※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。
個人事業主やフリーランス、副業収入のある人に関係のある「確定申告」。2024年(令和5年分)の提出期限は、2024年2月16日(金)から3月15日(金)までです。この記事では、確定申告の基礎知識や、確定申告にまつわる手続きの期限、確定申告を行う方法や注意点、申告内容に誤りがあると起きることなどをいま一度振り返ります。
確定申告と聞くと、書類の準備などでバタバタする印象を受ける人もいるかもしれませんが、さまざまな作業を自動化してくれる会計ソフトや決済サービスをあらかじめ導入しておくと、負担もぐっと減ります。ここでは個人事業主やフリーランスの売上情報管理に役立つSquareのサービスもあわせて紹介します。
目次
- 2024年の確定申告書類の提出期間はいつからいつまで?
- そもそも確定申告とは?
- 確定申告の対象者とは?
- 課税される所得金額の計算方法
- 確定申告書の提出方法
- 確定申告の際に注意したい追徴課税について
- 確定申告内容が誤っていた場合の訂正方法
- 確定申告内容について相談できる場所
- 個人事業主・フリーランスワーカーの確定申告にも役立つSquareのサービス
2024年の確定申告書類などの提出期間
ここでは2024年(令和5年分)の確定申告書類などの提出期間を見ていきましょう。
所得税の確定申告はいつまで?
確定申告は、原則として3月15日までに手続きをすることが定められています。
2024年(令和5年分)の確定申告期間は、2024年2月16日(金)から3月15日(金)までです。延納制度を利用する場合の延長期限は、2024年5月31日(水)です。また、e-Taxだと書類の受付開始日が税務署と比べて1カ月以上早く、1月4日(木)からはじまる予定です。
参考:
・主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日(国税庁)
・e-Tax仕様書等(ドラフト版)の掲載について【令和6年1月4日受付開始予定】(国税庁)
郵送やオンラインで確定申告を行う場合も、必要書類の不足や通信障害などの可能性を考慮し、早めに申告することで期限内に確実に手続きを完了させましょう。手続き開始後に「必要な書類がない」「データを探すのに時間がかかる」といったことがないよう、確定申告期間より前に必要書類を準備しておくのがおすすめです。確定申告に必要な書類は「【2024年最新版】確定申告に必要な書類を対象者別に解説」の記事も参考にしてください。
所得税以外の申告はいつまで?
実はこの時期に申告する税金は、所得税だけではありません。以下の申告については、期限が別に設けられています。
- 消費税・地方消費税の確定申告:2024年4月1日(月)まで
- 贈与税の申告と納付:2024年3月15日(金)まで
還付申告はいつまでに行えばいい?
税金を納め過ぎた場合には「還付申告」という制度を利用して還付金を受け取ることができます。条件に当てはまるかどうかは国税庁が公開している【確定申告・還付申告】のページを確認するといいでしょう。還付申告は確定申告の期間内に行う必要はなく、2月16日以前でも申告することができます。
納め過ぎた年が数年前だったとしても、還付申告をする分の年の翌年1月1日から5年以内であれば申告の対象になります。たとえば2021年分の還付申告をする場合は2022年1月1日から5年以内という計算になり、期限は2026年12月31日までになります。
そのほか、確定申告と同じ期限までに必要な手続き
確定申告の青色申告に関連する書類のうち、以下の二つは確定申告と同じ3月15日が期限となります。
「青色申告承認申請書」は、青色申告の承認を受けるために必要な手続きで、二番目にある「青色事業専従者給与に関する届出書」は、青色事業専従者給与額を必要経費に算入するために提出しなければいけない書類です。いずれも確定申告と同じように管轄の税務署に提出します。
2023年分からの適用には、2023年3月15日までの提出が必要ですが、その年の1月16日以降に新規事業をはじめた場合、あるいは専従者が新たに増えた場合は、事業開始日などから2カ月以内であれば書類の提出が認められます。2023年分には間に合わないものの2024年分から適用したいという場合には、2024年3月15日までの提出を目指しましょう。
上記にくわえて、減価償却資産の償却方法を変更したい場合の手続き期限も、3月15日までです。減価償却について詳しくは「経営に必要な知識、減価償却をおさらい」の記事からご確認ください。
参考:A1-23 所得税の減価償却資産の償却方法の変更承認申請手続(国税庁)
そもそも確定申告とは?
確定申告とは、個人が1月1日から12月31日の1年間で得た所得の合計額をルールに基づいて計算し、税務署に申告する手続きを指します。確定申告で明らかにした所得額を基に、所得税、翌年に納める住民税、国民健康保険料などが算出されるため、正確さを要する手続きです。
確定申告では、「報酬から源泉徴収税が差し引かれている」「予定納税をしている」などのケースで税金を納め過ぎていないかどうかも確認します。過払い分があると確認された場合は、確定申告後に指定の方法で還付金を受け取ることで精算します。
確定申告は年1回、毎年行う手続きです。前年は非対象者だったとしても、個人・家庭の収入経路や金額が前年と変わった場合は対象になることもあるため特に注意が必要です。
参考:
・No.2020 確定申告(国税庁)
・税金の還付(国税庁)
確定申告の対象者とは?
確定申告の対象者には、個人事業主やフリーランスなどの事業所得がある人に加えて、会社員をしながら副業や複業などで収入を得ている人も含まれます。会社員の中でも、確定申告が必要な人は主に以下の3パターンに分類されます。
1.給与の収入金額が2,000万円を超えている場合
2.源泉徴収の対象となる給与を1カ所から受けており、各種所得額(給与所得と退職所得は除く)の合計額が20万円を超える場合
3.源泉徴収の対象となる給与を2カ所以上から受けており、年末調整されなかった給与と各種の所得金額(給与所得と退職所得は除く)との合計額が20万円を超える場合
他にも、国税庁が公開している「確定申告が必要な方」に該当する場合は忘れずに手続きしましょう。
課税される所得金額の計算方法
納める所得税額は、確定申告で明らかにする「課税所得金額」によって変わってきます。給与や事業などで得た「所得」と課税の対象となる「所得金額」はイコールではなく、「所得−所得控除」が課税所得金額になると覚えておきましょう。「所得」は以下の10種類に区分され、全てが確定申告の対象です。
- 利子所得(預貯金や公社債などの利子)
- 配当所得(株式配当や信託の分配金など)
- 不動産所得(土地、建物、船舶などの貸付などで得た所得)
- 事業所得(農業、漁業、小売業、サービス業などのビジネスから生じた所得)
- 給与所得(勤務先からの給与、賞与など)
- 退職所得(勤務先からの退職手当など))
- 山林所得(山林を伐採して譲渡、または立木のまま譲渡して生じた所得)
- 譲渡所得(土地、建物、会員権などの譲渡で生じた所得)
- 一時所得(懸賞・競馬などで生じた所得、保険の一時金・払戻金など)
- 雑所得(副業の所得、公的年金、非営業用貸金の利子など)
これらの所得の合計額から「所得控除」を差し引くと課税所得金額が導き出されます。所得控除には、医療費控除、扶養控除、青色申告特別控除、ふるさと納税を含む寄附金控除など多数の項目があるため、自分がどの所得控除の対象か確認しておきましょう。
参考:
・No.1300 所得の区分のあらまし(国税庁)
・No.1100 所得控除のあらまし(国税庁)
所得税額の計算方法
所得税の税率は一律ではなく、課税所得(※)金額によって5%から45%の異なる税率が適用されます。以下の表でどの枠に当てはまるかを見てみましょう。
※課税所得は、1年間の収入から経費や所得控除を差し引くことで算出します。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
所得税額は、「課税所得金額×所得税率−税額控除額」で算出することができます。
たとえば、課税所得金額が300万円だとしましょう。表を見ると、所得税率は10%で、課税所得額に応じた「税額控除」は、97,500円だということがわかります。この内容で計算をすると、所得税額は以下のように算出されます。
例:
3,000,000円(課税所得金額)×10%(所得税率)−97,500円(税額控除)
=202,500円(所得税額)
なお、令和19年分(2037年)までの確定申告に関しては、上記で算出した所得税額とあわせて、「復興特別所得税」も納付することになっています。復興特別所得税は、原則として所得税額の2.1%なので、上記の例だと、計算式は以下の通りです。
202,500(所得税額)×2.1%(復興特別所得税率)
=4,252円(復興特別所得税)
確定申告書の提出方法
近年では必ずしも税務署に足を運ばなくても確定申告の手続きが可能になり、以下の3種類の方法から選ぶことができます。
1. e-Taxでオンライン手続き
国税庁が運営するe-Tax(国税電子申告・納税システム)のウェブサイトから、オンラインでの確定申告が可能です。特に、不動産所得、事業所得、山林所得がある人のうち、青色申告を行うケースではe-Taxでの手続きが望ましいといえます。
その理由は、青色申告では確定申告の手続き方法によって「特別控除額」が異なるからです。期限内にe-Taxで申告すると65万円、その他の申告方法では55万円の青色特別控除額となり、10万円の控除額の差が出ます。この差により納める所得税額にも違いが出る可能性があります。
自宅などから手続きができるのがe-Taxのメリットですが、事前に税務署への届出やパソコンの設定などが必須であるため、e-Taxの利用には早めの準備が求められます。いつまでに何を準備するか計画的に進めましょう。
参考:
・ご利用の流れ (e-Tax 国税電子申告・納税システム)
・青色申告とは
2. 郵送で手続き
確定申告書を所轄の税務署に郵送して手続きする場合、郵便物に押される通信日付印(消印)が提出日とされることに注意が必要です。「いつまでにポストに投函するか」ではなく「何日の消印が押されるか」を考慮して早めに手続きを進めましょう。
郵送で確定申告を行う場合、小包や宅配便ではなく「郵便物(第一種郵便物)」または「信書便物」の形式で送ることが定められています。また、確定申告書の控えは自動的には送られてこないため、返信用封筒を同封することで収受日付印入りの控えの受け取りが可能になります。
参考:
・申告書の税務署への送付について(国税庁)
・申告書の提出(国税庁)
3. 税務署の受付に持参
税務署を含む確定申告会場を利用する場合、窓口に書類を持参して手続きします。書類の記入方法が分からない、質問があるといったケースでは、この提出方法がおすすめです。確定申告会場の利用には、入場整理券が必要です。入場整理券は当日会場で配布されるほか、LINEから取得することもできます。会場の混雑状況によっては、当日会場に入れない可能性もあります。国税庁では入場整理券の配布状況をホームページに掲載しているので、確認してから行くことをおすすめします。また、申告書の提出のみの場合、入場整理券は必要ありません。
確定申告の際に注意したい追徴課税
確定申告の過少申告や申告漏れなどが発覚した場合の追徴課税が、「加算税」と「延滞税」です。申告状況により、以下のような追徴課税が行われます。
延滞税は期限を過ぎた納税に対するペナルティーで、滞納日数に応じて加算され、最高税率は年14.6%です。確定申告書の修正が発生して手続きの完了が遅れた場合も追徴課税に当てはまるケースがあるため、申告時の不備に注意しましょう。
参考:
・No.2024 確定申告を忘れたとき(国税庁)
・延滞税の計算方法(国税庁)
期限後に申告をした場合
いつまでに確定申告を行うか分からなかった、申告を忘れたなどの理由で「期限後申告」を行うと、所得税に加えて「無申告加算税」を上乗せして納付することになります。本来納付すべき所得税額の15%または20%が無申告加算税となるため、申告者にとって決して小さくないコストといえます。
税務署の調査が実施されるより先に自主的に期限後申告を行えば、無申告加算税が5%に軽減されます。確定申告の期限を過ぎてしまっていることに気づいたら、放置せずにできるだけ早く申告するのが賢明です。
ただし、「確定申告の期限から1カ月以内に自主的に期限後申告を行った」ことに加え、「期限内申告をする意思があったと認められる」場合は、無申告加算税の課税はありません。
期限内の申告・納税が難しい場合は延納制度を活用しよう
期限内に確定申告や納税を行うことが困難な状況にある場合、延長・延納の制度を利用することが可能です。
たとえば、災害、盗難、新型コロナウイルス感染症などが原因で確定申告の手続きが遅れそうな場合は、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を郵送などで税務署に提出することで、手続きを待ってもらうことができます。提出できるようになった段階でできるだけ早く手続きしましょう。
また、同様の理由で期限内に所得税を全額納付することが難しい場合も、所定の手続きを確定申告時、または申告後に行うことで「延納」が可能です。
なお、延納ができるのは納税額の半分の金額です。3月15日まで(振替納税の場合は振替日まで、2023年分の振替日は2024年4月23日)に2分の1の金額を納税することで、残りの金額を5月31日まで延納可能となります。さらに、延納の期間中には「利子税」も発生します。利子税は変動の可能性がありますが、年「7.3%」または「特例基準割合」のいずれかのうちの低い割合で加算され、その分だけ納税のトータルの金額が増加します。
参考:
・[手続名]災害による申告、納付等の期限延長申請(国税庁)
・延納の届出(国税庁)
確定申告内容が誤っていた場合の訂正方法
確定申告の期限内である3月15日までに「自分が申告した内容に誤りがあった」と気付いた場合は、確定申告書をもう一度提出することで訂正が可能です。確定申告の期限後に訂正する場合は、訂正内容に応じて以下の方法で手続きします。
実際より少なく申告してしまっていた場合
申告額が実態より少なく、「本来はもっと申告すべき金額があった」というケースでは、「修正申告」の手続きが必要です。
修正申告は、2021年(令和3年)分までは「申告書B第一表」と「第五表(修正申告書・別表)」という二つの書類が必要でした。2022年(令和4年)分からは「申告書A」と「申告書B」は「申告書」に一本化され、「第五表(修正申告書・別表)は廃止されます。その代わりに、申告書の第一表の修正申告欄に記載することになります。最終的に過少申告加算税がかかることもありますが、正直かつ正確に申告しましょう。
実際より多く申告してしまっていた場合
「本来申告する金額より多く申告してしまった」というケースでは、所轄の税務署に「更正の請求書」という書類を提出することで申告額を訂正します。提出後、請求内容が調査されて間違いがないことが明らかになると、多く納め過ぎた税金の還付が行われます。
確定申告について相談できる場所
ここまでは確定申告の期限にくわえて、確定申告をする際に押さえておきたい情報をまとめてきました。それでも解消できていない疑問があるかもしれません。確定申告に関して不明点がある場合に相談できる場所を以下にまとめました。無料で相談を受け付けているところもあるので、困ったときには頼りにしてみるといいでしょう。
税務署
税務署によっては確定申告時期になると、税務署内、または署外に相談会場を設け相談を受け付けています。税務署ごとに対応が異なるので、管轄の税務署に確認するのが一番でしょう。
「申告期間がはじまる前に相談がしたい!」という場合は、税務署の税務窓口を利用する、あるいは電話やチャットボットから問い合わせることができます。連絡先は、税についての相談窓口のページからご確認ください。
各市町村の役場、商工会議所
市町村によっては、役場の税務窓口などで相談を受け付けていることもあります。一般的な質問であれば対応できるかもしれませんが、込み入った質問をしたい場合は税務署や税理士などに頼るのがいいでしょう。役場の連絡先は、市町村の役所・役場一覧のページから探すことができます。
また、商工会議所でも記帳や税金について無料で相談することができます。たとえば東京商工会議所では個人事業主を対象に無料で記帳相談を受け付けています。窓口ごとに相談日などは異なるようなので、まずは事業を管轄するエリアの相談窓口に確認してみるといいでしょう。
税理士
確定申告の手続きについてだけでなく、節税についてもアドバイスなどがほしい場合は税理士に相談するといいでしょう。基本的に相談は有料になりますが、税理士会が無料相談会を実施することもあるようなので、実施の有無を検索してみるといいかもしれません。ただ無料の分、混み合うことが予想されます。事前にある程度相談したい内容を整理したうえで会場に向かうのがおすすめです。
青色申告会
全国にある青色申告会は、個人事業主のための納税団体です。基本的には最寄りの青色申告会に入会し、入会費と月会費を支払うことで、さまざまなサービスを受けられるようになります。月会費は地域ごとに異なるようですが、基本的には1,000円から2,000円ほどで、お手頃だといえるかもしれません。会計処理に困ったらひとりで抱え込まず、こういった団体に相談してみるのも一つの手でしょう。
個人事業主・フリーランスワーカーの確定申告にも役立つSquareのサービス
個人事業主やフリーランスワーカー、副業・複業を行う会社員が確定申告の手続きを行う場合、1年間の売り上げや経費などを証明する情報をすべて用意しておく必要があります。たくさんの情報が紙や別々のデジタルプラットフォームなどでバラバラに保管されていると、確定申告の際に毎年データの確認や提出に多大な時間と労力を費やすことになりかねません。
そこで重要となるのが日々のデータ管理です。国内外の事業者に使われているビジネス向けのプラットフォーム「Square」の無料アカウントがあれば、情報の一元管理ができます。業務に関わるデータをSquare上に保管できるだけでなく、以下のようなサービスを利用可能です。
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執筆は2020年1月1日時点の情報を参照しています。2024年1月30日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash