風営法とは?バーや居酒屋の開業時のポイントを解説

※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。

飲食店を開業する際には、保健所の「食品営業許可」を取得する必要があります。加えて、バーや居酒屋などを開業する場合には、併せて風営法に規定される届出も必要となる場合があります。特に、深夜0時を過ぎてからお酒を出すためには、必要となる許可や届出の種類に注意しなければなりません。

今回は、バーや居酒屋を開業する際に必要な手続きを規定している法律である、風営法を解説します。

目次


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風営法とは

風営法とは、正式名称を「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」といい、風俗営業などによりお店の周辺環境や子供の健全な育成に悪影響を及ぼさないように、一定のルールを定めている法律となります。

なお、ここでいう「風俗営業等」とは、深夜帯にお酒を出すお店や、スポーツバーなどでお客様に遊びを提供するようなお店が含まれます。

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風営法に規定される営業の種類

「風俗営業等」は、内容によっていくつかに分類されており、以下のような営業が代表的なものとなります。

1号営業:料理店、社交飲食店
1号営業とは、お客様の接待をして、飲食をさせるお店が該当します。ホストクラブやキャバクラなどが代表的ですが、料亭などもここに含まれます。なお、営業時間は原則として、深夜0時までとなります。

2号営業:低照度飲食店
2号営業とは、喫茶店やバーなどで飲食をさせるお店で、客席の明るさが10ルクス以下の場合に該当します。1号営業と同様に、営業時間は原則として、深夜0時までとなります。

特定遊興飲食店営業
特定遊興飲食店営業とは、2016年の風営法改正で新設されたカテゴリーです。このカテゴリーは、下記の三つの条件を満たすお店であり、スポーツバーやダーツバーが該当する可能性があります。

  1. 深夜に営業すること(午前0時から午前6時の間)
  2. お客様に「遊興」をさせること
  3. お客様に「酒類」を提供すること

「遊興」とは、「営業者の積極的な働きかけにより客に遊び興じさせる行為」と解釈されており、演芸などを見せる行為や、生演奏をお客様に聞かせる行為などが該当するとされています。

参考:特定遊興飲食店営業を営むには(京都府警察)

深夜酒類提供飲食店営業
飲食店営業を行う場合、保健所の「食品営業許可」を取得しなければなりません。また、深夜0時を過ぎてお酒を出す場合には「食品営業許可」と併せて、風営法に規定されている「深夜酒類提供飲食店営業」の届出をする必要があります。通常のバーや居酒屋も、深夜0時を過ぎてからお酒を出すのであれば、「深夜酒類提供飲食店営業」に該当します。

参考:風俗営業等業種一覧(警視庁)

2016年の風営法改正について
2016年の風営法改正は、前述した「特定遊興飲食店営業」の新設だけではなく、他にも重要な変更がありました。改正される前の風営法では、一律にダンス営業を規制の対象としていました。しかし、法律の制定時とは社会認識が変わっており、学校の授業でもダンスが取り入れられるようになってきています。ダンスが広く一般的になってきたという時代背景もあり、飲食を伴わないダンス教室などは、風営法の規制対象から除外されることとなりました。

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バーや居酒屋の営業で風営法違反にならないための注意点

深夜営業を行う際の注意点
バーや居酒屋が深夜0時以降に営業する場合は、「深夜酒類提供飲食店営業」となりますが、営業に従業員の接待が伴う場合は、1号営業に該当します。

このとき、1号営業の許可ではなく、「深夜酒類提供飲食店営業」の届出で営業していた場合は、無許可で1号営業を行っていたことになり、風営法の罰則の対象となってしまいます。

無許可営業の罰則は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科とされており、風営法の中で最も重い罰則となります。

また、そもそも「深夜酒類提供飲食店営業」の届出をしていなかった場合や、書類に虚偽の記載をして届出をしていた場合は、50万円以下の罰金が科されてしまうため、深夜営業を行う場合は、必ず必要な届出をするようにしましょう。

風営法における接待行為の考え方
それでは、どのような行為が「接待」となるのでしょうか。風営法では、「接待とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義しています。

具体的には、従業員がお客様のそばで談笑したり、お酌をしたりする行為が該当します。ただし、お酌をしてもすぐにお客様のそばから離れたり、カウンターを挟んでお酒を提供したりする行為や、簡単な挨拶をする程度の行為は、接待に当たらないとされています。

スポーツバーやダーツバーを営業する場合の注意点
スポーツバーやダーツバーであっても、深夜0時を過ぎてからお酒を出す場合には、「深夜酒類提供飲食店営業」の届出が必要となります。

また、営業の仕方によっては、「特定遊興飲食店営業」に該当してしまう可能性があります。ここで、改めて「特定遊興飲食店営業」の三つの条件を確認してみましょう。

  1. 深夜に営業すること(午前0時から午前6時の間)
  2. お客様に「遊興」をさせること
  3. お客様に「酒類」を提供すること

深夜にお酒を出すことは間違いないので、スポーツバーやダーツバーは、2の条件である「遊興」に該当するかどうかで判断されることになります。

たとえば、スポーツバーの場合は、従業員がお客様に呼び掛けて応援などを促すような営業、ダーツバーの場合は、従業員とお客様が対戦するような営業を行なっていると遊興をさせていることになるため、「特定遊興飲食店営業」の許可が必要となります。

ただし、スポーツの映像を流して、お客様に見せているだけのような場合や、ダーツマシンを設置して、お客様だけで遊んでいるような場合には、遊興とはならないため、「特定遊興飲食店営業」には該当しません。

「特定遊興飲食店営業」の許可は、審査基準が厳しく、時間がかかってしまう場合もあるため、営業の仕方には十分に注意する必要があります。

ライブハウスを営業する場合の注意点
ライブハウス営業を行う場合も、保健所の「食品営業許可」を取得する必要があります。そして、営業時間やお酒の提供の有無によっては、「特定遊興飲食店営業」に該当する可能性があります。

スポーツバーやダーツバーと違い、お客様に演奏を見せることを目的としている点で、「遊興」に該当することは間違いありません。ライブハウスでは、深夜0時を過ぎてからもお酒を出している場合に、「特定遊興飲食店営業」の条件を満たすことになり、許可が必要となります。多くの場合、ライブハウスではお酒が出されると考えられるため、営業時間が深夜に及ぶか否かで、必要な手続きが異なります。スポーツバーやダーツバーの場合と同じく、「特定遊興飲食店営業」の許可を取ることが難しいこともあるため、どのように営業するかを十分に検討しなければなりません。

風営法の仕組みは非常に複雑で、営業の時間帯や方法によって、必要な許可や届出が変わってきます。しかし、きちんと手続きを取っていないと、場合によっては重い罰則が科されることもあります。

無制限に営業が可能になってしまうと、犯罪などの温床となってしまう可能性もあることから、その防止のために風営法は制定されています。複雑な手続きではありますが、法律の趣旨をよく理解したうえで、適切な営業を行うようにしましょう。

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執筆は2019年12月13日時点の情報を参照しています。2023年6月27日に記事の一部を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash