お客さまへの課金方法は、事業を営むうえで重要な戦略の一つです。なかでも安定的な売り上げを見込める継続課金は、人員計画や事業拡大を容易にするだけでなく、顧客満足度をぐっと上げることもできるでしょう。
そこで今回は、継続課金の基本とメリット、主な決済手段をまとめました。後半では、簡単に継続課金を始める方法についても解説しています。
目次
継続課金とは
継続課金とは、解約や退会をしない限りお客さまに対して継続的に請求する課金方法です。この仕組みでは、お客さまは一定の期間、商品やサービスの対価を継続的に支払います。一方、事業者は安定した収益を見込むことができます。
継続課金の仕組み
継続課金では、商品やサービスの代金を継続的に請求します。サブスクリプションサービスの料金や定期的なサービス利用料などが該当します。お客さまは一度契約すれば、以降は自動的に支払いが行われるため、手間が省けるのが特徴です。お客さまへの請求手段は、払込票・請求書の定期送付や口座振替、クレジットカード決済などさまざまです。詳しくはのちほど解説します。
都度課金や月額課金とどう違う?
事業者が商品やサービスを提供する際の課金方法としては、ほかにも「都度課金」や「月額課金」があります。
都度課金とはその名のとおり、お客さまがサービスや商品を購入するたびに代金を支払う方法です。場所や業種を問わず、もっとも一般的な課金方法だといってよいでしょう。都度課金はそもそも継続を前提としていない点が、継続課金とは大きく異なります。お客さまが気軽に購入できる一方で、販売した数量によって売り上げが左右される点がデメリットです。
月額課金は、お客さまが毎月一定の料金を払って商品やサービスを利用する仕組みです。例としては、コンテンツ配信サービスやクラウドサービスの月額利用料、ジムやスクールの会費などが該当します。お客さまが継続的に支払うという意味では、月額課金も継続課金の一部だといえるでしょう。
継続課金に向いているビジネスモデル
継続課金は、比較的短期間でのリピート消費が見込める商品・サービスの販売に向いています。スキンケアやヘアケア製品、オムツやペットフード、健康食品などを継続課金モデルで販売すれば、お客さまも毎回購入する手間が省けるでしょう。
家具や家電、介護およびベビー用品のレンタルサービスなど、使用料を継続的に受け取るモデルも継続課金向きです。さらに、洋服やバッグなどを月またはシーズンごとに貸し出すサービスも継続課金を活用できるモデルの一つです。
ほかにも、継続課金は既存のビジネスモデルの売上チャネル拡大にも貢献します。たとえば生花店がお花の、飲食店がお惣菜の、カフェがコーヒー豆の定期便を始めれば、実店舗以外の販路が生まれるでしょう。
継続課金システムを導入する3つのメリット
継続課金システムの導入は事業にさまざまなメリットをもたらします。なかでも特に注目したいのは次の3点です。
(1)長期的に安定した売り上げを確保できる
一般的に、安定した売り上げの大部分はリピーター客によって生まれます。継続課金システムを導入すれば、それらのリピート売り上げを逃さず、一定の売り上げを継続的に確保することが可能です。これにより、将来の売上予測が容易になるだけでなく、中長期的な経営戦略も描きやすくなります。
(2)未入金リスクを回避できる
口座振替やクレジットカード決済を利用した継続課金システムを導入すれば、商品やサービスの代金は定期的に自動で回収されます。支払いが漏れたり遅れたりするリスクが大きく下がるため、資金繰りも安定するでしょう。
(3)コストと事務作業が減る
決済処理が自動で行われるよう設定すれば、課金のたびに書類を発行・送付する必要はありません。また、利用するサービスによっては管理画面から月々の課金が問題なく完了しているかどうかなどを一目で把握できるため、銀行口座明細とのつき合わせが不要です。さらに期限内の支払いを確認できない場合も、お客さまにメールが自動で送信されるため、督促の手間がかかりません。
継続課金の主な決済手段
継続課金にはさまざまな決済手段があります。ここでは5種類の決済手段について、メリットやデメリットを交えながら解説します。
口座振替決済
口座振替は、お客さまの銀行口座から定期的に自動で引き落とす方法です。書類による初期手続きが必要ですが、手続き完了以降は毎回自動で引き落とされるので、お客さま自らが支払いをする手間がなく、払い忘れの心配もありません。事業者側も、金融機関を通じて決済処理の完了を確認できるので、毎回お客さまに請求する必要がありません。
口座振替サービスを利用する際には初期費用や月額利用料、振替ごとにかかる手数料など何かとコストが発生します。銀行口座に残高が十分あるかどうかを常に気にしておかなければならないという点で、口座振替を好まないお客さまもいるかもしれません。
クレジットカード決済
お客さまのクレジットカードに継続的に課金する方法です。初回利用時にお客さまのカード情報をシステムに登録しておけば、その後は事業者が設定したスケジュールで自動的に課金されていきます。書類による手続きが必要なく、マイルやポイントを貯めるために積極的にクレジットカードを利用したいというお客さまにメリットのある支払い方法です。
クレジットカード決済システムを導入する際には初期費用や審査手続きが発生し、その後も決済手数料がかかりますが、カード情報を登録するだけですぐに継続課金を始められる点が大きな魅力です。実店舗で商品の対面販売をしつつ、オンラインで定期購入も提供しているようなビジネスなら、都度課金と継続課金の両方で同じクレジットカード決済システムを利用することで、すべての売り上げを一つのシステム上で管理できます。
キャリア決済
キャリア決済は、お客さまの携帯電話料金と合わせて課金する方法です。通信回線事業者に登録された支払い情報を利用するため、銀行口座やクレジットカード情報の入力は必要がありません。
お客さまにとっても、すでに登録済みの支払い情報を簡単に利用できるため、商品やサービスを購入または利用するハードルが下がります。また、クレジットカードを持たない人や、複数のサイトに情報を登録したくない人にも安心な方法です。
ただし、決済手数料はクレジットカードよりも高い傾向にあります。年齢や携帯電話の契約期間によって利用限度額が異なるため、アプリの月額利用料など少額決済に向いている手段だといえるでしょう。
ID決済
ID決済は、ネットショップで買い物をする際に、AmazonやPayPayなどに登録済みのIDとパスワードを利用する決済方法です。キャリア決済と同じく購入の心理的ハードルを下げられるほか、「決済画面でクレジットカード番号の入力が面倒になって購入をやめた」といういわゆる「カゴ落ち」を防ぐのにも効果的です。
デメリットとしては、キャリア決済と同様に決済手数料が割高だという点です。また、各サービスに申し込みの必要があるほか、場合によっては月額利用料がかかる場合もあるようです。
払込票・請求書を用いた決済
事業者から送られてくる払込票や請求書をお客さま自身が対応窓口に持参して支払う方法です。請求書が電子データ形式で送られてくる場合などは、ネット上で専用フォームにクレジットカード情報を入力して決済することもあります。お客さまは、支払い内容が毎回同じであっても、払込票や請求書を受け取るたびに自ら支払いをしなければなりません。
払込票や請求書を送る事業者側も課金のたびに書類を発行したり送付したりしなければならず、送付先が増えれば増えるほど、負担が重くなっていきます。期限内の支払いが確認できなかった場合はお客さまに確認の連絡をしなければならず、必ずしも安定した決済手段とは呼べないかもしれません。
また、お客さま自身に支払いを任せるということは、支払いをするたびにサービスの継続利用の必要性を問うきっかけを作ることになります。払込票や請求書が届くたびに商品やサービスを定期利用していることを意識するので、毎回の支払いを面倒と思っている場合など、これを機に継続を中断しようと判断されてしまうおそれもあります。
簡単に導入できる、Squareの継続課金!
継続課金の主な決済手段を紹介しましたが、キャッシュレス決済サービスのSquareではクレジットカードを使った継続課金の手段を2種類提供しています。どちらもSquareのアカウントさえあれば利用でき、初期費用・月額利用料が無料、事業者の負担は決済手数料のみです。
Squareの継続課金について詳しく説明します。
Square 請求書をまず検討しよう
Square 請求書はメールで送れるクラウド請求書です。前述の「払込票・請求書を用いた決済」には、課金のたびにお客さまに請求書を送らなければならないというデメリットがありましたが、このデメリットを払拭できるのがSquare 請求書の「定期送信機能」と「カード情報保存機能」です。
二つの機能を組み合わせることで、定期的に請求書が送信され、かつ自動的にお客さまのクレジットカード(※)に課金されます。毎回請求書を発行する必要はなく、課金が完了するとお客さまのメールアドレスにレシートが自動的に送られます。カード情報の更新や変更は、お客さま自身の手でいつでも行うことができます。
詳しい使い方は「Square 請求書で定期送信または定期支払いを設定する」をご確認ください。
※ Visa、Mastercard、American Express、JCB、Diners Club、Discoverのクレジットカードに対応しています。手数料は3.75%です。
無料アカウントを作成するだけで導入できる
Square 請求書は、無料アカウントを作成するだけで始められます。Square データあるいはSquare 請求書アプリから、請求書の発行・管理、入金状況の確認などが可能です。
利用料は無料、かかるのは決済ごとの手数料のみ
Squreの料金体系はシンプルで、月々の固定費やアカウント維持費などはかかりません。発生するのは、クレジットカード決済に伴う手数料のみ。継続課金が初めてでも気軽に始めることができます。
最短で指定した支払日の翌営業日に入金
請求した代金は、最短で指定した支払日の翌営業日に事業主の口座に振り込まれます。もちろん、振り込み手数料も無料です(※)。
※ 三井住友銀行・みずほ銀行をご登録の場合:0:00 から23:59 までの決済分が、決済日の翌営業日に振り込まれます。三井住友銀行とみずほ銀行以外の金融機関口座をご登録の場合:毎週水曜日で締め、同じ週の金曜日に合算で振り込まれます。
Square リンク決済もおすすめ
Square 請求書はお客さまごとに請求内容をカスタマイズしやすい点が特徴です。不特定多数のお客さまが同じ商品・サービスを定期購入する場合は、Square リンク決済のサブスクリプション機能もおすすめです。
(1)同じ商品・サービスの定期購入を不特定多数の人に提供できる
Square リンク決済のサブスクリプション機能は、お客さまごとに商品やサービスのカスタマイズが不要なケースに適しています。利用方法は簡単で、販売する商品・サービスの内容と金額を設定すると、継続課金に必要な「リンク」ができます。このリンクをメールやSNS経由でお客さまに共有だけで、毎週や毎月、3カ月ごとなど定期的に発生する支払いを受け付けることが可能です。期間や請求間隔は、提供する商品やサービスにあわせて柔軟に設定できます。
詳しい使い方は「Square リンク決済でサブスクリプションをはじめる」をご確認ください。
※ サブスクリプション機能では、Visa、Mastercard、American Express、JCB、Diners Club、Discoverのカードをご利用いただけます。また決済には3.6%の手数料がかかります。決済手数料については詳しくはこちらをご確認ください。
(2)一つのリンクから継続課金の受付が可能
生成したリンクをSNSで共有したり、ウェブサイトに埋め込んだりしておけば、お客さまは商品やサービスを目にしたその場で継続課金の登録ができ、事業者にとっては機会損失の防止になります。
Squareなら、Square 請求書でもSquare リンク決済でも継続課金を始めるのに複雑な手続きや無駄なコストがかかりません。無料アカウントを作るだけで簡単に利用できるため、ぜひ気軽にお試しください。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2017年2月24日時点の情報を参照しています。2024年10月24日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。