リピーター増加でネットショップの売上安定を図る9つの方法

ネットショップの売り上げの安定を考えるなら、繰り返し購入してくれるリピーターの重要性に着目する必要があります。ネットショップのリピーターの獲得には、新規顧客の獲得とは異なる施策が求められるため、まずは主要な9項目の実践度をチェックリストで確認しましょう。リピーターを増やす際の注意点も解説します。

目次



リピーターの獲得・維持が重要な理由

リピーター獲得・維持のための施策を実施することは、売り上げと経営の安定化に大きなメリットをもたらします。新規顧客獲得のための広告やキャンペーンなどの施策も大切ですが、初回購入のお客様ばかりをターゲットにしたネットショップでは、リピーターの購入による利益を享受することが難しくなります。

リピーターの重要性は、ネットショップではなく実店舗の例で考えるとより理解しやすくなります。たとえばケーキ店なら、新規顧客向けの広告をきっかけに一度だけ来店したお客様より、店のサービスや品質を気に入り毎週来店する常連のお客様(リピーター)のほうが、1人あたりの年間売上額が大きいのは明らかです。リピーターが多ければ多いほど、売り上げは安定しやすくなります。

同時に、マーケティングコストについてもリピーターのほうが効率的で、結果として売上金額に対する利益率も高くなる可能性があります。店自体にポジティブな感情を持っているリピーターは、家族や職場、友人などに店についての良い口コミを伝えてくれる可能性もあり、実質コストゼロで集客にも貢献します。さらに、将来にわたってリピーターとして購入を続ける期待もできるため、新規顧客を次々に開拓するコストより、リピーターを大切にする店作りにコストをかけたほうがリターンが大きいことがわかります。

以上のメリットはネットショップについても同じことがいえ、リピーターを獲得・維持することによるメリットは、以下の4点にまとめることができます。

  • 売り上げが安定する
  • 利益率が高くなる
  • 口コミを期待できる
  • リピート購入が期待できる

リピーター施策のチェックリスト9項目

上述のケーキ店の例とネットショップにおいて大きく異なるのは、お客様との接点のあり方です。顔を合わせて接客する実店舗では、店頭での会話や気配り、過ごしやすい店内の雰囲気、看板やディスプレイの見やすさ、通いやすい立地などが、お客様のリピーター化に役立ちます。一方、ネットショップではお客様との接点を確保し、意識的につながり続け、限られた接触の中でショップの良さを実感してもらうための施策が求められます。ネットショップで欠かせないリピーター施策を、チェックリスト9項目で確認しましょう。

1. お客様が満足できる商品購入体験を提供しているか?

ネットショップでの買い物においては、ただ商品を買っただけでなく、「満足を得た」という体験がリピーター獲得のために重要です。ネットショップの商品ページは見やすかったか、十分な情報にアクセスできたか、在庫の有無はわかりやすかったか、商品選択や支払いはスムーズだったか、配送や梱包は適切だったか、商品は希望通りのものだったか、これら全てが満たされることで、お客様にとって100%の満足となります。端的にいえば、ストレスのない商品購入体験ができるネットショップであるか、ということです。

2. 商品の開封時、他店と差別化できる工夫をしているか?

ネットショップの最大の特徴は、店側とお客様側が直接顔を見ることなく、購入品がパッケージされた状態でお客様の手元に届くことです。梱包を開けたときの印象は、ネットショップの印象に直結し、他のネットショップとの差別化ポイントでもあります。商品を乱雑に詰め込んだだけのパッケージと、丁寧な取り扱いぶりが伝わる梱包にメッセージカードやサンプル品などが整然と入ったパッケージとでは、後者にリピーターがつきやすいことは明らかです。「どのネットショップで注文しても同じ」と思わせず、「このネットショップでまた買いたい」と感じてもらえるように意識しましょう。

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3. ソーシャルメディアのフォローやLINEの友達登録を促しているか?

ネットショップのソーシャルメディアアカウントで発信した情報をリピーター増加に結びつけるには、お客様からアカウントをフォローしてもらうことが前提です。FacebookやInstagram、Twitter、LINEなど、ネットショップのターゲット層に合うソーシャルメディアのビジネスアカウントを作成したら、「フォローするとクーポンをプレゼント」「友達登録で招待セール情報をお届け」など、販売促進を兼ねたきっかけを提供することでお客様とのつながりを確保しましょう。

4. セールや特集など、再来店を促すイベントは開催しているか?

大規模なセールやお勧め商品の割引、セット購入での割引、送料無料キャンペーン、限定商品の販売など、再び同じネットショップで買い物をしたいと感じてもらえるような魅力的なイベントは、リピーター増加に効果的です。セールや特集の大まかな開催計画を年間単位で立て、同時にお客様への告知と仕入れのタイミングを検討しましょう。リピーターにイベントを楽しみにしてもらえるようになれば、ネットショップのリピーター施策として成功です。

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5. メールマガジンなどでショップ情報を月1回以上発信しているか?

セールやキャンペーンがない時でも、新商品の入荷、売れ筋商品の紹介など、ネットショップを知ってもらうための情報はたくさんあります。お客様にリピーターになってもらうために、定期的な情報送信で存在をアピールしましょう。メールマガジンは頻繁に届くと煩わしさを感じさせることがありますので、月1回程度に留めておきましょう。しかし、頻繁に商品ラインナップが入れ替わる、またはセールが多いネットショップであれば、イベント情報と合わせて週1回にするなど、ビジネスの内容に合わせたアレンジが必要です。

6. 複数回購入でお得になるポイントシステムは導入済みか?

一度きりの購入でなく、2回目、3回目とリピート購入をしてもらうために、複数回の購入がお客様にとってメリットをもたらすシステムが有効です。シンプルかつ効果的なのは、購入金額ごとにポイントが貯まり、一定ポイント数に達したら割引券やギフトがもらえるポイントシステムです。リピーターでいることにメリットが感じられれば、お客様は他のネットショップに移りにくくなります。導入すれば「ポイント2倍セール」などのイベント企画も立てられ、ポイントに有効期限を設けて再購入を促すなど、お客様とネットショップのつながりを密にする使い方が可能です。

7. 適切な頻度で告知を行っているか?

メールやソーシャルメディア投稿など、多すぎる告知でお客様の手を煩わせてしまうと、登録解除につながりやすくなるだけでなく、ネットショップのイメージダウンにもなりかねません。1回の告知に含める情報の量と質を洗練させ、適切な頻度で告知を行いましょう。逆に年に1回や2回のみなどの少なすぎる告知では、お客様との結びつきが薄れ、忘れられてしまう可能性があります。また、「このネットショップはアクティブではない」という印象を与え、商品ラインナップの鮮度が低い、トレンドにも敏感でないと捉えられてしまうかもしれません。同業他社などのネットショップも参考にしながら、高すぎず低すぎず、最適な頻度の告知を考えましょう。

8. サンキュークーポンを発行しているか?

商品を購入してくれたお客様にアフターフォローのメールは送信していますか。はじめて購入してくれたお客様には、「先日は商品をご購入いただきありがとうございました。お楽しみいただけておりますでしょうか」などのお礼のメッセージに「次回のお買い物に利用できる5%オフクーポン」といったサンキュークーポンを添えてみてはいかがでしょうか。購入者にネットショップを「また覗いてみようかな」と思ってもらうきっかけづくりには有効な施策です。

9. Googleアナリティクスでお客様の興味を把握しているか?

パソコン上級者向けのアドバイスにはなりますが、Googleアナリティクスというアクセス解析ツールを使うと、お客様の興味が数字となって現れます。具体的にいうと、どの商品ページのアクセス数が一番高いかなどを見ることで、どの商品が注目されているのか、などを知ることができます。

お客様が興味を示している商品にはどんな傾向があるのか、などが見えてくれば、今後の仕入れなどにも役立つかもしれません。反対に「アクセス数は多いけれど、購入率は低い」などの課題も見えてくるかもしれません。ユーザーのニーズをよりよく理解することは、リピーターの定着にもつながるでしょう。

以上9項目のリピーター施策のうち、まだ着手していないものがある場合は、ネットショップの売上アップのために早期に実施を検討しましょう。もちろんネットショップで取り扱う商品の種類によっては、たとえば、ソーシャルメディアとは別のダイレクトメールなどの方法でお客様とつながる必要があるケースも考えられます。あくまでその目的である「ネットショップがお客様とつながりを持つ」ことにフォーカスし、ネットショップの特性やお客様のペルソナに合う方法を選んでリピーター施策を実施することが理想的です。

ネットショップでリピーターを作る際の注意点

リピーター施策を実施しても確かな効果が出ていないというケースでは、施策以外のポイントに課題が存在する可能性もあります。これは、初めてリピーター施策を行うネットショップにおいても必ずチェックしておきたい注意点です。リピーターの獲得と維持のため、ネットショップのサービス品質に改善の必要がないか、以下のポイントを再確認しましょう。

商品の種類や在庫数に注意

競合が多い分野のネットショップであれば、商品ラインナップや在庫数がお客様のリピーター化に影響することがあります。たとえば、食器を扱うネットショップで、カップとソーサーを1セット購入した新規のお客様の立場で考えてみましょう。リピーター施策としてネットショップから届いたメールマガジンやセール情報を見て、再びサイトにアクセスしたところ、初回に購入した商品と似たテイストの食器がない、または1人用として購入しやすい食器がない場合、商品ラインナップゆえにリピート購入が起きにくいことになります。この場合、初回購入した商品にマッチする他の食器とのコーディネートを紹介する、お客様の買い物傾向に合う商品の入荷時に知らせるといったマーケティングが有効です。

また、メールマガジンやセール情報を見てサイトにアクセスしたものの、既に該当商品の在庫がない場合、お客様の購入のモチベーションは下がってしまいます。在庫がある他のネットショップで購入しようと、在庫不足をきっかけにリピーターが離れてしまう可能性もあります。在庫数が十分でない場合は、初めから1人あたりの購入点数を制限する、在庫が残りわずかであることをあらかじめ知らせるなど、お客様の心理面にも配慮した対策を採りましょう。

競合の価格設定に注意

同一商品や類似商品の場合、お客様は他のネットショップと価格を比較し、送料も含めて最も安いネットショップで購入することがあります。リピーター施策としてセールをしたものの、目玉商品の価格が他店より明らかに高ければ、せっかくのセールも価値が下がってしまいます。もし商品単体の安値を打ち出すことが難しい場合は、他の商品とのセット購入で値引きをする、期限内に購入した人にプレゼントを用意するなど、別の角度からお客様の満足度に働きかける方法もあります。

日頃から、競合ネットショップの価格設定のリサーチは頻繁に行うことは、どの分野のネットショップでも不可欠です。もちろん安い価格で購入したいという消費者心理は事実ですが、最安値でなくても、ネットショップの印象やサービス品質次第ではリピーターを獲得できることもあるため、価格と併せて自社のネットショップの強みをアピールすることも欠かさないようにしましょう。

UI・UXによる「サイトのわかりにくさ」に注意

同じ系統の商品を探しづらい、カテゴリの分類がひと目で理解できない、購入決定のボタンがどこにあるかわからない、カゴに入れた商品の合計金額を買い物の途中で確認しづらいなどの不便があると、ネットショップを訪れたお客様の離脱につながりやすくなります。これらの不便は、サイトの構造や設計、デザインによるもので、UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)という観点からの改善が必要です。

逆に、UIやUXが優れたネットショップでは、お客様はストレスのない快適な買い物体験ができるため、リピーターの獲得にもつながります。UIやUXを実店舗で例えるなら、商品の陳列棚の並び方、商品の探しやすさ、手に取りたくなるような商品配置、レジまでの導線などに該当します。実店舗での買い物のしやすさを想像しながら、ネットショップとしてのUIやUXを見直し、リピーターに優れた買い物体験を提供しましょう。

お客様の対応方法に注意

問い合わせのメールやソーシャルメディアのメッセージへの返信は、お客様との貴重なコミュニケーションの機会ですが、対応に注意も必要です。返信までに1日以上の時間がかかる場合は、あらかじめ明記しておくなど、お客様にストレスを与えないよう配慮しましょう。

一方で、お客様からの連絡の意図を正確に汲み取り、丁寧な対応をすれば、ネットショップのイメージは向上し、リピーターにつながるチャンスも増えます。商品や配送についてのクレームであっても、お客様の状況に真摯に寄り添って誠意のある対応をすることで、リピーターを獲得することもあります。お客様対応はリピーター獲得のチャンスと捉え、前向きに取り組むことがコツといえます。

このように、ネットショップのお客様の目線を想像しながら課題を一つひとつ改善していくことが、リピーターの獲得・維持につながっていきます。より多くのお客様に満足のいく買い物体験を提供し、リピーター化を促進することで、ネットショップの売り上げを安定させていきましょう。

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執筆は2021年3月22日時点の情報を参照しています。2021年7月30日に記事の一部情報を更新しました。
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