客単価アップや新規のお客さまの獲得に役立つクレジットカード決済への対応。決済手数料がネックでまだクレジットカード決済を導入していない経営者や、すでに導入しているけれどもっとコストを下げたいと考えている経営者もいるのではないでしょうか。
今回はクレジットカードの決済手数料の仕組みや相場、加盟店として守らなければならないルールなどを解説していきます。
目次
- クレジットカード決済手数料とは
- クレジットカード決済をビジネスに導入するメリット
・新しい顧客を獲得できる
・客単価が上がる
・レジ締めに充てる時間が短縮される
・未回収のリスクがない - クレジットカード決済手数料の相場とは
- 決済手数料の負担を軽減する方法は?
・モバイル決済を導入する
・決済手数料以外のコストも忘れずにチェック
・Squareのモバイル決済端末を導入する - 加盟店が守るルール
クレジットカード決済手数料とは
クレジットカード決済手数料とは、加盟店(クレジットカード決済を受け付ける事業者)がカード会社や決済代行会社に支払う手数料のことです。
カード会社はお客さま(カード利用者)が利用した代金をいったん立て替えて加盟店に支払います。立て替えた代金は請求日にまとめてお客さま(カード利用者)に請求します。つまりお客さまにとっては後払いになる支払い方法です。
クレジットカードを発行する会社はお客さま(カード利用者)を審査し、支払い能力があると判断すればクレジットカードを発行しますが、中には支払いが遅れたり滞ったりするケースもあり、回収できず貸し倒れになるリスクを負います。
対して加盟店にはカード会社が立て替えた代金が支払われるので、未回収のリスクがありません。カード会社に決済手数料を支払う必要はありますが、クレジットカード決済を導入することで、さまざまなメリットを受けることができるのです。
クレジットカード決済をビジネスに導入するメリット
新しい顧客を獲得できる
株式会社ジェーシービーが2021年に行った調査で「1年前と比べてキャッスレス決済が増えた」と答えた人が57.7%にのぼるなど、ますます勢いが増す国内のキャッシュレス化。消費者がキャッシュレス払いを選ぶ代表的な理由といえば、「ポイントを貯めたい」「現金をATMからおろすのが面倒」などが挙げられます。このように「支払いは基本的にキャッシュレス」という層を囲い、機会損失を防止するうえでもクレジットカード決済への対応は大切だといえるでしょう。さらに手持ちを多く持たない人にとってはキャッシュレス決済への対応もお店選びの大事な指針となりつつあります。より多くの利用者のニーズに応え、新規顧客獲得につなげていくためには、できるだけ多くの支払い方法を提供することも忘れてはいけない点でしょう。
参考: クレジットカードに関する総合調査2021年度版(株式会社ジェーシービー)
客単価が上がる
クレジットカードでの支払いに対応していない場合、お客さまが買い物、あるいは飲食できる上限額は手持ちの分だけです。一方で、クレジットカードが使えるとわかれば、「給料日前で手持ちがあまりない」「現金をおろすのを忘れてしまい財布がすかすか」という事情に振り回されることなく、商品を購入する・しないの判断を下せるでしょう。銀行系カード会社の業界団体が発表した調査結果によると、クレジットカードでの決済額は現金と比べて1.7倍にも及ぶそうです。
参考: クレジット利用額、現金の1.7倍(2018年2月27日、日本経済新聞)
レジ締めに充てる時間が短縮される
閉店後に待ち構えるレジ締め作業。現金を数え、誤差の理由を解明し、売り上げを帳簿に記入する……そうこうしているうちに1時間が経過していたという場面は日常的に起きているかもしれません。クレジットカード決済を導入すると、数えなければいけない現金が減るのはもちろんのこと、クラウド型POSレジと連携させることで売り上げの集計もあっという間に終わります。POSレジの売上データは、多くの場合、会計ソフトと連携することもでき、帳簿づけの自動化も可能です。このようにレジ締めの負担が大幅に軽減されることも、クレジットカード決済を導入するメリットの一つでしょう。
未回収のリスクがない
ネットショップや宿泊施設のなかには、代金引換・当日現金支払いしか受け付けていないところもあるかもしれません。しかし、現金決済のみとなると、突然のキャンセルが発生したとき、請求額は未回収のままになるという事態も考えられます。クレジットカードでの支払いであれば、商品・サービスの購入と同時に決済が行われるので、未回収のリスクを防げるうえ、キャンセル料金を差し引いた払い戻し対応も可能です。
クレジットカード決済手数料の相場とは
お客さま(カード利用者)が支払った代金から決済手数料が引かれた金額が、カード会社から加盟店に振り込まれます。手数料率の相場は、業種やお店の規模、扱う商品によって異なるといわれています。たとえばコンビニエンスストアやスーパーなどでは1%から2%ほどの決済手数料率であることに対して、個人商店では4%から7%ほどの手数料が売り上げから引かれることもあります。規模が大きいビジネスでは利用客も多く、回収リスクが低いこともあり、手数料率が低く設定されているようです。
手数料を決める細かな基準は公にされていないため、不透明な印象を持つ人もいるかもしれません。キャッシュレスに関する調査では、クレジットカード決済導入に踏み切れない理由に「決済手数料が高いから」と回答している企業が最も多いという結果が出ています。
参考:キャッシュレス決済 実態調査アンケート 集計結果(経済産業省)
決済手数料の負担を軽減する方法は?
現金決済とキャッシュレス決済の大きな違いといえば、決済手数料の有無かもしれません。できることなら加盟店手数料を低く抑えたいと思う人も少なくないでしょう。手数料の負担を軽減するには以下を検討しましょう。
モバイル決済を導入する
キャッシュレス決済の普及とともに、スマートフォンやタブレットと決済端末を無線でつないで使用するモバイル決済端末に注目が集まっています。
モバイル決済の決済手数料率は、業種や事業規模を問わず3%台からと、これまでと比べて低く設定されているのが特徴です。そのほかにも配線工事不要ですぐに導入できる、固定費を抑えられるなどのメリットがあることから、個人商店など小規模なビジネスでも気軽にクレジットカード決済が導入できるようになりました。
初期費用や固定費は提供元によって異なりますが、たとえばSquareなら初期費用は決済端末代金のみで、固定費はかかりません。
決済手数料以外のコストも忘れずにチェック
クレジットカード決済にかかる手数料を考えるとき、多くの人は「決済手数料」を思い浮かべるかもしれません。ただし、決済サービスによっては
- 振込手数料
- 早期入金手数料
- 事務手数料
などの手数料が発生することもあります。
決済手数料に限らず、このような手数料の有無を確認しておくことも、コスト節約に効果的です。たとえば2番目にある早期入金手数料に関しては、あらかじめ入金サイクルが短いサービスを選んでおけば負担せずに済むでしょう。Squareなら最短翌営業日に当日分の売上額が振り込まれるため、早期入金サービスは用意していません。振込手数料も事務手数料もかかりません。
Squareのモバイル決済端末を導入する
Squareは無線のモバイル決済端末、Square リーダーを提供しています。片手で持てるコンパクトなサイズなので、レジスペースを占領しないのはもちろんのこと、イベントの出店時などにも簡単に持ち運べます。
初期費用にかかるのは、端末代金の4,980円(税込)のみ。月額費用は不要なので、ランニングコストを抑えることができます。前述のとおり、振込手数料や事務手数料はかかりません。決済手数料は以下の通りです。
※年間キャッシュレス決済額が3,000万円未満の新規かつ中小企業の加盟店の場合、VisaとMastercardの決済手数料を2.5%でご利用いただけます。年間キャッシュレス決済額が3,000万円を超える場合、すべての決済手段においてカスタム決済手数料をご利用いただける可能性がありますので、営業チームまでお問い合わせください。
金融機関によって異なりますが、最短で翌営業日に決済手数料が引かれた金額が入金されます。詳しい料金体系はこちらを確認してください。
▲Square リーダーの使用例
モバイル決済端末とあわせてタブレットの購入が必要な場合は、レジ機能とレシートプリンターが搭載されたSquareのキャッシュレス決済端末(Square ターミナル)の導入もおすすめです。タブレットを用意する必要はなく、たった一台でキャッシュレス決済を始めることができます。固定費はモバイル決済端末と同様、かかりません。詳しくは決済端末のページをご確認ください。
▲Square ターミナルの使用例
加盟店が守るルール
クレジットカード決済を導入し加盟店になったら、カード会社が定める加盟店規約に沿って利用しなければなりません。加盟店が規約を守らない場合には是正指導が行われ、改善しないと場合によっては厳しいペナルティを受ける可能性もあります。
もしかしたら「カードで支払いができるのはディナーだけといわれた」「手数料を上乗せして請求された」といった消費者の声を聞いたことがあるかもしれません。このような行為は加盟店規約によって禁止されています。
たとえばJCBの加盟店規約では、第11条2項で
加盟店は、有効なカードを提示した会員に対し、信用販売を拒絶し、または現金払いや他社の発行するクレジットカードその他の決済手段の利用を求めてはならないものとします。また、加盟店は、会員に対し、現金払いその他の決済手段を利用する顧客と異なる金額を請求したり、カードの取扱いに本規約に定める以外の制限を設ける等、会員に不利となる差別的取扱いを行わないものとします。
と定めています。
わかりやすくいえば、加盟店はお客さまがカードで支払いたいと申し出れば応じる必要があります。手数料を上乗せして現金払いのお客さまと異なる金額を請求したり、「他のカードはありませんか」など、カードが有効であるにもかかわらず、お客さまが希望するカードでの支払いを断ったりすることも違反になります。
規約に違反すれば、カード会社との関係を良好に保てなくなることに加えて、お客さまからの信用を失うことにつながります。常に誠実な対応を心掛けましょう。
また、カードを提示したお客さまが名義人本人であるかどうかを確認する注意義務もあります。署名のないカードや、名義人の異なる複数のカードを提示された場合は支払いを受け付けないなどの基本的な確認を、会計を担当する従業員全員がしっかりと行うことが大切です。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2018年4月6日時点の情報を参照しています。2024年11月1日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash