飲食店における注文の流れといえば、お客さまがメニューを見て頼みたい品を決め、従業員が席で注文を受けるというのが一般的です。一方、近年ではお客さまが自身のスマートフォンから注文したり、店頭に設置してあるタッチパネルから注文したりする「セルフオーダーシステム」も見かけるようになりました。
この記事では、セルフオーダーシステムを検討している飲食店経営者に向けて、セルフオーダーシステムの導入方法、費用、導入のメリットなどを解説します。
目次
セルフオーダーシステムとは
セルフオーダーシステムとは、従業員を介さず機械などを通して、お客さまが自身で注文するシステムを指します。セルフオーダーは、英語で「自分で注文する」を意味し、主に飲食店で使われる用語です。
セルフオーダーシステムにはいくつか種類があります。
- テーブルに設置してあるタブレットから注文する
- テーブルに設置してあるQRコードを読み取り、お客さまが自身のスマートフォンから注文する
- 店内に設置してあるタッチパネルで注文からお会計まで済ませる
上記が主な種類で、費用や導入にかかる時間は種類によってそれぞれです。
各テーブルに置いてあるタブレットで注文する方法は、ファミリーレストランや居酒屋などで見かけることが増えてきました。店舗入口に設置した大型タッチパネルで注文・決済を行う方法は、大手のファストフード店や牛丼チェーンが取り入れています。
セルフオーダーが注目される背景
慢性的な人手不足
帝国データバンクが2024年7月に行った調査1によると、非正社員が人手不足だと感じている業種のトップは「飲食店」でした。前年同月比では改善が見られるものの、深刻な人手不足に悩んでいることがわかります。「メニューを持っていく」「注文を取る」「注文をキッチンに伝える」といった一連の作業をセルフオーダーシステムに任せることで、少ない従業員数でもサービスの質を下げずに営業ができるでしょう。
感染防止
コロナ禍では、他者との接触機会を減らす「非接触注文・非接触決済」の需要が高まりました。感染対策の一環として、QRコードを使ったセルフオーダーを取り入れた店舗も多いのではないでしょうか。
デジタル端末の普及
セルフオーダーでは、基本的にスマートフォンやタブレットなどのデジタル端末を介して注文します。今や、こうした端末は私たちの生活には欠かせないツールとなっており、お客さまが操作に戸惑うことも少ないと考えられます。実際、消費者を対象にした調査2では、半数以上の人がセルフオーダーに対して、好意的あるいは特に何とも思わないと答えています。
ただ、高齢者や視覚障害者など、セルフオーダーになったことで逆に利用しづらいと感じるお客さまが出ないよう、常に配慮は必要です。
経費削減
QRコードを使ったセルフオーダーは、店舗側でタブレットなどの専用端末を用意する必要がないので、初期経費を抑えることができます。また、紙のメニュー表を使っている場合、メニューの更新がある度に印刷し直す必要がありますが、デジタルでメニューを表示するセルフオーダーであれば、印刷費を削減することができます。
さらに、「注文を取り、キッチンに伝えに行く」といった業務を省くことができるので、少ない人数でホールを回すことができ、人件費の削減につながるかもしれません。また、決済機能のついたセルフオーダーであれば、会計業務を省くことも可能です。
データ活用
セルフオーダーシステムは、お客さまからの注文内容をデータとして集計することができます。なかには、注文・決済フォームにメールアドレスなど、お客さまの情報を入力できるサービスもあります。セルフオーダーシステムを通して収集したお客さまの情報は、商品開発や販促活動にも役立つでしょう。
セルフオーダーのメリット
小さな飲食店だと、キッチンとホールに1人ずつなど、限られた人数でお店を回すことも稀ではありません。セルフオーダーの採用は、「注文を取る」というステップが省かれる分、注文のタイミングでお客さまを待たせてしまう、という問題の解消になります。
規模の大きな飲食店なら、ホールの人数を減らし、人員コストの削減にもつなげられます。さらにはPOSレジやキッチンプリンターなどに送信される注文データをもとに調理を進めるので、手書きの伝票の読み間違いや、口頭での伝達ミスによるオーダーミスの防止にもなります。
新しいメニューを追加したいときは、システムに登録するだけです。売り切れ商品も同様にシステムに反映するだけです。メニューを都度作成したり、全メニューに「売り切れ」と書いたり、テーブル分のメニューを印刷したり……などの手間が省けます。
セルフオーダーのデメリット
スマートフォンに慣れていない、あるいはスマートフォンを持っていないお客さまが主な客層の場合は、逆に不便に感じられてしまう可能性もあるでしょう。さらにはカウンター席しかないお店など、口頭で注文したほうが早い場合、セルフオーダーの導入は逆に非効率かもしれません。
また、セルフオーダーによっては、注文だけでなく決済までできるものもあるため、お客さまとの交流がぐんと減る点が気になる場合もあるようです。従業員が口頭で本日のメニューや食材を説明するのが大事なおもてなしの一部というお店は、セルフオーダーの導入に不向きといえます。
セルフオーダーシステムの選び方
セルフオーダーシステムを選ぶ時には、どのような点に注意すればいいのでしょうか。
導入費用と期間
先述したように、セルフオーダーシステムには、 以下のようなものがあります。
- テーブルに設置してあるタブレットから頼む
- テーブルに設置してあるQRコードを読み取り、お客さまが自身のスマートフォンから注文する
- 店内に設置してあるタッチパネルで注文からお会計まで済ませる
タッチパネルを導入したり、各テーブルにタブレットを設置したりする場合、初期費用に100万円以上のコストがかかることもあるようです。また、月額利用費、システム利用費などの名目で月々のコストがかかるものもあります。一方、QRコードをお客さま自身のスマートフォンで読み取るセルフオーダーは初期費用を抑えることができます。ただし、初期費用が無料でも月額数万円の利用費がかかる場合があるので、事前に確認しておきましょう。
また、初期費用と同時にチェックしたいのが導入までの期間です。申し込んだ当日から利用できるサービスもあれば、導入に数週間を要するサービスまであるので、たとえば「リニューアルオープン1週間前には従業員のトレーニングをしておきたい」など、利用開始希望日が決まっているのであれば、導入期間も要チェックです。
機能
セルフオーダーだけでなく、サービスによってはテイクアウトやデリバリー、キャッシュレス決済に対応したものもあるので、自分の店舗にはどの機能が必要かを検討する必要があります。また、決済機能があるサービスについては、クレジットカードをはじめ、どのような決済方法があるのかも確認するとよいでしょう。
Squareのセルフオーダーシステムを活用しよう!
Squareでは注文から決済までを終えられるセルフオーダーシステムを低コストで導入できます。
Squareのセルフオーダーシステムに必要なのは…
(1) Squareのアカウント(無料)
(2) Square キオスク端末(29,980円/台)
(3) iPad(Square キオスク端末に取り付けます)
(4) Square キオスクアプリ(月額5,000円/台)
(5) Square POSレジアプリ(無料)/Square レストランPOSレジアプリ(一部機能は有料)
(6) (5)のアプリをインストールしたタブレットやスマートフォン
導入に時間がかかりそうだと思うかもしれませんが、(1)のアカウントはオンライン上ですぐに作成できます。(2)のキオスク端末もSquare ショップから購入可能です。キオスク端末が届いたら、(4)のキオスクアプリをインストールしたiPadを取り付けます。これで、お客さまが注文や決済を行うのに必要な準備は完了です。
合わせて、手持ちのタブレットやスマートフォンにSquareのPOSレジアプリをインストールしておけば、お客さまの注文内容をキッチンや店内でいつでも確認できます。さらなる効率化を目指すなら、Square キッチンディスプレイシステムとの組み合わせがおすすめです。注文をデジタル表示できるだけでなく、注文してからの経過時間もひと目で分かるので、よりスムーズな調理や配膳が叶うでしょう。
Squareのセルフオーダーシステムでの注文方法は以下の通りです。
お客さまが行うこと:
(1) Square キオスク端末からメニューにアクセス、注文したい品を選択
(2) 支払い画面に進み、キャッシュレス決済で支払う(※)
※Square キオスクは電子マネーに対応していません。ご了承ください。
飲食店の従業員が行うこと:
(1) タブレットやスマートフォンからオーダーを確認し、調理・配膳する
注文と一緒に決済も完了しているので、食事後、レジでのやりとりは不要。現金を扱わずに済むのは、従業員にとってもお客さまにとっても、効率面においても衛生面においてもうれしい点でしょう。
人手不足を補いつつ、業務の効率化にもつながるセルフオーダーシステム。まずは低予算で始められるSquareのセルフオーダーシステムから導入を検討してみてはいかがでしょうか。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2020年2月8日時点の情報を参照しています。2024年10月18日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。