働き方や生き方の多様化が進む現代で、新たに注目されているのが「アドレスホッパー」というライフスタイルです。定住せずに、移動をしながら生活をし働く生き方は、若者を中心に世界中で増えているといわれています。
今回は、アドレスホッパーとは何か、アドレスホッパーをターゲットにしたビジネスの可能性について考えていきます。
アドレスホッパーとは
アドレスホッパーとは、特定の1カ所に定住せずに、住む場所を変えながら生活する人のことを指します。アドレス(Address)は住所、ホッパー(Hopper)は飛び跳ねる虫や次々と移動する人を意味する言葉です。宿泊施設を転々とする人もいれば、色んな場所に家を持ち行き来をしながら生活をする人もいます。
インターネットとパソコンさえあればどこででも仕事ができるような働き方や民泊サービスの広がりも影響していると考えられます。生活費の中でも大きな割合を占める家賃や光熱費の代わりに、宿泊や移動費用を支払い、好きな場所で生活をするというこれまでにないスタイルに興味を持つ人も多いかもしれません。
在宅勤務やリモートワークなどの働き方とは違い、あえて自宅を持たない、定住しないという点が特徴で、最近では、アドレスホッパーを対象にしたサービスも登場しています。
アドレスホッパーをターゲットにしたサービス
アドレスホッパーをターゲットにしたサービスとしては、以下のようなサービスが考えられます。
・短期居住者対象の不動産賃貸
・宿泊施設
・収納サービス
・シェアオフィス
・ファッションレンタル
これらのサービスは、今後もアドレスホッパーの増加に伴い需要が増えていくことが想定されます。それぞれのサービスの特徴を順番に確認していきましょう。
短期居住者対象の不動産賃貸
まず挙げられるのが、短期居住者向けの不動産賃貸サービスです。デイリーやウィークリー、マンスリーといった短期での契約を中心とした不動産賃貸サービスは、アドレスホッパー向けだといえます。より一層アドレスホッパーの需要に応えるには、基本的な生活家電を備え付けておくことも有効です。また、簡単にインターネット上で利用予約ができるシステム作りも重要です。ホテルに宿泊するのと同じような気持ちで不動産を契約できれば、利用しやすいでしょう。
宿泊施設
住所を転々とするアドレスホッパーにとって、宿泊施設はなくてはならない存在です。安価に泊まれたり、定額制の泊まり放題サービスがあったりするような宿泊施設は特にアドレスホッパー向けだと考えられます。
実際に近年では、サブスクリプションモデルをベースとした宿泊サービス展開に乗り出す企業が出てきています。限られたエリアではなく幅広いエリアで移動するアドレスホッパーの特徴を踏まえた宿泊施設の需要は今後も拡大していくでしょう。
収納サービス
持ち歩けない荷物を収納しておくサービスも、アドレスホッパーの生活には欠かせないサービスの一つだといえます。持ち物が少ないアドレスホッパーもいますが、夏場の冬服のように手放せないけれど持ち歩きにくい物は出てきてしまいます。そのようなときに、収納サービスがあれば便利です。トランクやバックパックに入り切らない荷物を手軽に預ける場所があれば、気楽に全国を飛び回れるでしょう。
シェアオフィス
シェアオフィスとは、複数の異なる業種・職種の人が共有して利用するオフィスのことです。最近ではインターネット環境さえあれば仕事ができるという人も多く、会社に出社せずにシェアオフィスで仕事をしている人もいます。今後もアドレスホッパーの増加に伴って、シェアオフィスの需要も増えていくでしょう。
ファッションレンタル
ファッションレンタルサービスもアドレスホッパーをターゲットにできるサービスだといえます。身軽に移動するためにできるだけ持ち物を減らしたいアドレスホッパーにとって、ファッションレンタルサービスの需要は高いと考えられます。その中でも、返却時のクリーニングが不要なサービスであれば、アドレスホッパーも利用しやすいと考えられます。
もしも自社の既存サービスと親和性があるものがあったなら、アドレスホッパーを意識して新たなサービス展開を考えてみても良いかもしれません。
これらのサービスを展開するにあたって重要なのは、利用する上での気軽さです。利用申し込みにFAXや郵便のやり取りが生じてしまうと、定住先を持たないアドレスホッパーは負担に感じるでしょう。申し込みから支払いまでオンライン上ですべて済ませられるとスマートです。
たとえば、Square 請求書ならメールで顧客に請求書を送付し、受け取った顧客もメール画面からそのままクレジットカード決済に進めます。毎月定期的に同じ額を請求する場合には、継続課金機能を利用すれば、ビジネスオーナーとアドレスホッパーの両方にとって支払いのやり取りにかかる負担がぐっと減ります。
アドレスホッパーによる地方創生に期待
UターンやIターンによる移住者を増やすべく、各自治体がさまざまな取り組みを行なっていますが、アドレスホッパーの存在が次の地方創生の担い手になると期待されています。
定住はしないものの、数週間から数ヵ月の単位で滞在してくれるアドレスホッパーの存在は地域経済の活性化につながるだけではありません。滞在した町の良さを次の滞在先で出会った人に伝えてくれる宣伝役になってくれたり、中には町を気に入って定住したり、起業したりする人も現れるかもしれません。
新しいライフスタイルであるアドレスホッパー。新しい暮らし方や働き方に挑戦する人をターゲットに、新たなビジネスモデルを考えてみてはいかがでしょうか。
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執筆は2019年5月12日時点の情報を参照しています。
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