最近では生鮮食品や酒類から、洋服や靴、手作りのアクセサリーまで、インターネット上で多種多様な商品・サービスが手に入るようになりました。店舗でお客さまから「オンラインで注文できますか?」と聞かれることもあるでしょう。販売機会を増やすためにもネットショップを開きたいけれど、どこから手を付けてよいのか分からないという事業者も多いかもしれません。
今回はネットショップと実店舗の違いや、ネットショップを開業するメリット・デメリット、開業までの流れ、ショップ運営の基礎知識を詳しく解説します。
目次
- ネットショップと実店舗との違い
- ネットショップ開業のメリット
- ネットショップ開業のデメリットと対策
- ネットショップ開業サービスの種類
- ネットショップ開業までの流れ
- ネットショップを開業する際の注意点
- ネットショップを経営するうえでのポイント
- コストと使い勝手で考えるならSquare オンラインビジネス
ネットショップと実店舗との違い
そもそもネットショップと実店舗だと、どのような違いがあるのでしょうか。以下の表から見ていきましょう。
項目 | 実店舗 | ネットショップ |
営業時間 | 決められた時間内で営業 | 24時間365日営業 |
接客 | 必要 | 不要 |
購入の決め手 | 商品を見たとき、試着・試食・試飲したときの印象、商品POP、店員の説明 | 写真や動画、説明文、口コミ |
商品数の制約 | 店頭に置ける商品数に限りがある | 掲載する商品数に制約がない |
質問・不明点の解消方法 | 店員にその場で聞く | メールや電話で連絡する |
意見の聞きやすさ | 来店時に直接聞ける | 対面で意見を聞けない |
開店にかかる初期費用 | ・物件取得費用 ・内装・外装の工事費用 ・備品などの諸費用 |
サイトの構築・開設費用 |
店舗維持コスト | ・家賃・人件費 ・水道光熱費 など |
・決済手数料代 ・月額利用料金 ・倉庫費用 など |
同じように商品を販売しているといっても、店舗とネットショップではこれだけの違いがあります。なかでもネットショップは、お客さまがサイトにアクセスさえすれば、時間も場所も制限を受けることなく販売機会を創出できる点が大きな特徴です。店主が眠りについている深夜3時でも、外国にいるときでも、ユーザーが好きなときに自分で購入手続きをとるため、営業場所も営業時間も関係なく売り上げを生み出せるところが大きなメリットといえるでしょう。一方、お客さまとの直接のつながりや交流を重視する販売形態の場合は、実店舗のほうが有利といえます。
開業までにかかる時間
準備から開店までにかかる時間はネットショップが数日~1週間程度、実店舗では2カ月~数カ月と大きく異なります。
実店舗は、店舗に最適な場所探しから始めます。その後、物件の契約手続き、店舗の設計・改装、商品のディスプレイ、管理体制の構築などに数カ月かかるでしょう。一方、ネットショップでは、ネットショップのシステムを比較検討してサービスを決定し、システムを導入するだけで開業できます。早ければ、数日〜1週間程で販売を始められるでしょう。
ただし、Amazonや楽天市場のようなモール型ECでは出店審査があり、出店が決まった後に開店のための審査も発生します。出店決定までに1~2週間、開店の審査に1週間程度かかる場合もあります。出店審査申し込みからショップオープンまで、最低でも2~3週間程度はかかるでしょう。
開業にかかる費用
ネットショップと実店舗では、開業にかかる費用が大きく異なります。
実店舗を始める際には、店舗を借りる費用・工事費用・什器代・レジ周りの機器代などが発生します。また、商品の仕入れ代や人を雇う場合は人件費もかかるため、数百万~数千万の資金準備が必要です。
ネットショップの場合は、インターネットの空間にショップを作ります。ネットショップの運用システムに支払う初期費用や通信関連費用、商品の仕入れ代、発送用の梱包用品などの備品代、パソコンやスマートフォン・カメラなど、数万~数十万円あればショップの開店が可能です。
このため、初期費用を抑えたいケースでは、ネットショップが開業しやすいといえるでしょう。ネットショップは集客に時間がかかり、売れ出すまでに時間がかかるケースが多いです。初期費用だけでなく、ショップが軌道に乗るまでの間も月額利用料や販売手数料(システム利用料)などがかかることを意識しておきましょう。
もし、初期費用や月々かかる費用を抑えたい場合は、売り上げの決済手数料だけで運用できるネットショップのシステムの検討をおすすめします。
次に、ネットショップを開業するメリット・デメリットを見ていきましょう。
ネットショップ開業のメリット
ここではネットショップにあって、実店舗にないメリットを三つ紹介します。
低コストで始めることができる
ネットショップを開業する最大のメリットは、初期費用・固定費用を低く抑えられる点でしょう。実店舗の場合、物件の敷金・保証金、内装・外装にかかる工事費用に加え、什器や消耗品などを揃えるとそれなりに費用がかかります。開業前に金融機関から資金調達する事業者も少なくありません。
ネットショップの場合、パソコンやインターネット環境の準備、商品を撮影するカメラ、独自ドメインの取得費用やシステム利用料、サイトの構築費用などがかかりますが、実店舗に比べて初期費用は圧倒的に低く抑えられます。
維持費や人件費を抑えて、売上アップを狙える
週に7日間、朝から晩まで店舗をオープンしようとしたら複数の従業員を雇い、品出しや接客にあたる必要があります。営業時間が長ければ長くなるほど、光熱費や人件費がかさみます。一方、ネットショップの場合、24時間オープンしているのでお客さまは深夜や早朝など好きなタイミングで購入できるうえ、システムを整えておけば事業主一人で運営することも可能です。このように維持費や人件費を抑えながら売上アップが期待できるのは大きな特長といえます。
実店舗に足を運べなかった層にもリーチできる
実店舗だと、客層は店舗まで足を運べる人に絞られがちです。「興味はあるけれど遠くて行けない……」というお客さまに商品を届けられないことに、歯痒さを感じている店舗オーナーもいるかもしれません。スマートフォンさえあればアクセスできるネットショップを開けば、あなたのお店は「いつでも、誰でも行ける店舗」に変わります。全国発送にとどまらず、海外への発送も可能にすれば、全世界のお客さまに商品を届けることもできます。リーチできる客層が広がることは、売上アップにもつながります。
東京都渋谷区にあるフェイシャルトリートメント専門店美肌室ソラは、サロン専売のスキンケア商品を販売するネットショップ(※)を開いたことで、遠方のお客さまともつながれるようになったと話します。
※美肌室ソラでは、Squareのネットショップ機能を使いネットショップを開設しています。導入事例はこちらから読むことができます。
「沖縄とか北海道とか、遠くからの方にも買ってもらえるようになりました。その方は、まだ美肌室ソラに訪れたことがない方なんです。それでも商品の販売を通じて、やりとりができるようになりました。これは、すごくメリットがあることだと感じています」ー美肌室ソラ店主 舘山信子さま
ネットショップ開業のデメリットと対策
維持費や人件費に膨大なコストをかけることなく、時間や場所の制約も受けずに売上アップが期待できるネットショップですが、メリットばかりではありません。しっかりと結果を出していくにはネットショップの特徴をとらえたうえでの対策が必要です。
周知と集客に力を入れる
世界中、あるいは全国の人がお客さまになりえるのは事実であるものの、そもそもネットショップの存在を知ってもらわなければ、商品の魅力を伝えることは難しいでしょう。実店舗と異なり、ショップをオープンしただけでは、誰からも見つけてもらうことはできないのです。
SNSでの発信はもちろんのこと、広告機能を活用したり、ブログなどで共感を呼ぶコンテンツを増やしたりと、ネット上での存在感を発揮していくことが重要です。
お客さまとのつながりを工夫する
実店舗であれば、お客さまからも店員からも気軽に声を掛け合える環境が整っています。常連客にちょっとしたサービスをしてみたり、今後入荷予定の商品についてお伝えしたりなど、個々のお客さまに合わせた接客もしやすいでしょう。
一方ネットショップでは、お客さまの顔を見ることもできなければ、会話を交わすこともないまま、商品の受け渡しだけが行われます。なかにはお客さまとのつながりを見出しにくいと感じる人もいるかもしれません。お客さまと接点を持つためには、商品を発送する際に「よかったらSNSもフォローしてください」と手書きのメッセージを添えてみるなど、再び来店してもらうための工夫が一層大切になります。
価格競争に巻き込まれない付加価値をつける
商品を選ぶうえで、価格を重視する人は少なくありません。潜在顧客がたくさんいたとしても、目当ての商品がほかで安く販売されていれば、そちらで購入を決めてしまうかもしれません。
アクセス数はある程度あるのになかなか売り上げにつながらない場合は、単なる価格競争から脱出する魅力をもたせた付加価値をいかにつけるかを考え、マーケティングや商品開発、プロモーションに力を入れる必要があります。
ネットショップ開業サービスの種類
ネットショップと一口に言っても、さまざまな開業方法があります。ここでは、(1)ショッピングモール型、(2)ショッピングカート(ASPカート)、(3)ECパッケージシステムの3種類について紹介します。
(1)ショッピングモール型
ショッピングモール型は、モール型ECとも呼ばれています。簡単にいえば、アマゾンや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのインターネット上のショッピングモールに出店をすることです。これらのサービスを普段の買い物で利用している人も多いのではないでしょうか。
現実のデパートや大型の商業施設と同じように、インターネット上のショッピングモールには毎日膨大な数の利用者がやってきます。すでに利用者に信頼されているショッピングモール上に出店することにより、集客を事業者自身が行わなくても済むという利点がある一方で、出店料・手数料が比較的高い、競合他社が多く価格競争に陥りやすいなどのデメリットもあります。
【メリット】
- ショッピングモール自体に圧倒的な集客力がある
- 自社でネットショップを立ち上げる必要がない
【デメリット】
- 出店料、販売手数料、システム利用料などの手数料が高い
- 競合他社が多い場合、価格競争になる可能性がある
- 出店審査がある
- 顧客情報を自社で管理できない
(2)ショッピングカート(ASPカート)
ショッピングカートや、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)カート、ショッピングASPは、ネットショップの構築に必要なシステムをクラウド上で提供するサービスを指しています。
登録費用や月額費用を支払うことで、ネットショップの開設・運営に必要なシステムを利用できます。初心者でも簡単に使えるようにデザインされているシステムが多く、ウェブサイト構築の専門知識がなくても商品や値段などの情報を画面の指示に従って登録していくだけでネットショップを開業できるのが利点です。
代表的なサービスには、Square オンラインビジネス、BASE、STORES、Shopifyなどがあります。
自社でサーバーなどを用意する必要がなく、費用が比較的安く抑えられ、手軽に始められる点が特徴です。一方、サービスによってはデザインのカスタマイズが難しい、登録できる商品数に制限がある、商品が売れる度に手数料がかかる場合があるため、業態や売上規模に適したサービスを選択する必要があります。
【メリット】
- 初期費用・固定費を低く抑えられる
- サービスによっては無料ではじめられる
- 初心者でも短期間でネットショップを立ち上げられる
- 顧客情報を自社で管理できる
- ブランドやお店の個性に合わせてカスタマイズできる
【デメリット】
- 自社でネットショップを開設・運営する必要がある
- 集客を自社で行う必要がある
- サービスによっては商品登録数など機能に制限がある
(3)ECパッケージシステム
ECパッケージシステムは、ネットショップの構築・運営に必要な機能一式がパッケージになっているソフトウェアです。ショッピングカート(ASPカート)より機能が豊富で、拡張やカスタマイズにも柔軟に対応できる点が特徴です。
高機能で自由度が高い分、ショッピングカートに比べてかなりコストが掛かります。ネットショップに大きく投資をしたい、ある程度の売り上げが見込める、きめ細かいサービスをネットショップのお客さまに提供したいなどの場合に検討するとよいでしょう。
代表的なサービスとしては、ecbeing、EC-ORANGE、EC-CUBEなどがあります。
【メリット】
- ネットショップの運営に特化した機能がパッケージ内に含まれている
- 拡張性が高く、豊富な機能を追加できる
- ブランドやお店の個性をより自由に表現できる
【デメリット】
- 初期費用や固定費の負担が大きい
- ウェブサイト制作の専門知識とスキルが必要
- 自社でネットショップを開設・運営する必要がある
- 集客を自社で行う必要がある
ネットショップ開業までの流れ
ネットショップは実店舗に比べて開業費用などの負担が少ないことから、副業や兼業としての開業を考えている人もいるかもしれません。ここでは、ネットショップ開業までの流れをおさらいしてみましょう。
扱う商品を決める
まずは、販売する商品・サービスを決めましょう。もうすでに実店舗を経営している事業者なら、ここはスキップをしてもいい段階です。ネットショップで販売できるのは有形商材だけではありません。ギターのオンラインレッスン、パーソナルトレーニングのチケットなどの無形商材の販売にネットショップを利用することも可能です。
また、飲食店のデリバリーやテイクアウト商品の販売なども可能です。お客さまとの接触を最低限に減らしつつ、電話で注文を取る必要がないため、従業員の負担を減らせます。
ここで注意しておきたいのは、販売する商品によっては販売許可が必要な点です。販売許可の取得には数か月かかる場合もあります。事前にどんな許認可が求められるのか調べておきましょう。詳しくは、「ネット販売に必要な許可は?届出先や申請方法を商品別に解説」でも紹介しています。
ショップのコンセプトを決める
実店舗と同様に、ネットショップにもコンセプトが必要です。どのような商品やサービスを提供するのか、どんなお客さまをターゲットにするのか、どの価格帯で販売するのか、他のネットショップに負けない点はどこかなどを考えながら、コンセプトを決めていきましょう。他のネットショップやブランドを参考にしてみても良いかもしれません。
ネットショップではお客さまと直接会話ができない分、デザインや文章でコンセプトを伝える必要があります。たとえば、同じ野菜という商材を扱うネットショップでも、「農家が丹精込めて作った季節の野菜」を会員向けに定期配送するお店と、「野菜嫌いの子どもでも飲める野菜ジュース」をメインに販売するお店では、商品数、集客方法、配送方法などがまったく異なります。
システムを決める
販売する商品とコンセプトが決まったら、次はシステムを決める段階です。前述の通り、ネットショップの開業にはさまざまな方法があります。
高い集客力のあるショッピングモール型、初心者にも優しいショッピングカート(ASPカート)、自由度の高いECパッケージシステムと、ネットショップの運営システムの特徴を踏まえ、商材とコンセプト、そして予算に合ったシステムを選びましょう。
選ぶシステムによって、初期費用とランニング費用の負担に大きな差が出てきます。初期費用だけで決めずに、月額利用料金などの固定費、販売手数料や決済手数料などの取引にかかる手数料も合わせて比較しながら決めましょう。これらの運用費が後々大きな負担になることもありえます。
また、どんな機能を利用したいのかもここである程度明確にしておきましょう。野菜を会員向けに定期配送するお店なら、会員登録機能が必要になるでしょう。飲食店のテイクアウト用のネットショップなら、ネットショップとPOSレジのデータを連携しておきたいところです。商品のバラエティで勝負するネットショップなら、商品登録数に制限がないシステムが向いているといえます。ケータリングのオーダーを受け付けるためのネットショップなら、問い合わせフォーム機能が付いているとお客さまには親切です。
決済方法を決める
どんな機能を利用したいのかを明確にする段階で、決済方法も決めておきましょう。システムによって提供している決済方法が異なります。また、他社の決済サービスとの連携が必要な場合もあります。
ネットショップに導入できる決済方法としては、クレジットカード決済、オンライン銀行決済、キャリア決済、QRコード決済、ID決済、電子マネー決済、後払い決済などがあります。事業に必要な決済方法が提供されているシステムかどうかを確認しておきます。またあわせて、各決済方法の決済手数料は必ず確認しておきましょう。
キャッシュレス決済のなかでもクレジットカード決済は、店舗での支払いでも、ネットショッピングでも、広く浸透している決済手段です。決済方法が合わないためにお客さまを取り逃すことのないよう、ニーズを考慮しながら決済方法を決めていきます。
配送方法を決める
いつでもどこでも購入できるだけでなく、商品の受け取り方も多様化しています。配送業者を利用してお客さまの登録住所に届けるのはもちろんのこと、ネットショップで購入して店舗で詳しく説明してもらいながら受け取るケースもあります。大型家具などは配送先で組み立てを行う場合もあります。
どんな配送方法を設定するのか、配送料と併せて検討しましょう。希望の配送方法がない場合、お客さまが他のネットショップに流れてしまうことも考えられます。同業他社の設定を参考にするのもよいでしょう。
集客方法を決める
商品、コンセプト、システム、決済や配送方法が決まったら、集客方法を考える段階です。SEO対策はもちろんのこと、最近ではSNSを使った集客もネットショップには欠かせないといえます。
日本国内で人気のあるSNSには、Facebook、Twitter、YouTube、Instagram、LINE、note、Tik Tokなどがあります。SNSごとに特徴があり、利用する層も異なります。また、最近ではInstagramのショッピング機能のように、SNSで見た商品をそのままスマートフォンで手軽に購入したいという層も増えています。
手広くいろいろなSNSで発信するのも一つの方法ですが、個人や少人数でネットショップを運営している場合、SNSに使える時間が限られています。ネットショップのコンセプトやターゲットに合わせて使うSNSを絞るのも手です。
広告宣伝に予算を割ける場合は、インターネット広告や動画広告を出すこともできます。すでに実店舗を運営していて顧客リストを持っている場合は、メールマガジンやダイレクトメールも有効な手段です。
商品を登録する
ネットショップの概要が見えてきたら、最後は商品の登録です。商品の登録は新商品が入荷する度に発生する作業ですが、最初の商品登録が一番時間がかかるかもしれません。
特に商品数が多いネットショップでは、商品登録を代行してくれる業者を利用するケースもあるようです。
商品登録は商品名と価格の登録だけではありません。商品やサービスの説明や画像はもちろんのこと、たとえば野菜を定期配送するお店なら野菜の美味しい食べ方やおすすめのレシピ、野菜ジュースのお店なら実際に飲んだお客さまからの感想などを載せることで、お客さまの購入意欲を刺激できます。
画像などを見て直感的にお買い物をするお客さまもいれば、ネットショップに掲載されている情報をつぶさにチェックして熟考した上で購入するお客さまもいます。なるべく豊富な画像と情報を掲載するようにしましょう。
開業届を提出する
個人でネットショップを開業する場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書」を管轄の税務署に提出しましょう。これは、事業を開始から1カ月以内に提出することが定められています。
開業届を出すメリットは、確定申告時に青色申告ができる点です。開業届を提出しなくても罰則はありませんが、開業届を出しておいたほうが節税効果が高まります。
青色申告をする場合、開業届と同時に「所得税の青色申告承認申請書」も提出しておく必要があります。
ネットショップを開業する際の注意点
ネットショップを開業する際には、法律などで定められたルールを守る必要があります。ルールを守ってショップを運営することが、顧客からの信頼につながります。
「特定商取引法に基づく表記」の記載が必要
特定商取引法では、通信販売や訪問販売など、トラブルになりやすい取引において、消費者を守るためのルールが定められています。
ネットショップも特定商取引法の対象であり、主に下記の事項をサイト内に記載しなくてはなりません。
- 販売業者の名称・代表者か通信販売の業務責任者の氏名・住所・電話番号
- 販売価格(送料、ラッピングやオプションなどの価格についても表示)
- 代金の支払い方法・支払い期限、商品の引渡時期・期間
- 返品・キャンセルについて
- 瑕疵担保責任について特約がある場合は記載
- 販売数量の制限等の条件がある場合は記載
特定商取引法に違反した場合は、業務停止命令や、懲役や罰金などの罰則を伴います。加えて、法改正により2022年6月以降は、注文を確定する前の段階で、商品の分量・販売価格・支払い時期などの6項目をお客さまが簡単に確認できるように表示することが求められています。詳しくは、「ネットショップ運営で知っておくべき特定商取引法をわかりやすく解説」でも説明しています。
許可や資格の取得が必要なことも
ネットショップは「何でも自由に売れる」イメージがあるかもしれませんが、販売するものによっては法的な規制がかかります。また、システム提供会社が独自ルールで禁止している場合もあります。
ネットショップで取り扱う商品が決まったら、仕入れをする前に、下記を確認しておきましょう。
- 取り扱いに資格や許可が必要ではないか
- その商品の取り扱いが法律や規制でどうなっているか
- カートシステムの規約に違反しないか
<主な取り扱い商品と必要な資格・許可>
取り扱い商品・カテゴリ | 必要な資格や許可 |
酒 | 通信販売酒類小売業免許 |
食品 | 食品衛生法に基づく営業許可 |
中古品 | 古物商許可 |
化粧品 | ・化粧品製造販売業許可 ・化粧品製造業許可 |
マッサージ器、コンタクトレンズなど | ・高度管理医療機器 ・管理医療機器 |
これ以外にも、医薬品の販売には実店舗が必要ですし、健康食品に関しては複数の法令に注意しなければいけないなど、商品によって資格や許可を取得するまで長期間かかるケースがあります。
輸入関税がかかることもある
ネットショップで販売するために、海外から仕入れるケースもあります。輸入した商品には、基本的に関税がかかり、関税は輸入した人が支払う税金です。販売を目的とした商品を輸入した場合にかかる関税についてみていきましょう。まず、課税の対象とされる課税価格は、商品代・送料・保険の合計です。個人の使用目的で輸入したものとは課税対象も、税率も異なるので注意が必要です。
販売を目的とした輸入の場合は、課税価格に関税率をかけて計算されます。関税率は輸入品や国により非常に細かく分類されています。専門的な知識が必要になるため、自分で輸入申告書を作成する場合は、正確な税番と関税率の税関への確認が必要です。
輸入額が少額の場合は、簡易税率が用いられるケースがあります。簡易税率は商品によって、無税~20%までの6区分とアルコール飲料の3区分になっており、商品に応じた税率が適用されます。課税価格が1万円以下の場合は、関税はかかりません。例外として、革製のカバン、手袋、靴など免除の対象にならないものもあります。
確定申告が必要になるケースも
個人事業主や個人の場合、1月1日から12月31日までの所得を計算し、所得に応じた所得税を申告、納税するのが確定申告です。
所得は、売り上げから経費を差し引いたものです。ネットショップを副業で行っている人は所得が20万円を超えた場合、確定申告が必要になります。
青色申告の届出をしている場合は、最大65万円の控除を受けられます。青色申告の場合は赤字でも確定申告しておきましょう。赤字を3年間持ち越せるため、翌年黒字になれば相殺できます。
青色申告の届出をしていない場合は、自動的に白色申告になります。
ネットショップを経営するうえでのポイント
ネットショップは手軽に始められるだけに、無計画に出店すると利益が出ずに悩むことになりかねません。事前に、仕入れや販売戦略、資金繰りなどの計画をしっかり立て、ネットショップの運営についても勉強をしておきましょう。
事前に利益計画を立てる
ネットショップを始める際に、利益計画を立てておきましょう。「売り上げ」「費用」「利益」を具体的な数字で考え、目標を設定します。何をどれくらい売ればいいのか、仕入れはどれくらいの金額で行うべきかを計画しましょう。
また、ショップで商品が売れても、実際に入金されるまでには期間が空きます。決済方法や、出店モールによりその期間は異なるため、入金のタイミングの確認と、入金されるまでの資金繰りについても考えておく必要があります。
在庫を仕入れ過ぎない
ネットショップ開業当初に、大量に仕入れるのは避ける方が無難です。売れずに在庫になってしまうケースが考えられるためです。
まず、在庫は倉庫内で場所を取ります。そして、資金を大量仕入れにつぎ込んだために、次の仕入れができないというケースも考えられます。そして、売り切るために、値段を下げざるを得ない状態になってしまえば、利益が確保できず赤字になる可能性すら起こります。
長期在庫になるのを避けるために、商品は様子を見ながら仕入れましょう。在庫を少なくして商品の回転率を上げる方法が効率的です。一定数の売り上げがあり、売れる数量の見通しが立ってからの大量仕入れが安心な方法といえるでしょう。
炎上リスクのある表現は避ける
ネットショップの商品説明や価格、メルマガなどには十分に注意が必要です。打ち間違いや過大な表現のために炎上してしまうと、ショップの信用にも傷がつくだけでなく、お客さまとの信頼関係の回復に大変な時間と努力が必要になります。
事実とは異なるうそや大げさな表現は景品表示法で禁止されています。合わせて、注意すべきは、「価格のけた間違い」「クーポンなどの利用条件・値引き率の間違い」などです。また、読んだ人が不快な気持ちになるような表現にも注意が必要です。
チェックリストを作成したり、複数人でのチェックをしたりするなど、うっかりミスや意図しない表現のミスを予防する対策を取っておきましょう。
リピーター獲得の工夫をする
ネットショップでは集客が売り上げに直結するポイントです。その中でも、購入歴のある人はあなたのショップの商品がどのようなものか、サービスはどうかをよく知ってくれているお客さまです。そうしたお客さまがショップのファンになってもらう工夫をしましょう。
まず、迅速な発送は好感度の高いポイントです。商品の梱包は丁寧に行うのは言うまでもありませんが、手書きのお礼状を添えるなど、ショップ運営者の人となりが感じられるようなコミュニケーションもファンづくりには有効です。また、商品発送時に、リピーター用の割引クーポンを同梱するなど、次の購入を促す施策を行うという方法もあります。
メルマガで、お客さまとコミュニケーションを取るというのも一つの方法です。ただし、お客さまにとって有意義でないメルマガは登録解除される原因にもなります。良質な情報とタイムリーなメルマガの配信により、サイトまで来てもらうきっかけを作りましょう。
コストと使い勝手で考えるならSquare オンラインビジネス
実店舗に比べて開業のハードルが低いネットショップですが、利用するシステムによっては高額なコストがかかることもあります。「ネットショップでどれくらい利益が出せるか分からない」「個人事業主なので簡単にできるものがいい」「実店舗も経営してるので、負担を増やしたくない」などの場合、Square オンラインビジネスがおすすめです。
Square オンラインビジネスはショッピングカート(ASPカート)にあたり、初心者でも簡単にネットショップを開設できます。有料プランもありますが、月額料金のかからない無料プランで十分ネットショップに必要な基本的な機能が利用でき、サーバーやドメインの準備も必要ありません。
無料プランでも商品登録数に制限がなかったり、飲食店のテイクアウト販売に対応していたり、無形商材の販売ができたりと、さらには売り上げの振込手数料が0円だったりと、コストをほとんど掛けずにネットショップが始められます。
また、実店舗を運営している事業主に嬉しいのは、POSレジとの連携です。ネットショップと店舗のPOSレジデータが連携し、売り上げ、在庫、顧客情報などをまとめて管理できるので、運営負担を減らせます。
手軽に無料で始められ、運営状況を見ながら機能を増やしていけるSquare オンラインビジネスをぜひご検討ください。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2020年11月30日時点の情報を参照しています。2024年6月24日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash