実践的なバズマーケティングとは? 「投稿したくなる」要素が人を動かす口コミ戦略

ソーシャルメディア上で多くの人が特定のトピックスについて話題にする現象は「バズる」と呼ばれ、この「バズる」を狙ったマーケティング手法がバズマーケティングです。

口コミ情報を広め、企業やブランドの認知度をアップさせるマーケティング手法です。今回はバズマーケティングに必要な「口コミしたくなる要素」「投稿したくなる要素」をキーワードに、バズマーケティングの実践方法や効果、ステルスマーケティングとの違いなどについて説明します。

バズマーケティングとは

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バズマーケティングが口コミを生かした他のマーケティング戦略と異なる点は、「人為的に」口コミをを生じさせるというところです。口コミを広めたくなる商品特性、キャンペーン、トレンド性など、人々の心に訴えかける要素によって、ソーシャルメディアを通じて口コミが拡散されたり、数多くの口コミが投稿されたりします。

人から人へ、噂話がスピーディーに伝わるような構造を持つバズマーケティングは、ブンブンというハチの羽音やブーンとうなるような機械の音、多くの人がガヤガヤと話す様子を表すバズ(buzz)という言葉から名付けられました。その言葉の通り、あちらこちらで人々が商品や企業について思い思いに話題にしている状態をイメージすると、バズマーケティングを理解しやすいかもしれません。

バズマーケティング自体はマーケティング手法としてソーシャルメディアが全盛となるより以前から存在し、元来はインターネットを介さないローカル新聞や直接の会話などのコミュニケーションの中での口コミを生かしたマーケティングだったといわれています。

参考:Buzz: Harness the Power of Influence and Create Demand(Salzman, Marian; Matathia, Ira & O’Reilly, Ann)

実例から理解するバズマーケティング

最近よく見られるバズマーケティングの実践例として、キャンペーンと一体型の手法が挙げられます。

たとえば新商品の発売に伴い、インスタグラムやツイッターに写真や動画を投稿し、キャンペーン告知を行います。商品名やキャンペーン名のハッシュタグを付けた投稿などを行うことで誰でもキャンペーンに参加でき、参加者には賞品や賞金などが当たるという仕組みです。

一例として、以下のような文例がバズマーケティング向けのキャンペーンで使われることがあります。

【◯◯ドリンクを飲んで海外旅行が当たる!】
◯◯ドリンクの新発売を記念して、◯名様に海外旅行をプレゼント。以下の手順で素敵な旅行をゲットしよう!応募は◯月◯日まで。
①この投稿をリツイート
②商品が写ったイチオシの写真を、#◯◯ドリンクのハッシュタグ付きで投稿
③このアカウントをフォロー
素敵な投稿、お待ちしています!

こうしたキャンペーンを実施することで、商品名の入った投稿をソーシャルメディア上に増やし、たくさんの人の目に触れやすくします。キャンペーン告知が知れ渡れば、商品を買う人が増えるだけでなく、商品名や商品写真が多数の目に触れることになります。企業が一方的に出す商品情報より、個人の投稿の方が商品レビューとして信頼されやすいという利点もあります。

海外旅行や現金などを目玉賞品にしたプレゼントキャンペーンは不特定多数の目を引きやすいですが、商品特性によっては実際の商品そのものやオリジナルグッズが当たるキャンペーンなども効果があります。

また、宣伝したい商品の写真や感想ではなく、エピソードを募集するというキャンペーンもあります。家族で一緒に過ごす時間をテーマとした商品の発売に合わせて、家族の思い出に関するエピソードを決まった字数で募集するなど、心温まるストーリーが集まることで商品イメージもアップする効果が見込めます。

投稿したくなる要素で口コミを誘発する

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キャンペーンを行わなくても商品自体が「投稿したくなる」要素を持っていれば、それだけで口コミは広がることもあります。美しいデザイン、ユニークなキャラクター、秀逸なアイデアなど、バズマーケティングに役立つ商品の属性を、開発段階から戦略的に考えておくことで、商品の魅力自体でマーケティングを実施することも可能です。

2018年の夏に流行したサービスの一つに「ナイトプール」というものがありました。ホテルやレジャー施設が夜間に華やかにライトアップしたプールを開放する有料サービスで、期間限定性やラグジュアリーな施設という点に加え、プールに浮かべた色鮮やかな浮き輪などの写真映えと相まって、特にインスタグラム上で口コミが大いに広まりました。ナイトプールは、投稿したくなる要素が強いサービス(商品)としてプランニングされたものであることが伺えます。投稿写真を見た人が自分も同じ体験をしたいと考え、訪れて撮った写真が別の人を魅了するという、バズマーケティングの連鎖を効果的に活用したサービスだったといえます。

店舗やブランドそのものをバズマーケティングでPRするなら、ソーシャルメディアに投稿したくなるようなディスプレイやパッケージのデザインも、すぐに実践できる手法として有効です。自社アカウントで魅力的な店内や店頭写真を投稿し、同じ構図で撮りたいと思う人が来店するなど、バズマーケティングは自ら仕掛けることが重要です。

引用したくなる記事コンテンツなども効果的

メディアの記事や動画などで商品を取り上げてもらうことで、バズマーケティングを加速させることも可能です。たとえば自社と同じターゲット層を持つ雑誌の商品紹介コーナーに商品が掲載されれば、ソーシャルメディアを使わない人にも情報を届けることができます。デジタル時代以前のバズマーケティングにも注目し、雑誌や新聞、フリーペーパーなどのメディアも上手に活用することで、オンラインとは別の口コミも増やしていきましょう。

オンライン・オフラインを問わずメディアを上手に活用するためには、商品や会社を正確な言葉と画像などで説明したプレスリリースを用意し、適切なタイミングで関連メディアに送付するというのもマーケティング活動の一環です。ターゲット規模やマーケティング期間によっては、バズマーケティングは低コストでも実施可能なマーケティング手法といえるため、中小規模の店舗や会社にも適しています。

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バズマーケティングのメリットとデメリット

消費者とのコミュニケーションの方法がアナログからデジタルに変わっても、バズマーケティングが根強く生き残っているのは、その影響力の大きさゆえだと考えられます。バズマーケティングの実践に向け、そのメリットとデメリットを見ていきましょう。

バズマーケティングのメリット
・消費者個人の視点からの商品の魅力や評価が伝わる
・実際の使用例や使用感がさまざまな角度から伝わる
・口コミ数が増えれば、メジャーな商品と印象付けられる
・購入前により多くの情報を知りたい人にとって安心材料になる
・企業の対応など人間性が伝わることで信頼を得られる

バズマーケティングのデメリット
・商品への不満や誤解も拡散されてしまう可能性がある
・マーケティングの人為性を作為的と取られる可能性がある
・ネガティブイメージが広がった時に食い止めにくい

このように個人の口コミ情報や受け取り方を完全に操作できないことがバズマーケティングのデメリットではありますが、不満に対してオープンに誠心誠意対応をする、またはお客様の声に感謝しフィードバックを生かす方針を伝えるなど、その後のアクションによってイメージをプラスに転じることも可能です。

参考:企業の成長に欠かせない「お客様の声」の集め方

バズマーケティング実践の注意点

バズマーケティングを施策に取り入れる上で注意すべき点として、ステルスマーケティングとの混同が挙げられます。

ステルスマーケティングとは、宣伝であることを隠しながら宣伝行為を行うことを指します。つまり、あたかも宣伝ではない個人の感想のように見せかけて、実際には金品などの対価を受け取った個人が商品を褒めるなどして宣伝を行うことです。「さくら」を使って店頭に行列を作る、偽の使用感データを用いるといった手法の他、本物の商品レビューのうち悪いものを削除し良いものだけを残すといった行為もステルスマーケティングと呼ばれることがあります。

ステルスマーケティングは消費者を翻弄し、欺くことによって不利益を生じさせる上、事実が明るみに出ればビジネスの信頼が失なわれます。企業のコンプライアンスという点からも、バズマーケティングの人為性をステルスマーケティングと混同しないよう注意が必要です。

バズマーケティングはあくまでも、正しい情報を提供することで口コミ増加を加速させるマーケティングであり、個人の投稿や意見への操作は行いません。人々の暮らしに役立つ良い商品やサービスの価値をより広く知ってもらうために、オープンかつ透明性の高いバズマーケティングを行いましょう。

執筆は2019年2月26日時点の情報を参照しています。
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