移動販売・キッチンカーの許可を取るには?開業までの流れ

どこからか聴こえてくるオクラホマミキサーの音楽に胸を高鳴らせて家の外へ駆け出した子ども達の向こうには、みんなが大好きなアイスクリームトラック…….なんてシーンをテレビや映画で観たことがありませんか。もちろん、現実の世界でもアイスクリームの移動販売は子どもだけでなく多くの人を魅了しています。

仕事場近くの公園に毎週火曜日に必ずやってくる弁当屋、いつもと違うルートで帰宅したらたまたま見つけたたこ焼き屋、スーパーの駐車場にたまに現れる石焼き芋のトラックなど、車輪のついたお店には、スーパーやレストランとはまた異なる魅力があります。

飲食の移動販売は、土地や物件を確保する必要がない分、比較的低予算で開業できます。とはいえ、移動販売の開業は思い立ったらすぐにできるものではありません。食品を取り扱ったり販売したりするための許可や営業場所の確保など、念入りな準備は欠かせません。下準備がしっかりしていれば、売り上げアップのための集客や戦略を練る作業に時間を取ることもできます。

今回は、食品の移動販売(フードトラックやキッチンカーとも呼びます)のスムーズな開業に向けて、必要な許認可と事前確認ポイントを説明します。

目次



移動販売をはじめるときに必要なもの

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メニューに適したスペースがあるかを確認

移動販売車は、取り扱う商品の品目や販売形式に合わせて改造する必要があります。クレープやサンドイッチなど、注文を受けてから簡単な調理をして提供するのであれば、盛りつけるスペースや具材を保存する冷蔵庫が必要です。ホットドッグのように具材に火を通したりパンを温めたりする必要があれば、コンロやトースターなどの機器も必要になるでしょう。石焼き芋は、熱々のお芋をいつでも提供できるように、石を熱する特別な装置を取り付けなければなりません。

新車か中古かを決める

飲食の提供に必要な車の大きさや設備を決めたら、専門業者に製作を依頼しましょう。もちろん、すでにキッチンやカウンターなどを備えている移動販売車を中古で購入するのも手です。たとえば、改造済みの中古軽自動車であれば100万円程度で購入できるようです。固定の飲食店に必要な初期費用とあまり変わらないように感じるかもしれませんが、車は一度購入すれば毎月の賃貸料が必要なく、スペースと人員が限られている分、光熱費や人件費が抑えられ、長期的に見れば低コストでの運用が見込めます。

外装にも気を配る

機能面はもちろん、外装も重要なポイントです。なぜならば、移動販売車がそのままお店の看板となるからです。今にでもバンパーが外れそうなボロボロの車がオクラホマミキサーを流しながら広場にやってきても、アイスクリームを買いに来るお客様はまずいないでしょう。また、何を売っているか分からない外装も集客につながりません。車の見た目と商品のイメージが合っているか意識してみてください。予算に余裕があれば、車体の色を塗り替えたり、店名や食べ物の絵を車体に描いたりしてインパクトある販売車をデザインしてみましょう。たとえば、タコスの大きなレプリカを屋根に取り付けた車は、一目でタコス屋と分かるでしょう。車検に通ることを意識しつつ創造力を発揮してみてください。

移動販売の営業に必要な許認可と手続き

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営業許可

移動販売を始めるために必要な許可です。管轄の保健所で手続きをします。まずは、開業したい移動販売が該当する業種を把握しておきましょう。

たとえば、調理済みの食品を販売する場合には弁当販売業や乳類販売業としての「営業届出」が必要です。調理をして販売をする場合には、飲食店営業の「許可申請」が必要です。必要な届出・許可申請の線引きに悩んだら、まずは保健所に相談することをおすすめします。

また、仕込み場所に別途営業許可が必要な場合もあります。仕込み用に場所を借りたり、移動販売をしている仲間と共同で厨房がある施設を使用したりする場合は、使用する施設が営業許可を受けていることを確認し、必要に応じて保健所に書類を提出しましょう。

「管轄の保健所」について注意点があります。移動販売の場合、複数の市区町村や都道府県にまたがった営業も考えられるでしょう。この場合、営業範囲をカバーする全ての保健所で営業許可を取得する必要があります。 取り扱う商品や営業範囲に変更があれば、その都度管轄する保健所で新たに営業許可を取得する必要があります。

詳しくは、厚生労働省の保健所管轄区域案内で確認してください。

食品衛生責任者の資格

食品を扱う営業を行う場合、施設ごとに食品衛生責任者を1名以上配置することが義務づけられています。移動販売車の営業も同様です。食品衛生責任者とは、食中毒などが起きないよう食品衛生法に則り、施設での食品衛生を管理・実施する人のことです。

食品衛生責任者になるには約6時間におよぶ講習を受講し、資格を取得します。調理師や製菓衛生師、栄養士など、指定の資格を取得している場合は免除の対象になるので、事前によく見ておくといいでしょう。以前までは指定会場で受講することが一般的でしたが、最近ではオンラインでの受講も可能になりました。詳しくは東京都福祉保健局のウェブサイトにある「食品衛生責任者」のページをご確認ください。

手続きに必要な書類

必要な届出・許可申請と管轄の保健所が分かり、食品衛生責任者の資格を取得したら、手続きのために必要な書類をそろえます。書類も、保健所で事前に確認していくことがおすすめです。

例として、営業の内容や方法が分かる事業概要、移動販売車の内装設備の配置図などが挙げられます。水タンクの大きさや電力の供給方法など、細かい設備基準が定められている場合もあります。

そのほかにも、

  • 食品衛生責任者の資格が証明できる書類
  • 道路使用許可証
  • 車検証の写し

などが求められる可能性があります。詳しく見ていきましょう。

食品衛生責任者の資格が証明できる書類

食品衛生責任者の講習後に交付される受講修了証など、資格を取得したことが証明できる書類を用意しておきましょう。なくしてしまった場合は、再交付してもらえるかを受講先に確認するといいでしょう。

道路使用許可証

営業場所がイベント会場やショッピングモールの駐車場などであれば、営業場所の確保を直接会場を運営する企業・団体に交渉することができますが、道路上で営業をする場合、管轄の警察署長から道路使用許可を受けることが道路交通法で定められています。公園内で営業する場合は、都市公園法が関連し、管轄の地方公共団体や国土交通省に申請する必要があります。

車検証の写し

改造した販売車が法律(道路運送車両法)に則っているかを確認するために一般的に車検証の写しを求められるので、車検は余裕を持って済ませておきましょう。

移動販売をはじめるための初期費用

移動販売に必要な初期費用は、おおよそ250万円から500万円程度だとされています。ここでは、その内訳を見ていきます。

キッチンカー

キッチンカーを手に入れる方法は、さまざまです。最も手取り早いのは、シンクや冷蔵庫など設備が揃った新車または中古キッチンカーの購入でしょう。

コストを抑えるために自分で改造するという方法もあります。ただし配管工事や電気のつなぎこみに失敗すると漏電、漏水の恐れがあるため、実際は専門業者に依頼する人が多いようです。

なかには購入せずに、レンタル会社やリース会社を利用する人もいます。それぞれのおおよその値段は、以下の表にある通りです。

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設備・消耗品

車の入手方法が決まったら、今度は調理器具や食品容器、看板などの販促物の購入費なども視野に入れていきます。

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食材

設備面が整ってきたら、今度はお客様に提供するメニューの材料を調達します。開業前のタイミングでは、メニューの練習や研究のために試作費用が発生することもあるでしょう。

キャッシュレス決済システム

現金大国ともいわれた日本ですが、近年ではキャッシュレス決済比率も伸びはじめ、経済産業省の2023年の発表内容によれば、ようやく4割近くを占めるようになってきました。さらに株式会社電通の調査では、キャッシュレス決済を「よく利用している層」、「利用している層」、「たまに利用している層」は合わせて9割以上にもおよび、キャッシュレス決済が浸透していることがわかります。現金決済にしか対応していないと、逃してしまうお客様も出てくるかもしれません。

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自ら機会損失を招くことがないよう、キャッシュレス決済にも対応しておきたいところです。Squareなら、数千円ほどの初期費用でキャッシュレス決済に対応することができます。詳しくはSquare ショップのページをご確認ください。

参考:
2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました(2023年4月6日、経済産業省)
日本のキャッシュレス推進は「たまに利用」層がカギを握る(2023年6月1日、電通報)

書類の発行、資格の取得

最後に、移動販売をはじめるうえで必要な書類や資格などにかかる費用も計算していきます。

書類発行手数料

※申請する自治体によって異なる可能性があります。

移動販売の注意点

飲食店開業と比べると安いコストではじめられる移動販売ですが、はじめるうえでいくつか念頭に置いておきたい点があります。

出店料がかかる

移動販売のメリットといえば、どこでも販売ができることかもしれません。ただ、基本的にはどこに出店する場合にも、出店料が必要になります。一度にたくさんの人が集まるマルシェやフリマ、会社員をターゲットにできるオフィス街、土日などに混み合う商業施設内など、出店する場所によって出店料も変わるので、あらかじめ費用を確認しておくといいでしょう。

天候などの影響を受ける

雨や台風など、天候に恵まれない日にはどうしても集客がしにくくなり、売り上げも気候に左右されてしまいます。悪天候のなかでもお客様に来てもらうためには、SNSなどで雨の日ディスカウントの発信をするなど、集客方法を工夫する必要が出てくるでしょう。また、厳しい暑さが続く夏の日も、冷え込む冬の日も体調を崩さず車内で仕込み・販売をしていくには、季節に応じた対策も必要になるでしょう。

販売できる数が限られる

小さなスペースを利用して販売する分、人件費などは抑えられるものの、販売できる量は限られてきます。品目を増やせばその分調理に時間がとられてしまうなど、効率的なオペレーションが難しくなるのもそうですが、前提として、キッチンカーに積める食材の量には限りがあります。客単価を上げるためには少数のメニューに絞り、トッピングなどでバリエーションをつけていく、などの工夫が大切になるでしょう。

集客率は出店エリアに大きく左右される

マルシェやイベント、お昼時になると複数のフードトラックが集まるエリアでの出店だと自然と人が集まりやすいかもしれません。一方で、賑わいに欠ける場所に出店したとしたらどうでしょう。集客が難しく、結果として食材がたくさん余ってしまうことも考えられます。ターゲットのお客様が集まりやすい場所を調査したうえで、出店場所を決めることが大切です。加えて、集客にはSNSなどの活用も必須といえるでしょう。

決済は移動販売にも便利なSquareを

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移動販売を始めるための手続きを無事終えたら、まずは一安心です。しかし、その後にもたくさんの仕事が待ち構えています。なるべく多くの人に知ってもらうための宣伝活動、集客に効果的な出店場所の研究、メニュー開発、リピーター客を増やすための戦略立てなど、挙げたらきりが無いでしょう。

スムーズな会計は、移動販売に欠かせない重要な要素の一つです。気軽に立ち寄れるキッチンカーで素早く会計ができることはお客様にとっても魅力になります。

低コストではじめられるSquare リーダーとSquare POSレジアプリ

Squareは、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイス上で使うことができる便利なSquare POSレジアプリを提供しています。Bluetoothで接続できる専用のSquare リーダー(税込4,980円)と併せて使うことで、移動販売でも置き場所に困らず、移動した先で簡単にクレジットカード決済QRコード決済電子マネー決済を受け付けることができます。

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このように豊富なキャッシュレス決済方法を受け付けられることから、思い切ってオールキャッシュレスにする移動販売車もあるようです。結果として、釣り銭の準備やレジ締めの作業などをまるっと削減できます。釣り銭を準備するにはわざわざ銀行まで足を運ぶ手間があったり、管理にも慎重にならないといけなかったりします。一人、または少人数で仕入れ、調理、お会計などを行うと考えると、オペレーションの効率化としても検討したいところかもしれません。

タブレットがいらないSquare ターミナル

「決済端末と合わせて使えるタブレットがない」などの場合には、Squareのオールインワン決済端末(Square ターミナル)を導入するのも一つの手です。POSレジとレシートプリンターが搭載されているので、タブレット、決済端末、レシートプリンターと個別に機器を用意する必要がありません。Bluetooth接続の必要もないので、「機器の設定は苦手で……」という人でも、すんなりと使いはじめられるかもしれません。

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事前注文にも便利なウェブサイト

あらかじめにオンラインでメニューを注文し、指定時間にお店まで足を運ぶと頼んだものをサッと受け取れる事前注文のウェブサイトを利用したことがあるかもしれません。Squareでは、このような事前注文サイトの作成も可能です。

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SNSなどで事前注文サイトの利用を促し、利用者が大半を占めるようになったとしましょう。お客様が購入を諦めてしまうような長蛇の列ができることも減り、機会損失も最小限に抑えられるかもしれません。前もって受け付けられる1日の注文数やそれぞれの時間枠で受けられる注文数は事前に設定しておけるため、対応しきれないほどの注文が入る心配もいりません。詳細は以下のリンクからご確認ください。

▶︎Squareで事前注文サイトを作る

ネットショップを無料で開始するならSquare

EC作成から、オンライン決済、店舗連動の在庫管理まで、便利な機能が無料で簡単に始められます。

コスト削減にも資金繰りにもうれしいサービス

Squareのキャッシュレス決済に必要なのは、決済端末の購入にかかる費用と決済ごとにかかる手数料のみです。金融機関にもよりますが、決済手数料を引かれた金額が最短で翌営業日に振り込まれます。審査に通過すれば最短即日から利用開始でき、簡単かつスピーディーにキャッシュレス決済を導入できます。Square データでその日の売り上げを確認したり、在庫管理を行ったり、複数の移動販売車から上がる売上データも一つのアカウントで一元管理することが可能です。

有名なフードトラックを目指すためのはじめの一歩としてSquareの導入をぜひご検討ください。


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2017年5月29日時点の情報を参照しています。2023年6月20日に記事の一部情報を更新しました。現時点では、タクシー・ハイヤー等での電子マネー決済のご利用はできません。ご了承ください。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、スクエアは責任を負いません。Photography provided by,Unsplash