2020年に入って深刻化した新型コロナウイルス感染症の影響で、休業や時間を短縮しての営業、業態の変化を迫られたという飲食店の経営者は少なくありません。
感染拡大から3年以上が経過し、不要不急の外出自粛といった要請はなくなり、一部の調査からは、外食ニーズの本格回復の兆しが見えてきました。一方で、「一度落ち込んだ客足がなかなか戻らない」「業態を変えてみたいが資金繰りが厳しい」という飲食店経営者もいることでしょう。
参考:2023年、外食は本格的に回復へ。「コスパ」や「お得感」がカギ~2022年外食の振り返りと2023年の展望~(2022年1月31日、ぐるなびプロ)
本記事では、ポストコロナ、ウィズコロナの時代に事業を立て直したいと考えている飲食店経営者や飲食店の店長を対象に、飲食店が申請できる国の給付金・補助金制度や地方自治体ごとの制度を紹介し、飲食店の経営・業務を支えるSquareのサービスについて説明します。
目次
- 国による給付金・補助金制度
・小規模事業者持続化補助金(一般型)
・雇用調整助成金
・事業再構築補助金
・IT導入補助金 - 地方自治体ごとの給付金・補助金制度
・東京都
-飲食事業者の業態転換支援事業
-感染症対策サポート助成事業
-飲食事業者向け経営基盤強化支援事業 - 飲食店の経営・業務を支えるSquareのサービス
・無料アカウントでさまざまなサービスを活用
・決済端末で店舗にキャッシュレス決済を導入
・情報を一元管理
・請求書をオンラインで発行・管理・決済
・大手会計ソフトウェアと連携
・無料で簡単にネットショップを開設
・速くてシンプルな資金調達
国による給付金・補助金制度
飲食店が利用できる国の制度として「小規模事業者持続化補助金」「雇用調整助成金」「事業再構築補助金」「IT導入補助金」があります。それぞれの制度について個別に見ていきましょう。
小規模事業者持続化補助金(一般型)
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者や特定非営利活動法人を対象とした支援制度です。経営計画に基づいて行う販路開拓や、業務効率化などの取り組みにかかる費用について、上限を50万円として補助対象経費の3分の2の補助を受けられます。
小規模事業者持続化補助金のウェブサイトでは、補助金の適用例として「新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発等」が挙げられています。業務の効率化として、飲食店の場合はPOSレジなどのITシステムの導入などが考えられます。
どのように申請書を作成したらよいのか戸惑う人もいるかもしれません。小規模事業者持続化補助金のウェブサイトでは、経営計画書兼補助事業計画書と補助事業計画書について、割烹料理店の記載例が公開されています。飲食店の申請例として目を通してみるとよいでしょう。
商工会議所が記載例を公開していることもあります。たとえば一宮商工会議所のウェブサイトにはラーメン店、菓子店、飲食店の店舗改装や機器導入の記載例が公開されています。自身の状況に近い事例を商工会議所のウェブサイトから探してみるのも一つの手です。
小規模事業者持続化補助金の申請にあたっては事業所のある地域を管轄する商工会議所に相談の上、事業支援計画書といった書類を発行してもらう必要があります。個別の相談会を実施している商工会議所もあります。申請にあたって疑問点や困ったことがある場合には、商工会議所に連絡してみるとよいでしょう。
雇用調整助成金
雇用調整助成金とは、従業員に支払う休業手当などの一部を助成する制度です。休業手当とは、事業者側の都合により従業員を休ませたときに事業者が従業員に支払う手当です。
新型コロナウイルス感染症の影響で、雇用調整助成金ではコロナ特例が設けられました。雇用調整助成金のコロナ特例では一日あたりの助成額だけでなく、教育訓練を行なった場合の助成率や加算額も引き上げられました。
2022年12月以降、雇用調整助成金は通常制度となり、助成の上限額が減額されます。経営状況の厳しい事業者や、雇用調整助成金のコロナ特例を利用したことのある事業者については経過措置が取られるので、該当する可能性のある人は要件を確認しておくとよいでしょう。
参考:
・雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)(厚生労働省)
・令和4年12月以降の雇用調整助成金の特例措置(コロナ特例)の経過措置について(予定)
雇用調整助成金を申請するには、労使間で休業の具体的な内容を検討して協定を結び、休業を実施し、事業所のある地域を管轄する都道府県労働局やハローワークで手続きを行います。申請内容に対して労働局が審査を行い、支給が決まります。休業手当を支払うタイミングと雇用調整助成金を受け取るタイミングがずれる可能性があり、事業者は資金繰りに注意する必要があります。
制度や申請手続きについて疑問点や困ったことがある場合には、各都道府県の労働局やハローワークに問い合わせてみるとよいでしょう。厚生労働省のウェブページでは、都道府県ごとの問い合わせ先が公開されています。
参考:雇用調整助成金のお問い合わせ先一覧について(厚生労働省)
事業再構築補助金
事業再構築助成金とは、ポストコロナ、ウィズコロナ時代の経済的、社会的変化に対応しようと取り組む中小企業の事業再構築を支援する制度です。事業再構築として、具体的には新規分野の開拓、事業転換などが挙げられます。
事業再構築補助金には「成長枠」「大規模賃金引上枠」「産業構造転換枠」などいくつかの応募枠があり、企業規模でも補助額や補助率などが異なります。補助額は100万円から場合によっては数千万円までと補助額が大きいのが特徴です。
事業再構築というと大きな構造転換のイメージがあり、さらに大きな補助額から申請を戸惑う人もいるかもしれませんが、実際に補助金を受け取った具体的な事例を見てみると、制度を身近に感じられるかもしれません。
たとえば、和歌山県のウェブサイトでは、第3回までですが同県の事業再構築補助金の採択事例が公開されています。業種別に見てみると、宿泊業,飲食サービス業の採択数はほかの業種と比べて高くなっています。「飲食店経営からキッチンカーへの再構築」「城下町の小さなパスタ屋で三大伝統イタリア菓子のテイクアウト事業」など過去にどのような事例が採択されたのか記載があり、飲食店が事業再構築補助金を申請するにあたって参考になります。
参考:和歌山県の「事業再構築補助金」(中小企業庁)採択事例ご紹介(和歌山県)
IT導入補助金
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者が事業課題を解決するために導入するITツールの費用を補助する制度です。飲食店の場合、POSレジやセルフオーダーシステム、請求システムといった人手不足や非対面化、業務の効率化のためのツールを導入する場合にIT導入補助金を利用できます。
IT導入補助金には通常枠、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠があり、IT導入補助金のウェブサイトによると飲食業に携わる中小企業・小規模事業者はどの枠でもIT導入補助金を申請できます。事業に必要なツールや金額に応じて申請枠を決めるとよいでしょう。
IT導入補助金のウェブサイトでは、何が助成の対象となるかなど、よくある質問への回答をまとめた資料が公開されています。また、同ウェブサイトにはコールセンターの情報が記載されているので、資料を参考にした上で、疑問点や困ったことがある場合には、コールセンターに問い合わせてみるとよいでしょう。
IT導入補助金については、「IT導入補助金の概要や申請の流れ・方法について解説」 記事も参考にしてください。
地方自治体の給付金・補助金制度
国の制度のほかにも、地方自治体ごとに飲食店が利用できる給付金・補助制度があります。ここでは東京都を例に飲食店が利用可能な給付金・補助金制度を紹介します。
東京都
飲食事業者の業態転換支援事業
飲食事業者の業態転換支援事業とは、新型コロナウイルス感染症の影響により、売り上げが大きく落ち込んだ都内の中小飲食業者を支援する制度です。飲食店が「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を新たに始めて、売り上げを確保しようとする場合に経費の一部が助成されます。
参考:飲食事業者の業態転換支援事業(東京都中小企業振興公社)
具体的に助成対象となる経費として、印刷物を作ったり広告を打ったりするための販売促進費、車両費、電子端末や梱包材といった器具備品費などが挙げられています。このほか宅配代行サービスの初期登録料や利用料なども対象になります。助成限度額は100万円で助成率は対象経費の5分の4以内です。
現在飲食店を営んでいる人の中にはすでにテイクアウトや宅配に取り組んでいる人もいるかもしれません。飲食事業者の業態転換支援事業に申請する際に注意したい点として、助成を受ける取り組みは、助成対象期間内(第28回の申請の場合は交付決定日から2023年12月31日までの最長3カ月間)に実施しなければいけない点があります。また、助成金額は売り上げ確保のための取り組みを申請し、取り組みの実施後に確定します。事業者は、申請、取り組みの実施、助成金の交付の順序に気をつけて、実行計画や資金計画を練る必要があります。
飲食事業者向け経営基盤強化支援事業
飲食事業者向け経営基盤強化支援事業とは、行動制限の緩和にともない、飲食事業を本格的に再開しようと検討している都内の飲食事業者を対象とした制度です。
参考:飲食事業者向け経営基盤強化支援事業 (東京都中小企業振興公社)
この制度は専門家派遣支援と助成金支援の二段階に分かれています。まず専門家派遣支援が行われ、東京都中小企業振興公社から飲食業界の専門家が飲食事業者に派遣され、現地調査や助言を行います。次に専門家の助言を受けて実行する飲食店の基盤強化のための経費の一部が助成されます。専門家による助言は無料で、専門家派遣支援を受けた事業者のみ助成金を申請できます。
助成対象は厨房機器の購入費、広告宣伝費、マーケティング調査費、システム導入費、厨房工事費などで、助成限度額は200万円で、助成率は3分の2です。
東京都の制度を例に挙げましたが、ほかの道府県に事業所があるという人も、類似の制度がある可能性があるので、それぞれの地方自治体での給付金・補助金制度を調べてください。また、事業所のある地域を管轄する商工会議所に事業の現状に合う給付金・補助金制度がないか問い合わせてみてもよいでしょう。
飲食店の経営・業務を支えるSquareのサービス
ここまでで飲食店が利用できる国や地方自治体の給付金・補助金制度を紹介してきました。業務効率化に取り組みたい、新事業に挑戦してみたいという経営者にオススメなのが、決済代行会社のSquareです。ここでは、飲食店での利用を前提にSquareのサービスの特徴を紹介します。
無料アカウントでさまざまなサービスを活用
Squareのアカウントは無料で簡単に作成できます。オンライン上のフォームに必要な情報を入力するだけです。キャッシュレス決済の導入には審査を受ける必要はありますが、審査が通れば最短当日から一部のキャッシュレス決済を利用できます。多機能ながらシンプルなSquare POSレジでは、売上管理だけでなく、顧客管理やスタッフの勤怠管理といった機能も活用できます。Square POSレジのほかに、ネットショップを開設できるSquare オンラインビジネス、オンラインで請求書を発行・管理できるSquare 請求書も無料で利用できます。Squareのサービスを利用する際にかかる費用は決済手数料だけです(※)。
※ 一部有料機能があります。
決済端末で店舗にキャッシュレス決済を導入
キャッシュレス化を進めたいものの、旧来のキャッシュレス決済の煩雑さからシステムの導入をためらっている飲食店の経営者もいるかもしれません。SquareはSquare ターミナル、Square リーダー、Square スタンドといった飲食店のニーズに合わせたさまざまな決済端末を提供しています。
Square POSレジと併せてこれらの決済端末を導入すれば、店舗でクレジットカードや、QRコード、電子マネーでの決済が可能になります。初期費用としては端末費用がかかりますが、利用にあたってかかる費用は決済手数料のみです。衛生面が重視される中、特に飲食店では業務の効率化も兼ねてキャッシュレス決済を導入したいところです。
情報を一元管理
飲食店ではともすると売り上げ、会計、在庫、オーダー、スタッフの勤怠といった情報がさまざまなシステムに散在してしまいがちです。小さな飲食店では専任のITスタッフを確保するのは難しく、業務の傍ら経営者や従業員がこれらの情報を管理することもあるでしょう。このような状況では業務でミスが発生したり、経営状況を見誤ったりしかねません。
Squareのサービスを使えば散在しがちな情報を無料で一元管理できます。情報が一元管理され、情報を必要としている人が適切にかつスムーズに情報にアクセスできるようになれば、業務が効率化され、迅速な経営状況の把握や経営改善にもつながります。
請求書をオンラインで発行・管理・決済
Square 請求書を使えば、いつでもどこでも簡単にオンラインで請求書を発行できます。発行した請求書に対する支払い情報はリアルタイムで把握でき、支払いのリマインダーを送ることもできます。請求業務にかかる時間を短縮できるだけでなく、インボイス制度に対応する負担も軽減します(※)。
Square 請求書では、無料で無制限に請求書を作成・送信できます。送信先の上限数もありません。有料プランとしてより高機能な機能を備えた有料プランも提供しています。
※インボイス制度について詳しくはこちらをご確認ください。
大手会計ソフトウェアとの連携
飲食店の経営者の中には会計業務が悩みの種という人もいることでしょう。Squareは会計ソフトfreeeまたはマネーフォワードと連携できます。売り上げデータをSquareから会計ソフトに取り込めるので、会計ソフトにデータを入力し直す必要はありません。日々の帳簿作成業務を一部でも自動化できれば、人手によるミスや心理的な負担を減らせます。年度末の税務・会計処理に対する抵抗感も少なくなるでしょう。
無料で簡単にネットショップを開設
Square オンラインビジネスを使えば無料で簡単にネットショップを開設できます。ネットショップなら24時間365日、いつでも注文を受け付けられます。ネットショップを開設できれば、店舗でお客様に食事を提供するという従来の飲食店のビジネスから発想を広げられます。
店舗で人気の料理を家庭でも調理できるように、ネットショップで材料をまとめて調理キットとして販売してもよいかもしれません。このほか、Square オンラインビジネスではテイクアウト・デリバリーの注文と支払いを受け付けることもできます。
速くてシンプルな資金調達
Square 資金調達(※)は、Square 加盟店が将来Squareで生み出す売り上げをあらかじめ譲渡することで、前払いとして資金調達を受ける仕組みです。最初に提示される固定手数料以外に追加のお金は一切かかりません。
※Square 資金調達は、Squareをすでに利用しており、かつ所定の条件を満たしているSquare 加盟店が対象です。
Squareから資金調達のご案内を受けとった加盟店は、提示されている資金調達可能額を上限にご自身で資金調達額を選択し、申し込むことができます。場合によっては追加で情報提出が必要なことがありますが、申込自体はオンラインで完結し、面接は不要です。審査は最短即日、最大3営業日で完了します。申込が承認された場合、最短で審査完了の翌営業日にはSquareに登録している銀行口座に入金されます。
資金調達をしたあとは、Squareでの売り上げから一定の割合が自動的に差し引かれます。売り上げが伸びている日は多めに、そうでない日は少なめに差し引かれ、売り上げがない日には差し引かれません。そのため、ビジネスへの影響を最小限に抑えることができます。
本記事では飲食店が利用できる国や自治体の給付金・補助金制度を紹介し、飲食店での利用を前提にSquareのサービスのメリットを紹介しました。新型コロナウイルス感染症の影響で、飲食業界は大きな変化と痛みを強いられましたが、これは業態や業務を改革するチャンスでもあります。本記事で紹介した制度やSquareのサービスを検討して、業務の立て直しとその先の事業の成長を目指しましょう。
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執筆は2022年12月6日時点の情報を参照しています。2024年3月1日に記事の一部を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash