりすぎると、仕入れコストが増える
異なる店舗の経営は簡単なことではありません。同じ飲食店であっても、コーヒーや軽食中心のカフェとアルコールとおつまみを出すバーでは経営の仕方は異なります。それぞれの経営ノウハウを知らなければ、どちらか一方が足を引っ張り、最終的に共倒れになってしまうリスクがあることも理解しておかなければならないでしょう。
二毛作ビジネスを成功するためのコツ
利益率が高いビジネスかどうか
二毛作ビジネスを成功させるコツの一つは、いかに利益率が高いビジネスを選ぶかです。毎日、満席になるの人気店であっても利益につながらなければ、長期に渡って経営を続けることは難しいでしょう。
利益率が高いビジネスを選ぶためには、既に二毛作ビジネスで成功している店舗や企業を参考にすることができます。
需要の見込みがあるかどうか
需要の見込みがあるかどうかをリサーチしておくことも大切です。同じ飲食店であっても、時間帯や曜日によってお客様のニーズが異なるため、どういったお客様をターゲットにするのかを明確にしておきましょう。
追加コストを極力抑える
利益率が高いビジネスであっても、追加コストを極力抑えることも欠かせない点です。二毛作ビジネスを行うにあたって、設備投資が必要なケースもあります。ただ、莫大な初期投資がかかると、利益を食い潰してしまう可能性も考えられます。
できるだけ既存の設備をうまく活用し、追加で必要となるコストを最小限に抑えられるビジネスを選びましょう。また、共通の仕入れ食材を利用してコストを下げるために、メニュー作成や在庫管理、発注管理を徹底することも大切です。
既存のスタッフでも対応可能かどうか
人件費もコストの面で重要なポイントといえます。なるべくなら、人員を増やさずに既存のスタッフでも対応可能な仕組みをつくるとよいでしょう。たとえば、人件費を抑えて回転率を上げるために、自動券売機を導入することができます。また、飲食店に特化したPOSレジアプリなどを導入し、スタッフの業務効率化を図るのも一つの手です。
飲食店専門のPOSレジアプリなら、Square レストランPOSレジがおすすめです。iPadにアプリをダウンロードするだけですぐに利用でき、簡単な操作でメニューやホールのテーブルレイアウトなどを登録できます。オーダーエントリーシステム、スタッフ管理、キャッシュレス決済など飲食店のサービス向上と業務効率化に役立つ機能が利用できます。月額利用料がかからない無料プランのほか、座席管理やコース管理など高度な機能が搭載された有料プランも用意されています。
飲食店ならSquareにおまかせ
Square レストランPOSレジなら、店内、オンライン、デリバリーのオーダーを1か所で管理して飲食店の運営をもっと効率化できます。メニューごとの売上レポートやシフトレポートなど、リピート率アップとコスト削減に役立つ機能が使える有料プランも。
二毛作ビジネスを始める前に知っておきたいポイント
二毛作ビジネスを始めるにあたり、事前に知っておきたいポイントがあります。店舗経営のノウハウや戦略にばかり気がいってしまいそうですが、その他にも必要なことがさまざまあります。
たとえば、以下のポイントが挙げられます。
- 賃貸物件の場合、大家の了承が必要なケースもある
- 電話回線を別に用意するかどうか
- 必要資格や申請などの有無を確認する
- 共同経営の場合、在庫管理や運営ルールを決め、書面で残しておく
二毛作ビジネスを始める場合、同じ経営者が複数の店舗を管理する場合と、共同経営者として複数の経営者がそれぞれの店舗を管理する場合が考えられます。複数の経営者がいる場合、さまざまなケースを想定して事前にルール決めておき、書面を交わしておくことで後々のトラブルを回避できます。
また、業種や業態によっては大家の了承が必要なケースもあります。さらに、資格の取得や申請書類の提出が求められる場合もあるので、事前にどのようなものが必要なのかを調べておくことをおすすめします。
二毛作ビジネスはリスクを伴う可能性がありますが、うまく経営していくことができれば、利益がアップし、異なる客層の集客にもつながります。飲食店の新しい経営方法を探している場合、二毛作ビジネスの可能性を選択肢の一つに加えてみてはいかがでしょうか。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2019年2月22日時点の情報を参照しています。2023年2月15日に記事の一部情報を更新しました。 当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。 Photography provided by, Unsplash