ポップアップストアとは、短期間だけ特定の場所に出店する店舗を差し、雑貨やコスメ、洋服や食品などさまざまな分野で注目されるプロモーション方法です。短期の出店のため常設の実店鋪より思い切った販促活動に挑戦するなど、これまでの顧客層を超えた多くの人とコミュニケーションを図り、ブランドの認知度を広げるテストショップとしても効果が期待できます。
本記事では、ポップアップストアと実店舗との違いや出店のメリットなどの概要を解説するとともに、場所や費用、決済、運用時の留意点など、ポップアップストアを成功させるコツを紹介します。
目次
- ポップアップストアとは?実店舗との違い
- ポップアップストアを出店するメリット
- ポップアップストアを出店できる場所の例
- ポップアップストアの出店費用はどれぐらい?
- ポップアップストアを成功させる6つのコツ
- ポップアップストアでキャッシュレス決済を受け付けるといい理由
- Squareをポップアップストアで利用する3つの方法
- ポップアップストアは事前準備が成功のカギ
ポップアップストアとは?実店舗との違い
ポップアップストアは、数日から数週間といった形で期間を限定して開設するショップを指します。短期間の運営のため、常設の実店舗を設営するより出店のリスクが低く、場所や期間、方法など状況に応じて柔軟に運用できるのが特長です。
実店舗が長期にわたって着実な売り上げと利益を追求するのに対し、ポップアップストアは短期集中型で費用対す効果を検証できます。このため、ブランドの認知度を広げ新たな顧客獲得を図るプロモーションとして活用する、新開発の商品・サービスの反応をみるテストマーケティングに利用するなど、特定の目的に合わせた運用を行うと効果を発揮します。
ポップアップストアを出店するメリット
ポップアップストアの出店には、ブランドの認知度の向上や顧客との直接交流、オンライン商品の限定販売など、多くの活用方法があります。
1. ブランドの認知度を広めるきっかけになる
ポップアップストアの出店は、これまでブランドを知らなかった顧客層に周知するブランディングの機会となります。期間限定や短期間という特別感で消費行動への関心を高め、ブランドの世界観を反映させた店舗を展開することにより、ブランドの魅力を伝え、ファンを増やせるのです。さらに、統一された世界観での演出により、SNSやメディアを通じたブランドイメージの拡散も期待できます。
2. 顧客と対面でコミュニケーションが取れる
一般的なポップアップストアは小規模のスペースを活用して商品・サービスを紹介する形をとるため、来客と濃密なコミュニケーションをとることが可能です。
顧客となる人々が商品やサービスのどの点に関心をもっているのかを直接のコミュニケーションで知り、その場で詳細な説明や相談への対応などを行って信頼性を高めることができます。
さらに、対面での交流を生かしたブランドのプロモーションを行うことにより、ブランドのファン層の拡大やエンゲージメントを高める効果も期待できます。
3. 常設店を構えるよりもハードルが低い
ポップアップストアは、常設の実店鋪と比べて総合的な費用を抑えることが可能なため、出店へのハードルを下げることができます。
常設の実店舗では、開店までの初期費用のほかにも、家賃や光熱費などの固定費や定期的な改装費など、長期にわたり多額のコストを見込む必要があります。これに対し、ポップアップストアは期間限定で運営するものであり、小規模で簡易的な店舗設計ですませることもできるため、大幅なコスト削減が可能です。
この特長を生かし、試験的な市場参入や季節限定販売、ブランド認知強化や新規顧客拡大など、目的に応じたポップアップストアの展開を効果的に行えます。
4. テストマーケティングができる
ポップアップストアでは、来客との直接の交流を通じてブランドイメージがどのように伝わっているのかを確認できるため、新商品・サービスの試用機会としても活用できます。顧客層が今どのようなものに関心をもっているのかなど、市場のニーズを現場の声として把握でき、マーケティングの精度が高まります。
また、商品の使い心地や改善点などを直接聞くことができ、これらの意見を関係者へフィードバックすることにより、今後の商品開発にも反映させていけます。
さらに、効果的な広告戦略や販売方法を検討する材料となり、現在の店舗運営へ反映させるほか、新規店舗の拡張やオンライン販売から実店舗への展開などの出店計画にも活用できます。
ポップアップストアを出店できる場所の例
ここからは、ポップアップストアを出店できる場所について、それぞれのメリットや特徴を具体的にみていきましょう。
1. レンタル用スペース
レンタル用スペースは、広さや備品など、適切なスペースを選ぶことにより費用を抑えながら効果的なポップアップストアの開設が可能です。
レンタル用スペースは目的に応じた貸出を行っていることが多く、テーブルや椅子などのほか、什器類も貸し出し可能な場合があります。
一方で、店舗専用ではないことから、借りるスペースがポップアップストアとして出店する場所にふさわしいかの検討は必要です。
2. 商業施設内のイベントスペース
商業施設内のイベントスペースは、購買や消費目的で人が集まってきているため、ポップアップストアの出店に適した場所といえます。
商業施設内の賑やかな場所に出店することにより、多くの来場者にブランドをアピールできるのが大きなメリットです。エスカレーター脇など、普段は店舗として利用されていない場所でも出店場所として利用されることがあります。
一方で、店舗でないスペースの利用となることから、ブランドのイメージに合ったブースづくりが重要となります。
3. 既存ショップの一部スペース
既存のカフェやアパレルストアに設置された一部スペースを利用してポップアップストアを出店する方法もあります。
自社のブランドイメージに近いショップを選ぶことにより、関心の高い顧客層へのアピールが容易になります。
既存ショップのイメージとブランドイメージとの組み合わせが重要となるため、統一感をもたせて市場拡大の図るのか、イメージのギャップを利用して新規市場を狙うのかなど、目的に応じたショップの選定が重要です。
4. 貸店舗
貸店舗を一時的に利用してポップアップストアを出店する方法もあります。
路面店の空き店舗を一時的にレンタルするケースや、商店街などでイベントスペースとして貸し出されるところを探してみましょう。店舗前を歩く人が自社のターゲットになる層かどうかなどを検討することが重要です。
一方で、貸店舗の場合、一時的とはいえ、費用は高額になりやすい点には注意が必要です。配管などが施されていないスケルトン状態や、什器や内装がそのままの状態など、出店の際にどの程度の改装が必要になるかを検討する必要があります。
ポップアップストアの出店費用はどれぐらい?
ポップアップストアの費用は、レンタルするスペースの費用が大きく左右します。どのような場所が自社の商品に適しているのか、予算内で最大の効果をあげられる場所を探して出店しましょう。
参考までに、1日1万円のスペースを3日間借りて雑貨のポップアップストアを出店する場合の例を挙げておきます。
・レンタルスペース費用 10,000円/日×3日=30,000円
・レンタル什器(2~3種類) 10,000円
・チラシやショップカード印刷費用 3,000円
・その他消耗品(袋・テープなどの消耗品)10,000円
・運賃(荷物の配送料)、駐車場代など 10,000円
合計 63,000円(スタッフの人件費、決済関連の利用手数料等を含まず)
新商品のプロモーションなどの大きなプロジェクトのケースでは、数十万~数百万円をかけて路面店やショッピングモールの人通りが多い場所を借りる場合もあります。
ポップアップストアを成功させる6つのコツ
ポップアップストアは無計画に出店しても効果は得られません。ここからは、目的にあわせたポップアップストアを運営するポイントを見ていきましょう。
1. 最適な出店場所と時期を選ぶ
ポップアップストアの成功に最も重要なのは、出店場所と時期の選定です。いつ、どのような層の人が訪れる場所かを把握し、自社の商品のターゲットになるかどうかを確認することが重要といえます。
自社ブランドや商品のターゲット層に合わせた場所にするのが基本です。たとえば、ファミリー層にはショッピングモールや公園、若年層には駅やファッションビルなど、効果的な場所を選びます。
また、クリスマスや夏休みなどの季節や行事のタイミングに合わせた出店期間を選定します。たとえば、セール時期は人出の多さに対し価格競争に巻き込まれやすいため出店を控えるケースと、顧客拡大を図るためあえて出店するケースが考えられます。
2. 多方面から集客をする
ポップアップストアを成功させるためには、多方面からの集客が重要となるため、出店前の広告活動が不可欠です。自社サイトやSNSを活用した告知、顧客へのメルマガ送信などを行いましょう。
さらに、近隣のカフェやショップに依頼してチラシを置いてもらったり、ポスターを貼ったりと、多方面からアピールする集客活動が成功の鍵となります。
3. インスタ映えを狙う
いわゆる「インスタ映え」を意識した店舗づくりを行い、来客にSNS投稿を促して拡散を狙います。
SNSユーザーが投稿したくなる魅力的なイメージの商品ディスプレイを目指しましょう。SNSはフォロワーによる「いいね」などのアクションによる波及効果で、新たに来店の増加が期待できます。
4. ECサイトへの誘導を促す
ポップアップストアに訪れた人たちは、関心の高い見込み客といえます。実物の商品を手に取っているため、商品展開やブランドイメージの構築が容易で、購入へのハードルが低くなっています。
ポップアップストアへの来客が次のアクションを起こしやすいよう、自社ECサイトへの誘導を行いましょう。レジ周りのほか、ショップカードや割引クーポンのQRコードを掲載し、自社SNSへの登録を促し、見込み客とのつながりを強化する方法もあります。
5. データ収集の仕組みを作る
ポップアップストアがもつ市場調査の効果を高めるには、データ収集の仕組みを事前に構築しておくことも重要です。
来店者の満足度や商品の評価などをアンケートで収集するほか、売上高や商品別の販売個数、来店者数、客層、客単価、自社サイトへの流入数の変化、SNSフォロワー数の変化などもデータとして整理しておき、出店の目的に応じたKPI(重要業績評価指標)を設定し、具体的な数値目標を明確にしておきましょう。
6. キャッシュレス決済に対応する
ポップアップストアを出店する際は、店舗と顧客の双方にメリットのあるキャッシュレス決済を導入しておきましょう。
顧客側にとっては、現金を持たずスムーズな支払いが可能なうえ、各種キャッシュレス決済の独自ポイントも貯まることからお得感にもつながります。
また、店舗側にも、機会損失を減らし売上増が見込めるほか、レジ締め作業にかかる時間が短くなる、計算ミスが減少する、現金の取り扱いが減ることで盗難のリスクが軽減されるなどのメリットがあります。
ポップアップストアでキャッシュレス決済を受け付けるといい理由
ここからは、ポップアップストアでキャッシュレス決済導入する効果について具体的なポイントをみていきましょう。
1. 現金管理の手間が減る
ポップアップストアでキャッシュレス決済を導入することにより、つり銭の両替・管理や、現金受渡時の金額ミス、盗難などの現金管理にまつわる負担を軽減できます。
その分の時間を顧客とのコミュニケーションに回すことで、より効果的なポップアップストア運営が可能になるでしょう。キャッシュレス決済は、運営効率を高めるだけでなく、顧客満足度の向上にも寄与するといえます。
2. レジ締めの時間が短縮される
キャッシュレス決済比率が増えることで、キャッシュドロワー内の現金とレジに記録されている売上高を照合する手間が大幅に軽減されるため、レジ締めが簡易になります。また、中にはオールキャッシュレスでポップアップストアを運営するパターンもあるようです。現金を一切扱わないことにより、レジ締め作業もほとんど発生せず、スタッフの負担を大幅に軽減することができます。
さらに、決済端末と連動するPOSレジの導入も検討しましょう。クレジットカード決済や電子マネー決済などの各種キャッシュレス決済と現金決済がその都度記録され、常時、ひと目で売上高を確認できます。
3. すぐに導入できる
キャッシュレス決済は申し込んですぐ導入できるものもあり、ポップアップストアの開設時に大掛かりな決済システムを構築する必要がなく、導入のハードルを下げることができます。近年では、スマートフォンとBluetoothでつなげて使用するモバイル決済端末や、「iPhoneのタッチ決済」のようなiPhoneさえあればキャッシュレス決済を受け付けられる機能も登場しており、キャッシュレス決済導入のハードルはますます下がっています。
4. 売上分析ができる
キャッシュレス決済の場合、もとから売上データが集約されているため、データ分析も容易になります。POSレジとセットで使うことにより、その日の売上高だけでなく、在庫や購入客数、平均単価、商品別の販売個数などの情報も一元的に管理できるため、ポップアップストアの出店期間が終わり次第、販売実績をまとめあげ、マーケティング戦略の立案などに有効活用できるでしょう。
5. 売上アップにつながる
現金払いだけでなく多様なキャッシュレス決済の方法が準備されていると、購買のハードルが下がり、ポップアップストアの来店者が気軽に買い求めることができ、売り上げの向上が見込めます
Squareをポップアップストアで利用する3つの方法
ポップアップストアを開設する際、どのようにしてキャッシュレス決済を導入すればよいのでしょうか。ここからはキャッシュレス決済サービスのSquareを例に、キャッシュレス決済を導入する方法についてみていきましょう。
1. 決済端末を購入する
まず、Squareでアカウント登録をします。アカウント登録は無料です。アカウントの申込審査の結果は、最短で当日に分かります。
アカウント登録と合わせて、決済端末を選びましょう。小型でリーズナブルなSquare リーダー(税込4,980円)から、レシートプリンター内蔵のSquare ターミナル(税込39,980円)まで、ニーズに合わせて選べる複数種類の決済端末が用意されています。決済端末はSquareの公式サイトから注文するか、急ぎの場合は家電量販店での購入も可能です。
データ管理のメリットを最大限に生かすにはSquare POSレジとのセット運用がおすすめです。売上管理と在庫管理、顧客動向などの各種データを一元的に管理することにより、売上分析レポートなどの機能を使って効率のいい事業経営や市場への参入が可能となります。
カードも電子マネーも、マルチ決済端末はこれ1台
全画面タッチディスプレイ、レシート印刷機能、ワイヤレスで持ち運び可能、スタイリッシュなオールインワン決済端末「Square ターミナル」でキャッシュレス決済を始めよう。
2. レンタルして利用する
Squareでは決済端末の貸し出しもしています。1回限りしか利用しない、あるいは数年に1度しか使わないなどの場合は、レンタルを検討してみてもいいでしょう。以下のサービスを通して、レンタルを受け付けています。
詳細については、こちらからお問い合わせください。
3. iPhoneのタッチ決済/Tap to Pay on Androidを利用する
「iPhoneのタッチ決済」または「Tap to Pay on Android」は、スマートフォンに顧客のクレジットカードをかざすだけで決済が完了する便利な機能です。受け付けられるのは、タッチ決済に対応したクレジットカード、またはApple Payなどのモバイルウォレットです。
カードまたはモバイルウォレットをかざすだけの決済は手軽で、レジの時間も短縮でき、顧客を待たせることがないため、顧客満足度の向上も期待できます。
ポップアップストアは事前準備が成功のカギ
ポップアップストアは、ブランドイメージを拡張し、マーケティングの機会としても活用できる、近年注目のプロモーション方法です。
短期間での成果が求められるため、商品・サービスのアピールや顧客とのコミュニケ―ションに注力できるよう、事前にしっかり準備を整えましょう。
Squareのキャッシュレス決済を導入しPOSレジとセットで活用することにより、売上管理や出庫の動向、顧客データを統合的に活用した市場戦略が容易になります。ぜひご検討ください。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2024年6月25日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash