ビジネスを立ち上げる際に意識するべきポイントの一つとして「ターゲット市場をどこに設定するか」が挙げられます。年齢や性別、嗜好、行動パターンなど、さまざまな視点から市場のセグメンテーションができますが、「都会、郊外、田舎」といった地域的性格の側面から捉えるのも大切です。本記事では、そのなかでも「田舎」に着目。田舎で得られるメリットやビジネスのアイデア、導入すると便利なサービスなどを紹介します。
目次
- 田舎でビジネスをするメリット
・初期費用・固定費が安くすむ
・支援金や補助金を得られる
・競合が少ない
・都会にはないサービスの可能性 - 田舎でビジネスを始めるには
・どこでどんなビジネスをするか考える
・初期費用を把握する
・運転資金を確保する
・定着する人材を確保する - 田舎で儲かるビジネスのアイデア
・自然や観光資源を活用した体験型のサービス
・地域の特産品開発やオンライン販売
・地元住民の問題を解決するサービス
・宿泊・コワーキングスペース運営 - 田舎でビジネスを成功させるポイント
・地域の人間関係やつながりを大切にする
・地元で資金調達をする
・オンラインサービスを活用する - Squareで地方起業を成功させよう
・キャッシュレス決済を低コストで導入でき、維持費用が無料
・最短翌営業日入金で運転資金を確保できる
・オンライン決済の選択肢が複数ある
・クラウド会計ソフトとの連携も可能 - まとめ
田舎でビジネスをするメリット
「ヒト、モノ、カネ」といった経営資源が集積している都市部と比較した場合、一見、田舎はビジネスを展開するのに向かない環境のように捉えられますが、田舎だからこそのメリットもいくつかあり、上手に活用することによって儲かるビジネスを展開することが可能です。
初期費用・固定費が安くすむ
事務所や倉庫、店舗などが必要なビジネスの場合、都会と比べて地価が安い田舎では、不動産を借りるにしろ、購入するにしろ、安く済ませられます。また、最低賃金が都市部に比べて低いことが多く、正規雇用で従業員を雇う際にも都会と比べて給与を低く設定できる可能性が高くなります。
家賃や人件費が抑えられると初期費用や固定費のボリュームが減らせるため、起業時の借入額が少なくできるほか、売り上げのなかに占める利益の割合を高めることができ、安定した経営基盤を構築する一助になります。
支援金や補助金を得られる
田舎で始める事業が一定の条件を満たし、地域の課題に取り組む「社会性」「事業性」「必要性」の観点をもつ社会的事業であると判断される場合には、都道府県から最大200万円までの「起業支援金」1を受けることができます。
また、その起業にともなって東京23区に在住または通勤する人が東京圏外に移住する場合には、最大100万円(単身者の場合には最大60万円)の「移住支援金」1も得られます。そのほかにも自治体によっては独自の起業支援金や補助金などのほか、事務作業に使えるコワーキングスペースなどを用意しているケース2もみられるので、必要に応じて利用するとよいでしょう。
競合が少ない
都市部と比べて事業者数が少ない田舎では、特別な場合を除き、おのずと競合相手も少なくなります。そもそもマーケットがなかったり、小さかったりする場合は恩恵が薄いかもしれませんが、マーケットがあるのに競合相手が少ないのであれば、自分たちのシェアを大きくしやすい魅力的な環境だといえます。
都会にはないサービスの可能性
豊かな自然や歴史遺産、伝承文化、観光スポットなど、田舎には都会にはないものがみられる地域も多く、アイデア次第ではその場所ならではの資源を生かしたビジネスが展開できます。
また、広大な土地や水域が利用できるケースもあるので、土地や水域の広さを生かしたビジネスアイデアが実現できる点も田舎ならではのメリットだといえるでしょう。
田舎でビジネスを始めるには
では、田舎でビジネスをスタートする場合、どういった点に注意すればよいでしょうか。事業プランの進め方に沿って紹介します。
どこでどんなビジネスをするか考える
田舎で事業展開を考えるのであれば、やはり田舎ならではの特異性を生かすのが得策です。
「きれいな水が手に入れやすい」「日照時間が長い」というような地域ならではのリソース、「IT関連に詳しい人材が必要」「空き家を活用したい」といったニーズ、「一人暮らしの高齢者」「買い物が不便な地域に暮らしている人」といったターゲットなどの観点から、その地域が有している強みや抱えている課題などを精査して、どこでどのようなビジネスをするかを考えます。
初期費用を把握する
ビジネスのプランが具体化すると、スタートに必要な資金の計算が可能になります。大まかな計算だと資金繰りが上手くいかず途中で頓挫してしまう懸念があるほか、お金の出入りのタイミングをしっかり把握しておかないと黒字であっても倒産を招く可能性があります。
できればスタート3カ月前から起業後半年程度までの期間を対象に時系列を追ってキャッシュフローをシミュレーションしておくと安心でしょう。
運転資金を確保する
スタート時に必要な費用が把握できたら、いよいよ当面の運転資金を調達することになります。全額自己資金で賄えるのであれば問題ありませんが、足りない分は家族や友人から借りたり、銀行や信用金庫をはじめとする金融機関から融資を受けたりするなどの手段で調達しなくてはなりません。
特に金融機関で借り入れをする際に求められるのが「事業計画書」です。事業計画書は、経営方針や事業戦略、財務計画などをまとめたもので、融資元が収益計画の実現性を客観的に判断するための重要な資料となります。
「わかりやすさ」や「現実性」などに気をつけるとともに、自身が始める事業に向けての熱意なども伝わるように心がけ、融資を受けるだけの説得力を持ったものに仕上げましょう。また、融資を依頼するときに注意しておきたいのが融資額です。一度融資を受けたあと、足りなくなったからといってすぐに再融資を受けることは困難なので、ゆとりを持った金額で設定しておくのがコツです。
定着する人材を確保する
一般的に「経営資源の3要素」と呼ばれる「ヒト、モノ、カネ」。事業を始めるにあたっては「モノ」と「カネ」の調達とあわせて「ヒト」も確保する必要があります。
自分一人で事業展開ができるのであれば、自身の健康にさえ気をつけていれば大きな問題はありませんが、従業員が必要であれば人材を確保しなくてはなりません。また、「モノ」と「カネ」は自力で用意できる一方、「ヒト」は相手側の都合とマッチしないと得られないため、一方的に準備することができない点に難しさがあります。
多くの人口を抱える都会と違って田舎は人口そのものが少ないため、求める条件に合う人材が得にくいのが課題の一つ。また、うまく条件に合う人材が確保できたとしても、もし離職してしまったら次のスタッフを見つけるのが都会よりも難しいものです。
理想的な人材を確保するにあたっては、インターネットの求人サイトやSNS、ハローワークなどの一般的な募集方法に加え、地縁的なつながりの強い地域であれば地域の人に紹介してもらうのも有用な一手となります。
さらに、人材が確保できたからといっても安心はできません。せっかくの人材が辞めてしまわないよう、「独立開業支援制度を用意する」「地域のほかの事業者よりも労働条件を良くする」など、制度や待遇を整えるとともに、事業そのものを魅力的にしていく努力を重ねるのが大事です。事業そのものが魅力的になれば、儲かるビジネス展開につながり、優秀な人材も確保しやすくなり、より良い方向へのスパイラルが描けていけるようになるでしょう。
田舎で儲かるビジネスのアイデア
ビジネスのアイデアは無限にありますが、特に田舎で儲かる事業にはどのようなものがあるでしょうか。実際によくみられる例をいくつか紹介します。
自然や観光資源を活用した体験型のサービス
まず挙げられるのが、田舎ならではの自然や観光資源を活用した体験型のサービスです。おもなところでは、自身の農業をベースにした農業体験や果物狩り、畜産業をベースにした酪農体験や乳製品の手作り体験、自然のリソースを生かしたSAPヨガや森林ヨガといったヨガリトリートなどがあります。
地域の特産品開発やオンライン販売
いわゆる「ご当地グルメ」や「伝統を生かした工芸品」などの特産品開発や、それらのオンライン販売ビジネスも田舎の持つメリットを生かしたビジネスだといえます。
たとえば、地域で栽培が盛んな果物を使った見栄えのするスイーツや条件の良い漁場で採れた魚などは、「地域ブランド」を冠した差別化が可能です。近年は、地域のイメージや特産物を活用して、地ビールやクラフトコーラなどを生産、販売する事業者も増えてきたほか、伝統工芸に改めてスポットを当てて化粧筆や金属加工品などに顧客のニーズに応える付加価値を与えて提供する事業者もみられます。
また、少量生産であるという点を逆手に取って流通はオンラインの直接販売のみにするなど、販売チャネルを絞った展開で価値を高め、価格競争に巻き込まれずに事業を展開していくこともできます。
地元住民の問題を解決するサービス
「高齢化が顕著な地域」「商業施設が減って買い物が困難な地域」など、地元住民の問題を解決するサービスも田舎だからこそ、より価値の高まる事業になりえます。
買い物の代行や巡回販売、訪問介護など、切実なニーズに合致したサービスが利用者に高い満足をもたらすことは目に見えています。ただし、市場規模が小さい可能性があるので、「独自性を打ち出して市場を独占する」「採算をとるだけのアイデアがある」といった点が成功のポイントとなるでしょう。
宿泊・コワーキングスペース運営
現在、田舎で多くみられる課題の一つに「空き家問題」があります。その問題解決の一助となるビジネスに「宿泊・コワーキングスペース運営」が挙げられます。
観光地が近くにあれば、空き家や空き店舗をリノベーションして宿泊施設として提供するのも一案。また、昨今はテレワークの普及によって移住支援に力を入れている自治体も多く、そういった自治体では空き家や空き店舗をコワーキングスペースにリノベーションして運営するビジネスも盛んになってきています。
田舎でビジネスを成功させるポイント
マーケティングの一般論としてビジネスを成功させるポイントを抑えていても、田舎ならではの特殊性に気をつけないとビジネスをスムーズに発展させるのが難しい場合があります。
地域の人間関係やつながりを大切にする
田舎は都市部に比べて人口が少ないこともあり、お互いに助け合って暮らしている地域が多く、近所の人とのつながりが強い傾向があります。もし、縁のない地域でビジネスを始めるのであれば、自分が外から地域社会に入り込む異分子だという立場を自覚し、快く受け入れてもらえるように心がけることが重要です。
地域社会の一員として受け入れてもらえたならば、なにか困ったことがあった際に支援してもらえる可能性もあり、事業を進めるにあたって心強い後ろ盾となるでしょう。
地元で資金調達をする
起業時の資金調達はどこで行うのも自由ですが、特にこだわりがないのであれば、地元金融機関の融資制度を活用するのが良いでしょう。
地域活性化のための特別融資などを用意している信用金庫3がみられるほか、転入して起業する事業者へ向けた特別な補助金を用意している自治体もあり、都会で起業するよりも好条件で開業資金が調達できる可能性があります。
また、地域に根ざした金融機関であれば、そのエリアのさまざまな事業者との付き合いがあり、ビジネスマッチングのなかだちとして役に立つケースもあるでしょう。
オンラインサービスを活用する
事業が安定するまではできるだけコストをかけないようにするのが安全です。可能であれば集客手段としてSNSを活用する、実店舗ではなくネットショップでスタートする、電話や対面でなく予約サービスを使うなど、オンラインサービスを利用すると人的コストを抑えられます。
Squareで地方起業を成功させよう
サービスを提供したり商品を販売したりする際の決済方法には現金やクレジットカード、電子マネーなどさまざまなものがありますが、低コストではじめたいのであればSquareのサービスを利用するのが簡便です。
キャッシュレス決済を低コストで導入でき、維持費用が無料
一つめのポイントとなるのが、導入コストとランニングコストの低さです。キャッシュレス決済端末が4,980円から手に入るほか、決済手数料以外の費用は発生しません。ミニマムな初期投資でスタートするにはうってつけの決済サービスだといえます。
最短翌営業日入金で運転資金を確保できる
キャッシュレス決済を導入した場合、売上金の入金サイトが遅くなるほどキャッシュフローの面で厳しくなりますが、Squareはキャッシュレス決済の売上金が最短翌営業日に入金されるので、キャッシュフローにほとんど影響しません。
オンライン決済の選択肢が複数ある
顧客が希望する決済方法が選べないと販売機会を損なう可能性があります。Squareにはクレジットカード決済機能付きのSquare 請求書をはじめ、オンラインで支払いを受付ける手段が複数あります。販売機会を損なうリスクが低減できるでしょう。
クラウド会計ソフトとの連携も可能
また、Squareはfreeeやマネーフォワードといったクラウド会計ソフトとの連携も可能。会計処理の手間が少なくできる点もメリットの一つです。
まとめ
田舎には田舎ならではのメリットがあり、ビジネスアイデアに生かすことで都会ではできない「儲かるビジネス」を生み出せる可能性があります。練り上げたアイデアを軌道に乗せられるよう、地域特性をしっかりと把握するとともに、事業を効率化するツールを上手く利用して、安定した経営基盤を構築してください。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2025年2月18日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash