副業でネットショップを開業したい!注意点や上手に運営するためのコツ

副業としてのネットショップ運営は、働き方を変えたい人にとっての選択肢の一つです。感染症の影響も相まって成長が著しいネットショップは、在宅でできる副業として魅力的なビジネスでしょう。この記事ではネットショップ開業に興味がある人に向けて、副業として始める際のポイント、計画時に検討すべきこと、運営にかかるコストの考え方などを解説します。

目次


副業でネットショップを開業するメリット

まずはネットショップが副業に向いている点を見ていきましょう。

初心者でもはじめやすい

近年では無料で簡単に、個人でネットショップを運営できるサービスが登場してます。月額固定費がかからず、商品が売れたときにだけ手数料が発生するようなサービスです。後述のSquareもその一つです。ネットショップ構築に関する専門的な知識は必要なく、商品名やショップ名など必要な情報を適切な箇所に入力し、画像を追加していくだけでどんどんとサイトができていくしくみです。費用面や知識面におけるハードルはずいぶんと下がったといえるでしょう。

興味に合ったショップを作れる

好きなことを生かせるのが、副業の楽しさです。本業に趣味や関心を生かせなくても、ネットショップには自分の「好き」を詰め込むことができるでしょう。

スキルアップできる

ネットショップ運営には、さまざまなスキルが必要になります。商品を魅力的に伝えるための文章力をはじめ、集客をするためのマーケティングの知識、売り上げを伸ばすための分析力などが問われるでしょう。結果がすべて自分に跳ね返ってくる分、スキルアップしやすい環境ともいえるかもしれません。

独立が目指せる

副業がいつしか本業の収入を上回ることも夢ではありません。戦略をしっかりと立て、安定的な収入を生み出すことができれば、独立の道も現実味を帯びてくるはずです。

副業でネットショップをはじめる際の注意点

好きなことでお金を稼ぐことはワクワクする一方で、注意したい点もいくつかあります。

副業を認めていない会社もある

2018年1月に厚生労働省の「モデル就業規則」が改正され副業・兼業に関する規定が新設されるなど、副業がしやすい環境が少しずつ整備されています。厚生労働省が発表した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」には「副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由」といった記述があります。

ただし、会社の就業規則に「副業禁止」の記載があれば、問題になることは否めません。副業の準備をはじめてしまう前に、いま一度、就業先のルールを確認しておくといいでしょう。

参考:副業・兼業の促進に関するガイドライン(厚生労働省)

軌道に乗せるには工夫が必要

スマートフォンの普及にコロナ禍の後押しもあり、「モノをインターネットで買う」ことが着々と浸透してきています。総務省の「令和3年版 情報通信白書」では、普段利用しているインターネットサービスとして「インターネットショッピング」と答えた人が7割以上もいることが明らかになっています。

ただ、その反面、モール型ECサイトには大手ブランドから個人商店までが多種多様な商品を掲載し、膨大な数のモノを販売しています。ネットショップの海のなかから自分のネットショップで商品を購入してもらうには、効果的な集客方法とターゲットにしっかりと響く宣伝力が不可欠で、軌道に乗るまでに時間がかかるかもしれません。

参考:デジタル利用環境・サービス等の活用状況(令和3年版情報通信白書、総務省)

開業にはある程度の時間の確保が必要

ネットショップの開業に至るまでには、さまざまな作業が発生します。以下がその一部です。

  • コンセプト設計
  • 扱う商材の決定
  • コスト試算
  • 競合他社のリサーチ
  • 出店スタイルの比較・決定
  • 決済方法の比較・決定
  • 商品の配送方法の比較・決定

ほかにも、商材や梱包資材の仕入れや商品情報の登録など、開業までにやることは決して少なくありません。

副業として、隙き間時間や休日に作業をすることを考慮した場合、開店までの準備期間は最低でも1、2カ月を見ておきたいところです。

確定申告が必要なことも

副業の場合でも、一定の所得金額を超えると確定申告が必要です。

会社員として「給与所得」を得ている場合、副業で営むネットショップから得た利益は「雑所得」になることが多いでしょう。「所得」とは、売り上げから経費などを差し引いた利益のことで、これが20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。

雑所得とはなにかと思うでしょう。おおまかにいうと、10つある所得区分のうち、9つの区分のどれにも当てはまらない所得が「雑所得」とみなされます。もっとよく知りたいかたは、以下の記事を参考にしてください。

▶️雑所得とは?雑収入や事業所得との違い、計算方法や税率など徹底解説

ただし、以下の点も留意しておきましょう。国税庁のページから「確定申告が必要」な場合を抜粋して紹介します。

給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える

参考:確定申告が必要な方(国税庁)

ここでおさえておきたいのは、「各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える」という点です。ネットショップから得た利益に加えて、給与所得や退職所得にも当てはまらない所得がほかにある場合には、それも合算して20万円を上回るかどうかを見てみましょう。上回るようなら、確定申告が必要になります。また、20万円以下だとしても住民税の申告は必要になりますので、ご注意ください。

所得の種類についてはこちら、確定申告について詳しくはこちらの国税庁のページから確認できます。

海外からの仕入れには送料や関税がかかる

海外からの輸入を検討している場合には仕入れコストに加えて、送料や関税もかかると覚えておきましょう。関税率は法で定められており、輸入する商品ごとに異なります。

副業でのネットショップ開業でやらなければいけないこと

ネットショップを開業する際には、以下を忘れずに行うようにしましょう。

届出の提出、許可の取得を行う

商材によっては、無許可での販売は罰則の対象になる恐れがあります。「映画に関する本を国内外から仕入れて、ネットで販売したい」など、ある程度販売したい商品が見えてきたら、どんな許可が必要になるかもあわせてチェックしておきましょう。「ネットショップでの販売に必要な許可とは。届出先から申請方法までをご紹介」の記事では、商品ごとに必要な許認可をわかりやすくまとめています。ぜひ参考にしてください。

「特定商取引法に基づく表記」を記載する

ネットショップで販売をする場合には、必ずサイト上に「特定商取引法に基づく表記」を載せる必要があります。これは特定商取引法で定められており、すべてのネットショップに当てはまることです。

以下が定められている記載項目の一部です。詳しくは特定商取引ガイドをご参照ください。

  • 事業者の氏名、住所、電話番号
  • 代金の支払方法、支払時期
  • 返品方法
  • 商品の引渡時期
    など

ネットショップでは実店舗のように商品を手に取り確認できないため、消費者を守り、トラブルを防ぐためにも、上記の内容をしっかりと明記することが求められています。

開業届を出す

副業でネットショップを始めたら、1カ月以内に開業届を提出しましょう。

以前までは管轄の税務署に書類を持参または郵送する必要がありましたが、近年ではオンライン上からでも提出できるようになりました。詳しくは、国税庁のページを参考にしてください。

自宅から提出できるようにはなったものの、ばたばたしていて気付いたら1カ月を過ぎてしまった……!ということもあるかもしれません。開業届の提出期限は事業をはじめてから原則1カ月以内とあるものの、期限内に提出できなかったとしても罰則はありません。ただし、提出すると、青色申告ができるようになるなど節税につながるメリットを得ることができます。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

▶️開業届はネットショップ開始に必須?提出のメリットや手続き方法を解説

副業でネットショップを成功させるための7ステップ

副業でネットショップを開業すると決めたら、以下の7点について考えましょう。

(1) 市場やトレンドをリサーチする

お客さまの流入が一定数見込めるネットショップを作るには、市場のトレンドやニーズのリサーチが欠かせません。競合となるネットショップの商品ラインアップをチェックして、差別化のポイントを探るのも大事な取り組みでしょう。

また、商品は安すぎると利益が増えず、高すぎるとそもそも購入につながらないことがあります。競合の価格設定にも注目しておくと、適正価格が見えてくるでしょう。

(2) コンセプトを考える

取り扱う商品の幅があまりにも広いと、目当ての商品が探しにくく、ユーザーが離脱してしまう可能性があります。そこで「どんなお客さまに向けて、何を提供したいのか」を明確にしたうえで、コンセプトを考えていくといいでしょう。

たとえば健康食品を扱うネットショップであれば、一つひとつの商品を通して「健康でスタイリッシュな生活」を提供するのか、あるいは「健康でお得な生活」を提供するのかで、商品構成や価格、ネットショップのデザインなどが必然的に違ってきます。コンセプトをある程度固めておくと、商品選びもスムーズに進むでしょう。

(3) 売りたい商品やサービスを決める

ネットショップのコンセプトとターゲットが決まったら、それに見合う商材のラインアップを考えます。

前項で例に挙げた「健康でスタイリッシュな生活」をコンセプトに、ショップを開設するとしましょう。ターゲットを「キャリアを磨く30代から40代の女性会社員」と定めたとすると、健康食品でありながらも、おしゃれでおいしく、ターゲット層の生活を豊かにしてくれるような商品が考えられます。同時に、ある程度の購入予算があると考えられる層をターゲットにしているので、商品の性質に見合った価格帯や、高級感のある商品などを検討しても良いでしょう。最初に決めたコンセプトから外れずに、ターゲットが繰り返し訪れたくなるような商品構成のバランスを考えたネットショップにしましょう。

(4) 商品の仕入れ方法を検討する

販売する商品が決まったら、次はその商品を取り扱う仕入先を見つけましょう。仕入方法は大きく五つ挙げられます。

  • (1) 問屋・卸売業者
  • (2) 仕入れサイト
  • (3) 見本市
  • (4) オークションサイト
  • (5) ドロップシッピングサービス(無在庫販売)

仕入先によっては細かな利用条件が定められています。どんな決まりごとがあるかは事前に確認しておくといいでしょう。詳しくは「個人でも使える仕入れサイトを利用してネットショップを開業しよう!」の記事でも説明しています。

(5) 出店方法を選ぶ

ネットショップを開業するには、大きく以下の二つの方法があります。

  • モール型ECサイトの中に自分の店舗を持つ
  • 独立したネットショップを開設する

副業として初めてネットショップ運営をするなら、集客力のあるモール型ECサイトへの出店からはじめてみるといいかもしれません。

一方、すでにSNSで多くのフォロワー数を抱えている、ショップのコンセプトが伝わるサイトを作りたいなどの場合は、独自のネットショップ作成を検討してみてもいいでしょう。最近ではコーディングなどの専門知識がなくても、簡単にネットショップを作れるサービスが増えており、月額料金や販売手数料が無料のものもあります。モール型ECサイトでは5%以上の販売手数料がかかることもあるので、ネットショップ作成サービスの活用は、コストの節約にも有効です。たとえばSquareでネットショップを作ると、利用料は3.6%の決済手数料のみ(無料プランの場合)です。必要に応じて、有料プランにアップグレードすることもできます。

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ネットショップを作るとなると、ある程度の時間がかかります。時間が取れないとなると、オンライン販売をはじめる日がどんどん先延ばしになってしまいます。そんなときはリンク型決済を活用すると、数分でオンライン販売をはじめられます。商品ごとに購入ページが作れる機能で、商品名と価格、画像を登録するだけで決済用リンクを発行することができます。お客さまはリンク先からクレジットカードで商品代金を支払うことができます。

たとえばSquareには、無料アカウントさえあれば利用できるリンク型決済機能があります。使い勝手が気になる場合は、まず試してみるといいでしょう。

▶️Square リンク決済を試しに使ってみる

(6) 決済方法を決める

出店方法ごとに対応可能な決済方法は異なります。そのため、利用するサービス・プラットフォームがどんな決済方法に対応しているかは確認しておきたいところです。「あらゆる決済方法に対応しておけば、お客さまの取りこぼしもないだろう」と思うかもしれません。ただ対応する決済方法を増やせば増やすほど、コストが嵩む可能性があります。コストを抑えたい場合には、利用率の高い決済方法を押さえておくのがおすすめです。

ある調査によると、対象者の8割はオンラインショッピングの支払いにクレジットカードを利用していました。QRコード決済(32%)とコンビニ決済(19%)があとに続きますが、利用率はどちらもクレジットカードの半分以下です。

参考:【ネットショッピングの決済方法アンケート】利用頻度1位は、クレジットカード、続いてQRコード決済、コンビニ払い(Appliv TOPICS調べ)(2023年8月23日、ナイル株式会社)

(7) 最適な集客方法を考える

たくさんあるネットショップのなかから見つけてもらい、商品を購入してもらうには、ターゲットとなるお客さまにいかにお店の魅力を伝え、認知度を向上させられるかが問われるでしょう。近年では、不特定多数の人に幅広く情報を届けやすいSNSで頻繁に発信をしたり、広告やSEOの力を活用したりするケースが多いようです。またメディアの目に留まり取材などをしてもらえれば、さらに認知を広げ、集客につなげていくこともできるでしょう。

集客にまつわる具体的な取り組みについては、以下の記事もぜひ参考にしてください。

ネットショップ運営にかかる費用

最後に、気になる費用について見ていきましょう。

ネットショップ作成サービスの利用コスト

ここではモール型ECサイト、有料ネットショップ、無料ネットショップで分けて見てみましょう。

  モール型ECサイト 有料ネットショップ 無料ネットショップ
初期費用 無料〜60,000円 無料~110,000円 0円
月額費用 無料〜100,000円 4,000円~ 0円
サービス利用手数料 2%〜 0%〜 0%〜3%
決済手数料 2.5%〜 3%〜 3%〜

モール型ECサイトは集客力があり、はじめやすい方法ですが、出店先によっては維持費が高くつくことがあります。売り上げが見込めないうちから維持費に大きなコストを費やすのは、不安なことかもしれません。

コストをできるだけ抑えてネット販売に挑戦したい人には、Squareのように無料ではじめられるネットショップ作成サービスがおすすめです。Squareならサービス利用手数料や販売手数料、振込手数料など複雑な手数料はかかりません。商品が売れたときにだけ、決済手数料(3.6%)が発生します。数%の手数料が上乗せされるかどうかは小さいな違いのようにも思えるかもしれませんが、売り上げが増えれば増えるほど、その差は顕著にあらわれるものです。仮に100万円の売り上げがある場合、3.6%の手数料が差し引かれるのと、6.6%(3.6%の決済手数料+3%のサービス利用手数料)の手数料が差し引かれるのとでは、手元に残る売り上げが大きく違います。

  手数料として差し引かれる額
手数料が3.6%の場合 36,000円
手数料が8.6%の場合 66,000円

あらかじめどういった手数料がかかるかは、ネットショップ作成サービスを決めるときにしっかりと確認しておくことがおすすめです。

Squareなら月額利用料金も初期費用もかからないため、まずは無料アカウントを作成し、その使い心地を試してみてもいいでしょう。

ネットショップを無料で開始するならSquare

EC作成から、オンライン決済、店舗連動の在庫管理まで、便利な機能が無料で簡単に始められます。

仕入れにかかるコスト

ネットショップにかかるコストは利用するサービスによって大幅に変わることを前項では説明しました。コストを抑えにくいところといえば、仕入れです。商品にこだわりがある場合は、なおさらかもしれません。

小売業の原価率は5割から7割程度だといわれています。ただし、この比率は仕入れる商品によっても変動するため、一概に何割が適切だとは明確に言い切ることはできません。

仕入れコストが心配な場合には、「商品の仕入れ方法を検討する」の章で紹介した「ドロップシッピング」がおすすめです。在庫を抱えることなく、注文が入るとメーカーや卸売業者などから直接お客さまに商品を発送するしくみで、仕入れコストのみならず、商品の保管や発送にかかるコストも削減でき、余剰在庫の発生も防げます。

集客にかかるコスト

工夫次第では無料でも効果的に集客ができます。たとえば、以下の方法ならコストはかかりません。ただし効果が出るまでには少なくとも数カ月ほどはかかるでしょう。

  • SEO対策
  • SNS運用
  • メディア掲載(メディアから申し込まれた場合)

有料の集客方法として一般的なのが、広告です。費用は掲載媒体や期間にもよりますが、目安として以下の表を参考にしてください。

  費用(目安) 広告の掲載場所
リスティング広告 20〜30万円/月 検索結果ページの上部(テキストとして表示)
Google ショッピング広告 15〜25万円/月 検索結果ページの上部(画像として表示)
ディスプレイ広告 20~60万円/月 ウェブサイトやアプリの広告枠(画像、または動画として表示)
SNS広告 〜30万円程度/月 SNSの広告枠(画像、または動画として表示)
アフィリエイト広告 3〜5万円程度/月 アフィリエイターやブロガーのサイトやブログ(画像や文章で紹介)

副業としてはじめたネットショップが大きな利益を生み出せば、それだけ大きなやりがいを感じることでしょう。ただし、集客にはある程度の時間と労力がかかり、販売にまつわる業務はもちろん、経理業務なども自ら行う必要があります。本業の傍らでこうした業務を1人で続けていけるかを自分に問いかけたうえで、一歩ずつ準備を進めていきましょう。


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2020年12月9日時点の情報を参照しています。2024年4月8日に一部情報を更新しています。
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