ネットショップの上手な商品撮影方法を紹介します

ネットショップの商品写真のクオリティーは、お客様の購買意欲を大きく左右します。撮影した写真が優れていると、商品の魅力や使い方が伝わり、ネットショップそのものに対するイメージや評価もアップするなどさまざまなメリットが生まれます。まずは撮影初心者でも使いやすい機材や簡単なテクニックを知り、ネットショップの写真をグレードアップさせましょう。

目次



ネットショップの商品写真撮影に必要なツール

プロのカメラマンに撮影を依頼すれば写真のクオリティー面は安心ですが、当然コストは高くなります。頻繁に商品写真を掲載する機会のあるネットショップなら、自分で撮影をすることで、コストと時間の両面で効率化を図れます。

ネットショップの仕事の一環として写真撮影をするために、次のようなツールを使ってみましょう。

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初級:スマートフォン+三つの撮影ツール

初めてネットショップのための商品撮影をするなら、使い慣れたコンパクトデジタルカメラで撮る、または手軽なスマートフォンのカメラから始めるのがお勧めです。スマートフォンのカメラは新型のモデルほど性能が高く、光量などの複雑な設定の手間をかけずに撮影環境ごとに最適な方法で写真を撮ることができるため、多忙なネットショップの撮影にも適しています。

スマートフォンによる撮影では、水平な写真を撮るためにスクリーン上にグリッド線を表示させる、レンズの汚れを拭き取る、スマートフォンのケースがレンズ部分に影を作らないか確認するなど、小さな注意の徹底が良い撮影結果につながります。

さらに、以下の三つのツールをプラスすると、スマートフォンでの商品撮影を低コストでグレードアップ可能です。

  • 三脚
  • ライト
  • 背景紙(バックシート、バックペーパー)

三脚は、手ブレを防ぐだけでなく、複数の商品写真を同じ角度・距離から撮影するためにも役立ち、ネットショップ全体の商品写真に統一感をもたらします。水準器という水平を保つ機能が付いた三脚を選べば、傾きのない商品写真を簡単に撮影できるようになります。スマートフォンにもデジタルカメラにも使える三脚が、1,000円台から多く出回っています。

ネットショップ用のきれいな商品写真の条件として、撮影時に必要な光量が確保されていることも挙げられます。事務所などの室内で撮影をする場合、既存の室内照明だけでは光量が不十分で、さらなる照明が必要です。本格的な撮影用の照明がない場合、家庭用のデスクライトのような照明器具でも、被写体をわかりやすく見せるために役立ちます。ただし電球については、被写体が青白く見えがちな「昼光色」や、黄色っぽく見える「電球色」は、ネットショップ用の写真撮影には不向きであるため、「昼白色」などの自然な色を選びましょう。

また、被写体の背景をすっきり見せて統一感を出す背景紙も、そろえておきたい撮影ツールです。1,000円台から入手可能で、ベーシックな白、高級感を感じさせる黒など、ネットショップの雰囲気や商品に合わせて選ぶことができます。背景紙は、商品より高い位置の壁に上辺をテープで留め、横から見たときにカーブを描くように、下辺は被写体を置く台に長く垂らすようにして留めます。その上に被写体を載せて撮影すると、背景に壁と台の継ぎ目のない写真が撮れます。背景紙は商品と同じ色を避け、縦・横ともに商品の4倍から5倍以上の大きめなサイズのものを用意すると、ネットショップの他の撮影にも使えて便利です。

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中級から上級:次にそろえたい四つの撮影ツール

初級から進んで、さらに質の高いネットショップ用の写真を撮影したい場合は、以下のようなカメラや本格派のツールを検討してみましょう。

  • 一眼レフ
  • 撮影用ライト
  • レフ版(リフレクター)
  • ディフューザー

一眼レフのカメラであれば商品のディテールや質感に加え、撮影シーンの奥行きなど、繊細な写真表現が可能で、商品の魅力をより詳しく伝えることができます。特に使用例などの写真を撮影する場合、たとえば商品である食器が食卓に溶け込んだ写真なら、商品にピントを合わせ、背景をぼかすことで商品を際立たせます。夜間に使うアウトドアグッズなどの使用例を撮る際も、暗い場所での撮影に一眼レフが活躍します。

重量や操作性が気になる場合は、一眼レフより小型で軽量かつ操作が比較的簡単なミラーレス一眼レフという選択肢もあります。一眼レフもミラーレス一眼レフも、初心者向けのスペックの本体にレンズ1点がついたレンズキットで約4万から販売されており、型落ち品や中古品などを探せばさらに安価です。

カメラをアップグレードする際は、撮影用のライトもそろえるのが理想的です。大光量のライト、あるいは光量を調整できるライトが望ましく、発熱しにくいLEDタイプ、三脚に固定できるタイプなど、撮影環境に合わせて選びましょう。

ライトや太陽の光を反射させて使うレフ板は、オーソドックスな白や銀色のものが一つあると、光の当たり方をコントロールでき、被写体の一部に影ができて暗くなってしまうことを防ぎます。1,000円台から購入でき、折り畳み式のレフ板なら収納や撮影時の持ち運びに便利です。

ライトやストロボに取り付けて使うディフューザーは、2,000円前後から購入でき、光と影をコントロールすることで写真の質感を変えます。ディフューザーなしで撮影すると光がシャープで濃い影ができますが、ディフューザーは種類により被写体の表面をなめらかに見せる、質感を際立たせる、光を柔らかくするなどの効果をもたらします。

ネットショップ用写真の撮影の三つのポイント

必要な撮影ツールがそろったら、ネットショップや商品の特性に合わせて、写真の構図、背景、光のタイプを検討しましょう。

撮影のポイント1. 構図を考える

ネットショップで使う写真には、被写体の全体像がわかる「商品写真」、商品の細部や質感がわかる「部分写真」、使用シーンや使い方がわかる「イメージ写真」の三つが主に必要です。商品写真の撮影は「物撮り」とも呼ばれ、商品の正面が見える位置の他、被写体によっては裏面や側面も写します。一般的に、物撮りはカメラのフレームの中心に被写体を配置し、あくまで商品の全体をわかりやすく撮ります。パッケージに入っている状態の化粧品や食品など、部分写真が不要な場合もありますが、衣類やアクセサリーなどは金具やレースなどの装飾をアップで写すことで、お客様の購入の判断材料になります。

撮影の構図が最も問われるのは、イメージ写真です。食品であれば盛り付け例、アクセサリーならモデルの装着例、雑貨ならインテリアとのコーディネート例など、イメージ写真にはネットショップのお客様に商品の使用方法の情報を提供しつつ購買意欲を刺激する役割があります。ネットショップのイメージ写真は以下のような基本の構図を利用して撮影すると、簡単にハイセンスな印象を与えることができます。

  • 三分割構図
    スマートフォンのカメラで「グリッド線」を表示させた場合のように、画面に縦横に均等に各2本の線を引くと、計4カ所の交点が生じます。いずれかの交点の上に被写体を配置して撮影すると、自然に美しいと感じられる構図を実現できます。

  • 対角線構図
    画面に2本の対角線を引き、その線上のどこかに被写体を配置する構図です。例えば同じ商品を2点同時に撮影する場合など、1点を手前、2点目を奥にして対角線状に配置することで、単調にならず、画面に奥行きと動きが生まれます。

  • 日の丸構図
    シンプルながら被写体の存在感をアピールできるのが、「日の丸」の旗の円のように被写体を中心に配置する方法です。余白の取り方次第で印象が大きく変わるため、数パターンを撮影してみましょう。

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撮影のポイント2. 背景で演出する

被写体の背景は、単に商品をはっきり見せるだけでなく、商品のイメージを伝える演出としても利用できます。木目調の壁紙やコルク素材などを背景にして撮影するとナチュラルな雰囲気になり、石やコンクリート素材だとクールな印象になります。布の質感を生かして、ベルベットで高級感を、ツイードで温かみを、麻やリネンで涼しげな雰囲気を演出することも可能です。

ネットショップのイメージカラーをそのまま背景に使う、商品カテゴリごとに色を変えるなどといったアレンジもできますが、光沢のある背景素材は光が反射するので避け、ネットショップ全体の統一感にも注意しましょう。

撮影のポイント3. 光をコントロールする

撮影した写真のクオリティーを大きく左右するのが、光という要素です。単純に明るければ良いわけではなく、光を当てすぎて「白飛び」の状態になれば商品の全体像が見えにくくなります。逆に、明るさが足りなかったり光の質が商品に適していなかったりしても、やはり商品の質感や細部を伝えることができません。そうした問題を解決するのが撮影用の照明と、レフ板やディフューザーなどの撮影ツールです。

人間の目で被写体が最も自然に見えるのは、自然光、つまり太陽の光の中です。とはいえ直射日光や窓のすぐ近くは避け、室内が自然な明るさになる位置での撮影が理想的といえます。光を柔らかくするには、レースのカーテンを使用する、窓ガラスにトレーシングペーパーを貼るといった方法も有効です。

被写体に影ができるサイドには、レフ板、または代用として白い画用紙などを配置することで被写体に光を反射させ、明るさを均一にします。必要に応じて照明やディフューザーを使い、明るさを調整しましょう。デスクライトのような照明を使う場合、被写体の斜め上から光が当たるように調整すると自然な光に感じられます。

品目ごとに「買いたくなる」写真を撮影する方法

ネットショップの商品によって、最適な写真の撮影方法は異なります。食品・飲料、アパレル、小物のカテゴリごとに、「買いたい」と感じてもらえる写真撮影のコツを覚えておきましょう。いずれも、三脚を水平に設置する、画面のグリッド線を利用するなどの点に気をつけて撮影すると、後から写真データを水平に修正する必要がなく効率的です。

食品・飲料

ドリンクや缶詰の食品などは、パッケージと食器に盛り付けた状態を並べて撮影することで、商品の内容がわかりやすくなります。また、イメージ写真では洋菓子ならカップ、和菓子なら湯呑みに入った飲み物と一緒に撮影するなど、飲食シーンのリアルなイメージを伝えましょう。

食品撮影のキーワードとなるのが、「シズル感」と呼ばれるみずみずしさ、新鮮さです。冷えたビールを注いだグラスの表面につく水滴、たれを塗った鰻の照り、ゼリーの透明感など、シズル感を感じさせる写真表現はおいしさのイメージに直結するので、被写体の下準備や光の調整などで演出しましょう。光を斜め上よりやや後方から当て、少しだけ逆光にすると、食べ物はよりおいしそうに見え、ネットショップの魅力アップにもつながります。食べる人の目線の位置と角度を意識してカメラを配置し、撮影しましょう。

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アパレル品

衣服や靴、バッグなどのアパレル品を扱うネットショップの写真撮影で重要視したいのは、身に着ける人のイメージです。安価なTシャツでも、おしゃれなモデルがトレンド感のあるコーディネートで着こなせば、値段以上の価値が生まれます。モデルではなくマネキンを使用する、または平面に置いて撮影をする場合も、小物を使ったコーディネートや背景を使用することで、お客様が商品を身に着けた自分を想像したときに良いイメージを持つことができます。「この服を着てどこへ行くか」「どんな予定のある日に履く靴か」など、着用シーンを具体的にイメージできる要素も意識しましょう。

アパレル品はサイズ感も購入の決め手となる要素であるため、着丈、サイドから見た形なども撮影し、モデルの身長や着用サイズを写真に併記するといった工夫もネットショップでは有効です。

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小物、日用品(雑貨、アクセサリー、食器など)

時計のカバーガラス、鏡面仕上げのアクセサリー、つやのある陶器などは、撮影者や照明本体の映り込みを防ぐために、高い位置に商品と同系色(単色)の紙をかざすなど、小さな一手間で写真の仕上がりをレベルアップさせましょう。

商品によっては、さまざまな角度からの写真があることでディテールがしっかり確認できるようになります。別のネットショップで売られている同じ食器を比較して買う場合、正面から撮影した写真を1点だけ掲載しているネットショップより、複数の写真を掲載しているネットショップのほうがより購買意欲を刺激するでしょう。

商品単体を売るのではなく、その商品を入手することで作られるライフスタイルを売るというイメージを大切にして撮影を行いましょう。ネットショップで取り扱う関連商品をさりげなく撮影小道具として使えば、クロスセルの可能性も生まれます。

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撮影した写真に磨きをかけよう

撮影した商品画像を見直すと、「少し暗かったかも」「角度が変かも」と気づくところが出てくるかもしれません。その際には一から撮影し直さなくても、写真編集・加工ツールを利用することでぐっとイメージに近づけられる可能性があります。画像を修正する方法を、スマートフォンで撮影する場合と、一眼レフで撮影した場合に分けて紹介します。

スマートフォンで撮影する場合

明るさを調整しよう

明るさは、スマートフォンの既存アプリから修正できる場合が多いです。たとえばiPhoneなら、「写真」アプリから修正したい写真を選択し右上にある編集ボタンから明るさの調整ができます。「露出」「明るさ」「ブリリアンス」「ハイライト」「シャドウ」などをそれぞれ調整すると、理想の明るさに近づけることができます。

トリミングをしよう

想定よりも商品画像が小さめに映っていた、ということもあるかもしれません。この場合は余分な箇所を切り取り、商品が希望の大きさで映るようトリミング(画像の一部を切り出す処理)をしましょう。トリミングも明るさと同じく、iPhoneなら「写真」アプリから簡単に行うことができます。必要であれば、トリミングの画面から角度の微調整もできます。

アプリを利用しよう

写真加工アプリを利用すると、色味を自動で調整するフィルターを選ぶだけでおしゃれな写真へと早変わりします。商品の雰囲気に合わせたフィルターが選べるVSCOや、希望の箇所をぼかせる機能がついたSnapseedなどは無料で利用できるのでおすすめです。

一眼レフで撮影する場合

画像をRAWデータで保存する

一眼レフやミラーレスカメラには、写真の記録画質を「RAW」に設定できる箇所があります。RAWとは加工を一切していない生のデータのことで、画質を落とさずに写真の色味や明るさを調整できる保存形式です。ただしデータが非圧縮のため、保存する際のデータ容量は大きく、編集やより容量の小さい「JPG」への変換には専用のソフトが必要になります。

レタッチソフトウェアを利用する

前述のRAWデータの編集における王道ソフトとして知られているのは、アマチュアからプロフェッショナルにまで愛用されているAdobe Photoshop Lightroomです。月額利用料金がかかりますが、今後も本格的な商品写真を投稿していきたいと考えるのであれば割いてもいいコストかもしれません。

RAWデータの現像や画像編集を無料でできるソフトもあります。まずは画像編集ソフトを試しに使ってみたい、という場合はキヤノン
Nikonなどのカメラメーカーが出している無料ソフトをダウンロードしてみてもいいかもしれません。

RAWデータの編集などはせず、トリミングや明るさ、色調の調整を行いたい場合はPIXLRSumopaintなど、ブラウザ上で利用できるアプリを試してみてもいいでしょう。

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実店舗のように商品に触れることができないネットショップ。この記事では商品の魅力をしっかりと引き出すための撮影方法を紹介してきました。商品は単体で撮影するのはもちろんのこと、使用例を見せるなどの工夫を凝らすと商品を手にしたときのイメージも湧きやすく、商品の魅力をお客様によりアピールできるかもしれません。ネットショップごとに最適な撮影方法を試し、ビジネスの成長を加速させましょう。


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執筆は2021年3月8日時点の情報を参照しています。2021年9月13日に記事の一部情報を更新しました。
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