オンラインの予約システムを導入するには、WordPressで自作するという方法があります。自作とはいっても、WordPressを使う方法ならウェブサイト制作の専門知識がなくても、予約システムを導入することが可能です。
美容サロンや飲食店など、店舗向け予約システムを作るためのWordPressの使い方やプラグインの基礎知識を解説します。
目次
- WordPressとは?
- WordPressのサイトに予約システムを組み込む方法
1.外部ツールと連携させる
2.プラグインを使う - 予約システムにプラグインを使うメリット
・低コストで導入可能
・直感的に使えるデザインで、多くは専門知識が不要 - 予約システムにプラグインを使うデメリット
・外部ツールの予約システムのように機能が豊富ではない
・自社で作業・管理を行う必要がある - 予約システムに使えるプラグインは?
・Booking Package
・MTS Simple Booking
・Salon Booking
・Online Lesson Booking - WordPressのプラグインを選ぶ際の注意点
・日本語に対応しているか
・コストはかかるか
・コーディングしないでも使えるか
・テーマなどを利用している場合、バッティングしないか
WordPressとは?
インターネットを利用していると、URLの末尾に「wordpress.com」のドメインが付いたホームページやブログを見る機会があるかもしれません。これはWordPressのシステムを利用して作られたウェブサイトの一例で、無料利用の場合のみURLに「wordpress.com」が付いています。
WordPressはウェブサイトやブログを作成するためのサービスで、世界中で広く普及しているCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の一種です。CMSとは、画像や文章などのデジタル情報を含むウェブコンテンツを統合的に管理するシステムで、ウェブページの編集や公開を効率的にサポートします。CMSを使うと、HTMLやCSSなどのウェブ構築用の言語を使わずにコンテンツを管理できるため、初心者でも比較的簡単にウェブサイトを運営できるのが特徴です。
WordPressはCMSの中でも利便性と信頼性の高さで知られ、国内外で多くのウェブサイトがWordPressを使って作られているといわれます。情報サイトや企業サイトもWordPressを活用して作られたものが少なくありません。WordPressで作ったウェブサイトには、予約システムなどの機能を手軽に追加することができます。
WordPressのサイトに予約システムを組み込む方法
WordPressで作ったウェブサイトで、飲食店や美容サロンの予約を受け付けるには、サイト上に予約システムを組み込む必要があります。組み込むといっても一からシステムを開発するのではなく、予約システム用の外部ツールと連携させて使う、あるいはWordPressのプラグインと呼ばれる機能を追加することが可能です。いずれも、専門知識がなくても導入することができます。
1. 外部ツールと連携させる
WordPressで作ったウェブサイトに予約システムを導入する方法の一つは、外部の予約ツールとの連携です。WordPressとは関連のない会社が運営する予約システムツールを選んで契約し、ウェブサイト内に組み込んで表示させる、あるいはウェブサイトとリンクさせて別ページに遷移して予約システムを使えるようにします。
外部ツールには無料のものもありますが、顧客登録数が無制限、過去の予約情報が長期保存できる、事前決済ができる、自由度の高いデザインができるなど、高度な機能に対応した外部ツールは有料の場合もあります。外部の予約ツールとしてよく知られているのは、SelectType、リザエン、リザーブン、formrun、Airリザーブなどのサービスです。
2. プラグインを使う
プラグインとは、ウェブサイトに機能を付加する外部プログラムのことで、拡張機能とも呼ばれます。WordPressで作ったウェブサイトに専用のプラグインを入れることで、サイト内に予約システムを設置することができます。
WordPress向けには1,000種類以上のプラグインがリリースされており、多くは無料で利用可能です。WordPress上の予約システムに使えるプラグインの例は記事の後半で紹介します。
予約システムにプラグインを使うメリット
WordPressを使ったウェブサイトに予約システムを導入する際、プラグインを使うメリットを考えてみましょう。
低コストで導入可能
WordPressは広く普及しているCMSであるため、プラグインの種類も豊富で無料で使えるものが多い点が大きなメリットです。シンプルな予約メニューであれば無料のプラグインで対応でき、オプションメニューなどがある場合も低コストのプラグインを利用できます。低料金で豊富なプラグインは、WordPressを使う強みともいえます。
直感的に使えるデザインで、多くは専門知識が不要
予約システム用のプラグインはカレンダーと入力フォームを組み合わせたタイプのものが多く、予約者と管理者の双方にとって直感的に利用しやすいデザインです。管理者は、WordPressでウェブサイトを作った経験があれば問題なくプラグインを使え、予約システムの設定にもウェブサイト制作の専門知識は不要です。項目ごとに必要事項を入力していくことで予約システムが完成します。
予約システムにプラグインを使うデメリット
一方、WordPressのプラグインを使うことにはデメリットも存在します。外部ツールの予約システムと比較して考えてみましょう。
外部ツールの予約システムのように機能が豊富ではない
予約システムに特化した外部ツールは機能が豊富であるのに対し、プラグインは限定的な機能となっていることが多いようです。複雑な予約体系の場合は、WordPressのプラグインで対応可能かどうかを確認する必要があります。
自社で作業・管理を行う必要がある
外部ツールの予約システムは、専門業者がシステムの構築と管理を行います。特に有料版ではサポートが充実しており、不明点があれば電話やメールなどでサポートを受けられます。一方、プラグインを使った予約システムの場合は、WordPressで作ったウェブサイトに導入した後は、定期的なアップデートも含めて自社で管理することになります。
予約システムに使えるプラグインは?
WordPressで作ったウェブサイトにプラグインを入れて予約システムを作る場合、業種や必要な機能によって条件を満たすプラグインの種類を選択します。予約システムのプラグインには、主に以下のような特徴があります。
・ 1日単位での予約に対応(例:会場貸出、宿泊施設、レンタル品など)
・時間ごとの予約に対応(例:美容室、飲食店、レッスンなど)
・会場や時間が毎回異なるイベント予約に対応(例:セミナー、上映会、パーティーなど)
WordPressの代表的なプラグインのうち、予約システムとして使いやすいものを以下に挙げました。
Booking Package
Booking Packageは、1分単位から数日間まで幅広い時間枠の予約に対応したプラグインです。予約数に制限はなく、定休日の設定も可能です。飲食店、美容サロン、レッスン、宿泊施設などでの利用が考えられます。
【特徴】
・予約単位:1分から
・日本語対応:あり
・確認メールの自動送信:あり
【有料版の機能例】
・オンライン決済
・メンバー登録
・サービスへのオプション追加
・定員残数の表示
MTS Simple Booking
日本語での説明が充実したMTS Simple Bookingを使うと、詳細な設定が可能な予約システムを作ることができます。1日以内の予約に対応し、宿泊施設を除く多業種で利用可能です。
【特徴】
・予約単位:10分から
・日本語対応:あり
・確認メールの自動送信:あり
【有料版の機能例】
・オンライン決済
・メンバー登録
・問い合わせフォーム機能
・オプションメニューの追加
Salon Booking
Salon Bookingは、マンツーマンのサービスやメニューごとに時間・料金の異なるサービスの予約システムとして便利なプラグインです。美容サロンの他、整体院やクリニックでの利用も可能です。スタッフの出退勤情報との連動、スタッフのサムネイル画像の表示もできます。有料版はありません。
【特徴】
・予約単位:1分から
・日本語対応:あり
・確認メールの自動送信:あり
Online Lesson Booking
オンライン学習のレッスン予約に適したプラグインです。複数の講師を登録し、個別に予約を受け付けることが可能です。日本語の解説ブログも用意されています。
【特徴】
・予約単位:30分から
・日本語対応:あり
・確認メールの自動送信:あり
【有料版の機能例】
・オンライン決済
・ポイント制
・予約上限数の設定
WordPressのプラグインを選ぶ際の注意点
予約システム用にWordPressのプラグインを選ぶ上では、求める機能の他にも確認すべき点がいくつかあります。事前に必ず検討しておきましょう。
日本語に対応しているか
英語のみに対応したプラグインもあり、英語を使って予約システムを設定する必要があります。WordPressを使ったウェブサイトの管理に慣れていない、またはプラグインを使うのが初めてという場合は、日本語対応のプラグインを選ぶと安心です。
コストはかかるか
有料のプラグインは機能の幅が広く、詳細な予約メニューなどの設定にも対応が可能です。多くの場合は無料版で十分に予約システムを作ることができます。事前に各プラグインの説明やデモ画像などを確認し、必要な機能がそろっているかリサーチしましょう。
コーディングしないでも使えるか
WordPressの一部のプラグインは、デザインの変更や自動返信メールの内容の編集に、HTMLやCSSを使ったコーディングを要することがあるため、確認してみましょう。たとえば、自動送信メール冒頭の宛名部分がデフォルトで「Dear」になっている場合、「様」に変えるために若干のコーディングが必要といったケースがあります。
テーマなどを利用している場合、バッティングしないか
WordPressのウェブサイトでは、「テーマ」と呼ばれるデザインテンプレートを使うことがあります。テーマの設定と予約システムのプラグインがマッチせず、プラグインを入れるとレイアウトが崩れる、プラグインに負荷がかかって作動しないといったことがないか、バッティングを確認しましょう。
WordPressのウェブサイトに入れた各プラグインの負荷状況は、P3(Plugin Performance Profiler)などの専用プラグインを入れると調べることができます。
WordPressで作ったウェブサイトでは専門知識なしでも予約システムを導入可能です。便利なプラグインや外部ツールを使い、ビジネスのスタイルやユーザー層にマッチした予約システムを完備して、利便性の向上と売り上げアップにつなげましょう。
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執筆は2022年4月4日時点の情報を参照しています。
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