予約システムで事前決済を導入するメリットと決済手数料を解説

飲食店や美容サロンなど、さまざまな業種や店舗で予約の受付・管理ツールとして予約システムは活用されています。予約システムを利用している店舗で、ぜひ導入を検討したいのが事前決済です。会計業務の負担が減り、予約直前のドタキャンやノーショーと呼ばれる無断キャンセル対策としても有効な事前決済ですが、その手数料は一律ではありません。この記事では、事前決済のメリットや導入時の注意点、事前決済の手数料や入金サイクルについて解説します。

目次



予約システムの決済手数料とは?

予約システムの事前決済機能を利用するには、予約システムの月額料金とは別に、決済手数料がコストとして発生します。これは、予約システムを提供する会社や決済代行会社に支払う手数料で、金額は各社・各サービスで異なります。また、入金サイクルも決済代行会社などによって異なるので、導入前には必ず確認をしておきましょう。

事前決済を導入するメリット

事前決済を利用することによって、店舗にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

無断キャンセル対策になる

ノーショーと呼ばれる予約の無断キャンセルや、予約当日や前日など直前にキャンセルを行う「ドタキャン」は、店舗運営者にとって頭の痛い問題です。特に深刻なのが飲食業界で、経済産業省が2018年に公表したレポートでは、飲食業界において「ノーショー」がもたらす被害額は年間2,000億円、さらに「ドタキャン」も合わせると、被害額は約1.6兆円にも上ると推計されています。

予約と同時に事前決済が行われれば、「とりあえず予約しておこう」と軽い気持ちで予約する人は減るでしょう。また、ノーショーやドタキャンが起きても、キャンセルポリシーに基づいてキャンセル料金を徴収することができるので、店舗の損失を防ぐことができます。

参考:No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポートが発表!(経済産業省)

非接触なので新型コロナウイルス対策になる

ある調査では、64%の人が「コロナ禍でキャッシュレス決済を利用する機会が、以前よりも増えた」と回答しています。その理由としては、「レジでの支払いを素早く済ませ、接触時間を短縮させるため」「現金に触れることによる新型コロナ感染を防ぐため」が挙げられています。

事前決済を導入すれば、当日のお会計が不要になります。レジの前で複数人のお客様がお会計を待つこともなくなるでしょう。混雑の解消や接触機会の軽減にもつながり、新型コロナウイルス感染症対策になります。

参考:コロナ禍の個人の家計実態調査2021(株式会社マネーフォワード)

jp-blog-processing-rate-of-upfront-payment1

会計業務が簡素化される

当日お会計をする必要がない分、スタッフの負担が軽減されます。たとえば、現金によるお会計では、釣り銭の準備やおつりのやり取り、レジ締め時の現金確認など、現金管理にまつわる負担が大きくなりがちですが、事前決済を含むキャッシュレス決済を積極的に導入することでこうした負担を軽減することができます。

売上管理が効率化できる

事前決済による取引履歴は、予約システム上にデータとして残ります。現金を数えて帳簿を入力する代わりに、システム上で売上データをひと目で把握できます。また、売上データや在庫管理情報、顧客情報などを一元的に管理できれば、事務処理作業はより効率的になるでしょう。

予約状況と決済状況を一元管理できる

予約システム上で予約を受け付け、さらに事前決済まで行えば、予約状況と決済状況を一元管理できます。支払いが遅れているお客様にはリマインドメールを送るなど、売り上げの取りこぼしを防ぐことができます。

お客様の利便性が向上する

クレジットカードでポイントやマイルを貯めているお客様は少なくありません。クレジットカード保有者を対象とした調査によると、保有者の8割が「ポイントを意識している」と回答しています。事前決済ではクレジットカードを使用することが多く、ポイントやマイルを貯めているお客様にとってメリットが大きいといえるでしょう。また、会計を事前に済ませておけば、お客様は予約当日に財布や現金を持ち歩く必要がないので、たとえばリゾート地でのアクティビティなどにおけるセキュリティー上の不安も軽減されます。

参考:クレジットカード利用者の8割以上が意識している「ポイント」、いつ何に使ってる?(株式会社GV)

事前決済を導入するデメリット

店舗側にもお客様にとっても便利な事前決済ですが、デメリットとしてどのようなことがあるのでしょうか。

jp-blog-processing-rate-of-upfront-payment2

決済手数料が必要

事前決済を含むキャッシュレス決済では、決済手数料が発生します。詳しくは後述しますが、決済手数料はサービスによって異なります。売上金額が大きければ大きいほど手数料の負担も大きくなるので、決済手数料がネックで導入に踏み切れない店舗運営者もいるかもしれません。

導入費用や月額利用料が必要な場合も

初期費用や月々の利用料がかかるサービスもあります。また、実店舗でもキャッシュレス決済を行いたい場合には、決済用端末の購入費用がかかる場合もあります。各サービスの初期費用、月額利用料、決済手数料、そして提供している決済用端末の価格も合わせて検討するとよいでしょう。

導入までの時間が必要

事前決済を含むキャッシュレス決済では申し込み後に、審査が行われます。実際に事前決済が利用できるようになるまでには、短い場合には数日程度、長い場合には数カ月かかることもあります。審査にかかる日数はサービスによってばらつきがありますが、Squareの決済サービスなら、カードブランドによっては最短で申し込み当日に審査が完了します。

事前決済導入時の注意点

事前決済の導入にあたっては、どのようなことに注意したらいいのでしょうか。三つのポイントを解説します。

セキュリティー

お客様のクレジットカード情報など重要な個人情報を扱うため、セキュリティーは最も重視すべき項目です。万が一、顧客情報などが漏洩した場合は、お客様に迷惑がかかるだけでなく、店舗の信用も失ってしまいかねません。決済代行サービスを選ぶ際には、クレジットカード業界のセキュリティー基準である「PCI DSS」に準拠しているかどうかを参考にしましょう。

キャンセルポリシーの明示

事前決済のメリットの一つに、ノーショーやドタキャンが起こった際にキャンセル料金を回収できることが挙げられます。しかしながら、キャンセル料金を回収するためには、キャンセルポリシーを明示する必要があります。

キャンセルポリシーには、以下の項目を明示しましょう。
・キャンセル発生時の連絡方法や連絡先
・キャンセル可能期間
・キャンセル可能期間が過ぎた際のキャンセル料金
・キャンセル料金の請求方法

お客様にメリットを示す

事前決済を導入しただけでは、お客様にはメリットが伝わらず、思ったほど利用者が増えないかもしれません。また、「キャンセル時の返金はどうなるのか」などの不安から、利用を避けてしまうことも考えられます。そこで、事前決済利用者向けに、割引や店舗独自のポイント加算、特典の付与を行うことで、事前決済のメリットを示し利用を促進する施策も必要でしょう。
jp-blog-processing-rate-of-upfront-payment3

事前決済機能のある無料予約システムと決済手数料

さまざまな業種に対応している予約システムのうち、無料で事前決済機能が利用できるものを紹介します。

  対象業種 決済手数料 対応カード種類 入金サイクル
Square 予約 各業種 3.6% Visa/Mastercard/American Express/JCB /Diners Club/Discover  最短翌営業日
STORES 予約 各業種 4.9 %+99円(1件あたり) Visa/ Mastercard/ American Express/Diners Club/Discover/JCB 翌月25日(25日が土日祝日の場合には翌営業日)
RESERVA 各業種 4.9% Visa/Mastercard/American Express /JCB/Diners Club 月末締め、翌月末
tol(トル) 各業種 6% Visa/Mastercard 月末締め、翌月末
SelectType 各業種 5.6% Visa/Mastercard/ American Express/Diners Club/Discover/JCB 4営業日前までに処理された売上が、毎週選択した曜日に入金。ただし、JCB、Diners Club、Discoverは、30 日後に入金可能。

Square 予約

さまざまな業種・規模に対応しているSquare 予約は、初期費用無料で導入でき、事前決済にも対応しています。主要なカードブランドが利用でき、決済手数料が3.6%と、ほかのサービスと比べてリーズナブルなのが特徴です。入金サイクルが最短で翌営業日で、振込手数料が無料なのもキャッシュフローの観点から店舗運営者にとって大きなメリットといえます。

無料プランでも、事前決済に対応した予約専用サイトの作成、定額課金、在庫管理やスタッフ管理などの機能を利用でき、さらにはInstagramやFacebook、「Google で予約」とも連携できます。さらに有料プランではキャンセル料の回収も行うことができます。料金プランの詳細はこちらをご確認ください。

STORES 予約

180を超える業種に対応しているSTORES 予約は、決済手数料の4.9%に加えて1件あたり99円の手数料がかかります。無料プランでも、クレジットカードでの事前決済、月謝集金、顧客管理のサービスを利用することができます。有料プランでは、メルマガやダイレクトメールの配信、レビュー受付設定などの機能があります。

RESERVA

シンプルな操作性が特徴の予約システム、RESERVA。事前決済機能を利用するには、レゼルバペイメントの申し込みが必要です。決済手数料は、カードブランドに関わらず、一律4.9%です。無料プランでも、「オンラインカード決済時の事前割引」機能が利用できます。

tol(トル)

iOSとAndroidに対応した予約システムアプリです。アプリをインストールしてから最短3分で予約用のウェブサイトが完成する簡単さが特徴です。事前決済の決済手数料は、6%です。売り上げの振込時には振込手数料がかかります。また、最低振込金額は1万円で、1万円を下回る場合は、翌月末に支払いが繰り越されます。

SelectType

フィットネス、飲食店、医療施設、美容などさまざまな業種に対応している予約システム、SelectType。決済サービスStripeを利用しての事前決済が可能です。利用にあたっては、Stripeのアカウントを作成し、SelectTypeアカウントと連携する必要があります。

事前決済機能のある有料予約システムと手数料

次に、有料プランもしくは有料の予約システムで事前決済機能が利用できるものを紹介します。

ChoiceRESERVE

大手企業や公共機関でも導入されている予約システムです。予約サイトのコンテンツ編集やデザイン設定機能など、集客に使える機能が充実しています。事前決済が利用できるのは、初期費用33,000円、月額費用22,000円のProプラン以上となります。GMOペイメントゲートウェイ株式会社など、ChoiceRESERVEが指定した決済代行会社を利用してのオンライン決済となるので、別途オプション料金月額3,300円の支払いが必要になります。契約に際しての審査に時間がかかり、運用開始までに1カ月程度を要することもあります。

EDISONE

無料プランもあるEDISONEですが、事前決済機能を利用するには有料プランである「ベーシックプラン」以上のプランへの申し込みが必要になります。クレジットカード決済で利用できるのはVisaとMastercardの2ブランドで、導入日から即日利用開始が可能です。決済手数料は4.7%、売り上げの振込には手数料500円がかかります。毎月月末までの申請で翌月15日に指定口座へ入金されます。

予約と同時に支払いを済ませる事前決済には、ノーショーやドタキャンの抑止、会計業務の簡素化などさまざまなメリットがあります。決済手数料や利用できるカードブランド、さらに入金サイクルなども比較検討したうえで、自店に合ったサービスを見つけてはいかがでしょうか。

予約管理はSquare 予約で

Squareの予約管理は無料から導入でき、事前決済はもちろん、有料プランの場合はキャンセル料も取れるので、ノーショウ対策もできます。専用アプリでも、お使いのブラウザでも、場所を問わず、どこでも予約の状況を確認、調整できます。


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2022年3月21日時点の情報を参照しています。2023年4月28日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash