飲食店や学習塾、ネイルサロン、無店舗の花屋など、個人で開業届を出して事業を行っている人は少なくありません。
今回は個人事業主が、お店やネットショップでクレジットカード決済を導入するメリットや懸念点、クレジットカード決済端末の選び方などを紹介します。
目次
- クレジットカード決済を導入するメリット
- 個人事業主がクレジットカード決済を導入するメリット
- クレジットカード決済を導入する際の懸念点
- 個人事業主がクレジットカード決済を導入する三つの方法
・店舗にクレジットカード決済を導入する
・ネットショップにクレジットカード決済を導入する
・オンライン販売でクレジットカード決済を受け付けられるようにする - クレジットカード決済端末の選び方
クレジットカード決済を導入するメリット
クレジットカード決済を導入する一番のメリットは、現金と比べて機会損失をぐっと減らせるところでしょう。この点を含めて、事業者にとってのメリットを具体的に見ていきましょう。
現金を持ち合わせていない層を囲える
事業を営んでいるとお客さまからサービスや商品の対価として代金を受け取ることになります。現金での支払いに加えて、クレジットカードでも支払いができるとお客さまの利便性が向上します。支払い方法を複数用意しておくことで、手持ちがないから気に入った商品やサービスをあきらめてしまう、といった販売機会の損失をなくすことができるでしょう。
キャッシュレス決済のニーズに対応できる
インターネット通販の普及や感染症の影響も相まって、国内の消費者によるクレジットカード決済の利用は着々と増えています。加えて、クレジットカードの利用率が高い外国人観光客も2023年4月に水際対策が終了した後は順調に増えています。
経済産業省が発表した資料によると、2010年には13.2%だったキャッシュレス決済比率は2023年には39%にまで増加していて、決済額の8割以上を占めたのがクレジットカードによる決済でした。
参考:2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました(2024年3月29日、経済産業省)
さらに、2025年の大阪・関西万博では会場内の決済手段が原則キャッシュレスになるなど、政府はキャッシュレス化を引き続き推進し、キャッシュレス決済比率を4割程度にまで高めることを目標としています。このような政策の後押しもあり、今後さらにクレジットカード決済のニーズが高まることが予想されます。
24時間365日販売できる
実店舗に限らず、ネットショップのようなオンラインの場にもクレジットカード決済を導入すると24時間365日販売できる、というメリットが生まれます。ネットショップなら店舗の営業時間外でも、店舗から遠く離れたところに住んでいるお客さまでも購入ができるため、売上アップを目指すにはすぐにでも取り入れたい販売方法の一つです。
セキュリティー対策を自ら行う必要がない
現金には盗難の心配が常につきまとうため、管理を徹底して行う必要があるでしょう。クレジットカード決済に関しても、情報漏えいなどが心配かもしれません。対策方法をいちから調べないと、と気が重くなる人もいるでしょう。このとき覚えておきたいのは、セキュリティー対策の多くは決済サービスが代わりに行ってくれるということです。その代わり、各社決済サービスがどんなセキュリティー対策を講じているかは確認しておきましょう。クレジットカードの不正利用について気になる人は、「事業者必見、クレジットカードの不正利用の原因と対策」の記事を参考にしてください。
ここでは二つのセキュリティー対策を紹介します。
店頭でクレジットカード決済端末を利用する場合: PCI DSSに準拠した決済サービスを導入すること
PCI DSSは、国際的なクレジットカード決済のセキュリティー基準です。PCI DSSに準拠した決済サービスを利用することで、情報漏えいをはじめ、セキュリティーのリスクを防ぐことができます。
ネットショップでクレジットカード決済を受け付ける場合: 常時SSL化されたネットショップを作成すること
ウェブサイトのURL欄を見てみましょう。URLの頭に鍵のアイコンと、「http」のあとに「s」はついていますか。この二つがついているかは、常時SSL化されたサイトかどうかを確かめる簡単な方法です。SSL(Secure Socket Layer)とはサイト内の内容を暗号化する技術で、対応していないサイトだと入力した個人情報などが暗号化されないまま流出してしまう可能性があります。SSLに対応していないとURLの頭に注意マークの「保護されていない通信」などと表示されてしまうため、なかには怪しいと感じて購入をやめてしまうユーザーもいるかもしれません。
個人事業主がクレジットカード決済を導入するメリット
クレジットカード決済の導入には、お客さまの利便性の向上、社会の動きに乗り遅れないという以外に、個人事業主自身にもメリットがあります。
客単価アップが期待できる
事業のどのフェーズにおいても、売上拡大につながる方法や戦略の模索は欠かせないでしょう。クレジットカード決済の導入は、客単価アップが期待できる立派な売上拡大方法です。
銀行系カード会社の業界団体がまとめた調査結果によると、クレジットカードによる購入額は現金よりも1.7倍ほど高いことがわかっています。また、衣料品では1人あたりの決済額が現金の2.3倍になるなど、商品によっては2倍以上の差があるようです。
参考:クレジット利用額、現金の1.7倍(2018年2月27日、日本経済新聞)
簡単に低コストで導入できる
さまざまな決済サービスが登場したことで、法人はもとより個人事業主でも1社の決済サービスと契約を結ぶだけで、主要なクレジットカードブランドを取り扱えるようになりました。導入費用や手数料は安価になり、クレジットカードを読み取る決済端末も手頃な値段で手に入るため、導入のハードルは低くなってきています。たとえば、Squareのように決済端末(4,980円から)さえ購入すれば、あとは決済手数料しかかからない決済サービスもあります。多くのコストをかけられない個人事業主でも導入しやすい時代だといえるでしょう。
業務効率化を図れる
経理や帳簿管理といった個人事業主泣かせの作業の負担を軽減し、本業に専念できる機能を合わせて使えることも、忙しない毎日を送る個人事業主にとっては大きなメリットです。
たとえば、前述のSquareが提供するPOSレジアプリを使えば、タブレットやスマートフォンがPOSレジ代わりになり、決済の履歴をデジタルで簡単に管理することができます。
確実に決済の記録が残るのはもちろん、サービスによっては自動で売上分析もしてくれます。SquareのPOSレジには無料で使える売上分析機能が備わっており、アカウントにログインするだけで当日の売上額をはじめ、商品別売上などが確認できます。
このような機能を活用すればコスト削減と業務効率化の両方を同時に叶えることができます。
一歩進んで事業のデータを分析して事業拡大や増収に生かしたいという人にとっても、データのデジタル化は見逃せないメリットとなるでしょう。
クレジットカード決済を導入する際の懸念点
クレジットカード決済には多くのメリットがある一方で、懸念点があるのも事実です。
コストやオペレーションにまつわる懸念
経済産業省の「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会とりまとめ」では、事業者がキャッシュレス決済を導入しない理由として「手数料が高い」「端末導入費用などの初期費用が高い」「仕組みが難しい」ことが挙げられています。
決済サービスが普及したことで、コスト面・オペレーション面での負担は軽減されてきています。コストとしてかかるのは、通常、決済端末の導入費用と、支払いごとに数パーセントの決済手数料です。
また、オペレーション面では、手持ちのタブレット端末やスマートフォンに決済端末を接続するだけでクレジットカード決済ができるサービスも多く、新たに難しいシステムの使い方を学ぶ必要はありません。資金繰りについては、決済サービスによりますが、売上日の翌日に入金するというサービスもあります。このように個人事業主側の懸念点は、決済サービスが普及する中で解消されつつあります。
参考:キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会とりまとめ(経済産業省)
セキュリティーにまつわる懸念
経済産業省では、消費者側の懸念についても分析しています。消費者の不安として、浪費の可能性、セキュリティーへの不安、購買履歴といったデータの漏えいなどを挙げています。
お客さまのこのような不安を解消する努力をすることで、事業主にとってもお客さまにとってもメリットの多いクレジットカード決済の導入に成功できそうです。安全に定評のあるサービスを選択し、決済やデータ管理に利用する端末のセキュリティー対策をしっかり行い、安全面の取り組みを行っていることを伝えましょう。
近年ではコードレスで使える決済端末も増えています。お客さまのカードを預かることなく目の前で支払い処理ができるため、安全性のアピールに一役買うかもしれません。
万が一、セキュリティーに関するトラブルが起きたときのことを考えて、導入を検討している決済サービスがどのように対応してくれるのか、追加で費用は発生するのかなどをあらかじめ確認しておくと安心です。たとえば、Squareではお客さまによる支払い異議申し立てが発生した場合、加盟店の代理として無料で解決にあたります。
▶︎Squareでの支払い異議申し立て一連の流れについて
▶セキュリティーに関して、知っておくべきこと
個人事業主がクレジットカード決済を導入する三つの方法
個人事業主がクレジットカード決済を導入する方法は大きく三つあります。
店舗にクレジットカード決済を導入する
実店舗を営んでいるのなら、店舗でクレジットカード決済を導入することができるでしょう。近年ではクレジットカード決済以外にも交通系ICやQRコードなどさまざまなキャッシュレス決済方法が親しまれており、あらゆる手段を網羅できる決済端末の導入が理想的です。
「いろんな決済手段がそろった決済端末って高そう」と思うかもしれません。
そんな不安を抱える事業主に向けて、救世主のような役割を果たすのが、近年店舗で見かける機会も増えたモバイル決済端末です。タブレットやスマートフォンをPOSレジ代わりにして使う、コンパクトで無線の決済端末です。
モバイル決済端末はスマートフォンやタブレットとBluetooth接続して、決済を受け付けます。手頃な価格帯であることや、使い方が簡単なところが大きな魅力です。
POSレジに関しては、高価なシステムや専用端末を購入したり、複雑な設定をしたりする必要はなく、お手持ちのスマートフォンやタブレット端末にアプリをダウンロードすれば使いはじめることができます。
Squareなら、クレジットカード・交通系IC・電子マネー・QRコードでの決済での決済に対応した決済端末をたったの4,980円で導入できます。POSレジアプリは無料で使えるうえ、月々かかるのは決済手数料のみです。
ネットショップにクレジットカード決済を導入する
ネットショップでクレジットカード決済を受け付けたい場合には、クレジットカード決済機能のついたネットショップ作成サービスを選びましょう。決済機能がついているサービスは近年だと充実しており、無料で開設できるものもいくつかあります。
実店舗と並行してネットショップを運営する場合に、業務の効率性を考えて必ず確認しておきたいのは、
- 実店舗の在庫と連動できる機能はあるか
- 1カ所で実店舗とネットショップの売り上げを確認できるか
などでしょう。
ネットショップのみを運営する場合は、決済手数料のほかに細々とした手数料がかからないかは抜かりなくチェックしておきたいところです。いろいろと手数料が差し引かれて、最終的にあまり手元に残らなかった……となると、ビジネスの継続をおびやかすことにもなりかねません。
Squareには、無料でネットショップをはじめられる機能があります。実店舗でもSquare POSレジを使っていれば、実店舗とネットショップの在庫を連動させることができます。つまり、実店舗で商品が売れるたびにネットショップの在庫を調整する必要がなくなります。同業種であれば同一アカウントで最大300店舗まで管理できるので、ネットショップと実店舗の売上情報が複数箇所に散らばることもありません。
オンライン販売でクレジットカード決済を受け付ける
最近では実店舗もネットショップも持たずに、Instagramなどのソーシャルメディアを活用して商品を販売する個人事業主もいるようです。なんて手軽だろうと思うかもしれません。しかし、すぐにぶつかるのは「支払い方法はどうしよう」という壁です。銀行振込をお客さまに依頼することもできるかもしれませんが、お客さまによっては入金が面倒で購入をキャンセルしてしまう、ということも考えられます。このような場面でもクレジットカード決済を導入しておくことで、お客さまの利便性を高めることができます。
方法として、決済リンクの導入が挙げられます。決済リンクとは、クレジットカードの決済画面に遷移できるリンクのことです。以下の画像のようなイメージで、商品ごとにリンクを発行します。
おおまかな流れとして、商品の購入希望を受け付けたら、決済リンクを送ります。お客さまは決済リンクをクリックした先のページでクレジットカード決済をします。これならやり取りがすべてオンラインで完結します。
Squareには決済リンクの機能もあり、びっくりするほど簡単に発行することができます。入力する項目は商品名と価格だけ。画像も追加できますが、任意です。導入費用も月額利用料金も無料で、かかるのは決済手数料のみ。売り上げは最短翌営業日に振り込まれるのもうれしい点です。
ECサイト不要でオンライン販売が可能に
Square リンク決済なら会計リンクを作成しSNSやメールで共有するだけ。ECサイトがなくても誰でも簡単ににオンライン販売が可能です。
クレジットカード決済端末の選び方
クレジットカード決済端末選びは、言い換えると、決済代行会社選びともいえます。聞き慣れない言葉かもしれませんが、決済代行会社とは、クレジットカード決済を導入したい事業者と、クレジットカード会社などの関係機関の間に立ち、決済サービスを提供する会社です。
決済代行会社を利用しなかった場合、事業者は一つひとつのクレジットカード会社と直接契約することになります。直接契約は大変手間のかかる作業のうえ、法人でもハードルが高いといわれています。決済代行会社を利用することで、わざわざ茨の道を歩むことなく、複数のキャッシュレス決済手段を一度に導入することができます。
ここでは、決済代行会社を選ぶうえで特に注目しておきたいポイントを紹介します。
導入・運営にコストはいくらかかるか
以前まではクレジットカード決済を導入するとなると、初期費用だけで数十万円を超え、さらに月々の固定費がかかることも少なくありませんでした。しかし近年では初期費用は端末代金のみ、POSレジは無料でダウンロードできるアプリから使えるなど、個人事業主にとっても手が出しやすい価格帯になりました。
ただし、お手頃なサービスを選べばいいというわけでもありません。安価に見えても、細々とした手数料がかかることも多いからです。特に以下のような手数料が発生するかは事前に確認しておきましょう。
- 早期入金手数料
- 振込手数料
- 事務手数料
- 販売手数料(ネットショップの場合)
補足までに、早期入金手数料とは、入金サイクルを早めたときにかかる手数料です。
詳しくは「ネットショップにかかる手数料はコスト節約の鍵」の記事もご参考ください。
入金サイクルは遅くないか
資金繰りを考えたときに、見逃せないのが入金サイクルです。近年では従来のように翌月末や翌々月末まで待たなくても、売上額が迅速に振り込まれるサービスもあります。Squareもそのうちの一つです。
多くのサービスでは、通常より少し早く売上額を入金してもらうためには、事業主が自ら振込申請をしなければいけないことがあります。手間がかかるうえに、申請を忘れたときに入金が遅れてしまうことがネックです。Squareなら振込申請をしなくても、最短翌営業日に売上額が振り込まれます。
連携サービス・機能は充実しているか
従業員数や店舗数を増やす、ネットショップをオープンする、などビジネスの拡大をある程度見据えて決済サービスを選んでおくと、あとになってサービスを切り替える手間などが省けるかもしれません。そのときのためにチェックしておきたいのが、連携サービスや機能の充実度です。特にビジネスの運営に関わるデータを一つのサービスに集約できると、情報が散らばらないため、管理もしやすくなり、結果的に業務効率化にもつながります。
以下のような機能が備わっているかは確認しておくといいかもしれません。
✅ POSレジ機能
✅ スタッフ管理機能
✅ ネットショップ作成機能
✅ 予約管理機能
✅ 在庫管理機能
✅ 売上分析機能
✅ クラウド会計ソフトとの連携機能
✅ クラウド請求書作成機能
など
セキュリティー対策は安心できるものか
硬貨や札束などの現金に個人情報が刷り込まれることはありませんが、クレジットカードには名前やカード番号、有効期限などがあり、少し大袈裟にいえば、個人情報の塊といえるかもしれません。しっかりとセキュリティー対策を講じておかないと、これらの情報が流出してしまうことも十分ありえます。万が一情報漏えいが起きた場合、信用をなくし、お客さまが離れていってしまう可能性もあります。決済代行会社が具体的にどんなセキュリティー対策を行っているかは、決済端末を導入する前に確認しておきたいところです。
今後進むキャッシュレス化の波に乗り遅れないためにも、クレジットカード決済が気になっているという個人事業主はぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2018年7月9日時点の情報を参照しています。2024年9月25日に記事の一部情報を更新しました。 当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by,Unsplash