QRコード決済は、ここ数年で都市部を中心に導入店が増えている決済手段です。株式会社インフキュリオンが2024年4月に行った「決済動向調査」1によると、QRコード決済アプリの利用率は68%と半数を超えていることがわかります。このような状況に対応するため、店舗運営者としてはQRコード決済を導入したいところですが、気になるのは導入にかかる費用です。
ここでは、QRコード決済の仕組みや手数料、決済サービスごとの違いのほか、コストを安く抑える方法を解説します。
目次
- QRコード決済の仕組みと普及状況
- QRコード決済の手数料
・初期費用
・決済手数料
・振込手数料 - 各QRコード決済の違いと手数料の比較
・PayPay
・d払い
・楽天ペイ
・au PAY
・メルペイ
・Alipay
・WeChat Pay - 手数料を抑える方法
・決済代行会社を利用する - コストを抑えてQRコード決済を導入するならSquare
- QRコード決済を導入するメリット
QRコード決済の仕組みと普及状況
QRコード決済とは、バーコード決済とも呼ばれる、QRコードやバーコードを用いた決済方法です。現金が不要のキャッシュレス決済のためレジ処理が簡単なだけでなく、非接触で衛生的でもあります。
QRコード決済には、お客さまのスマートフォンにインストールされている専用のアプリケーションが必要です。読み取り方法は2種類あり、お客さまのスマートフォンに表示されたQRコードを店舗側の端末で読み込む「ストアスキャン式」と、店舗側で用意しているQRコードをお客さまのスマートフォンで読み込む「ユーザースキャン式」があります。
日本におけるQRコード決済は、2018年頃から広がり始めました。たとえば、2018年10月に始まったQRコード決済サービス「PayPay」は、2019年8月に登録者数が1,000万人を突破しました。そして、同年11月に2,000万人を超え、2024年8月時点では登録者数が6,500万人となっています2。また、登録者数の増加に伴い、利用できる場所の数も2023年3月時点で235万カ所を超えるまでになっています2。
QRコード決済の手数料
消費者に広く受け入れられているQRコード決済ですが、店舗がQRコード決済を導入するためには、費用がかかります。導入にかかる費用としては、初期費用、決済手数料、振込手数料の主に三つです。それぞれ、どのような内容かを見ていきましょう。
初期費用
「入会金」のような初期費用は無料、または条件つきや期間限定の無料キャンペーンを行っている決済サービスが多いため、ほとんどの場合は必要ありません。また、機材の面でも、ユーザースキャン式は、店舗に設置するQRコードも無料で提供されます。しかし、ストアスキャン式の場合は、QRコードを読みとれるスマートフォンやタブレットなどの端末が必要です。決済サービスの中には専用の読み取り端末を用意している場合もあり、端末が無料か有料かはサービスによります。
なお、ストアスキャン式の場合は、Wi-Fiなどの通信環境が必要です。もし、通信環境がなければ導入費用が必要ですし、毎月の通信費用もかかります。
決済手数料
QRコード決済も、クレジットカード決済と同じように、商品などが売れて決済が行われた場合に決済手数料がかかります。決済手数料の割合は決済サービスによって異なります。QRコード決済が普及し始めた最初の数年は決済手数料を無料に設定しているサービスが多かったですが、2021年10月頃に有料化の方向に切り替え、現在では1%から3%程度の手数料がかかります。
振込手数料
QRコード決済では、売り上げから決済手数料を引いた金額が登録した口座に振り込まれます。この振込の際に必要なのが、振込手数料です。振込手数料は、決済サービスが指定した金融機関の口座だと無料になることもありますが、基本的にランニングコストとして考えたほうがよいでしょう。
また、「指定口座以外を利用する」「通常サイクルより早い入金を希望する」などの場合、別途手数料がかかることもあります。
各QRコード決済の違いと手数料の比較
QRコード決済サービスには多くの種類があるので、QRコード決済の導入にあたっては、利用者の利便性や店舗が負担する手数料などを考慮して、導入するサービスを選ぶのがおすすめです。ここでは、主なQRコード決済サービスの手数料と特徴について紹介します。
PayPay | d払い | 楽天ペイ | au Pay | |
---|---|---|---|---|
事業者 | PayPay | NTTドコモ | 楽天 | KDDI |
登録者数 | 6,500万人 (2024年8月時点) |
5,970万人 (2023年末時点) |
非公開 | 3,574万人 (2024年8月時点) |
初期費用 | 1,980円 ※1 | 無料 | 無料 | 無料 |
決済手数料 | 1.6% ※1 | 2.6%※2 | 2.95%〜 | 2.6%(税別) |
振込手数料 | 無料 | 入金額が1万円以上の場合無料 | 楽天銀行の場合無料 | 無料 |
メルペイ | Alipay | WeChat Pay | |
---|---|---|---|
事業者 | メルカリ | アリババ | テンセント |
登録者数 | 1,000万人以上 (2021年4月時点) |
10億人以上 (2019年時点) |
13億人以上 (2020年時点) |
初期費用 | 無料 | 無料 | 無料 |
決済手数料 | 2.6% | 決済代行会社による | 決済代行会社による |
振込手数料 | 入金額が1万円以上の場合無料 | 決済代行会社による | 決済代行会社による |
※1 月額利用料1,980円/店舗の「PayPayマイストアライトプラン」を利用する場合
※2 メルペイとの共通のQRコード決済を利用した場合
PayPay
PayPayは、2018年に行った大掛かりなキャッシュバックキャンペーンで注目を集めたQRコード決済サービスです。その後も毎月のようにキャンペーンなどを打ち出していますので、消費者への訴求が強いサービスといえるでしょう。インフキュリオンの調査1でも、利用率が51%と他のサービスよりも高い数字が出ています。
d払い
d払いは、NTTドコモが提供しているQRコード決済サービスです。d払いを使うと通常よりもdポイントを多く貯める「二重ドリ」ができるケースもあるため、d払いを選ぶ消費者もいます。
楽天ペイ
楽天ペイは、大手ショッピングモールの楽天が提供しているQRコード決済サービスです。楽天ポイントを貯められたり、楽天カードからチャージするとポイント還元率が高くなったりするなど、楽天ユーザーには便利なサービスです。
au PAY
au PAYは、auが提供しているQRコード決済サービスです。通常の買い物でPontaポイントが貯まるほか、セブン-イレブンやローソンなどの対象店では、さらにポイントが貯まったり、クーポンがもらえたりなどのキャンペーンを行っています。
メルペイ
メルペイは、フリマアプリを提供しているメルカリのQRコード決済サービスです。メルカリを利用していれば、メルカリでの売上金をチャージできます。また、iD決済に対応しているので、利用範囲が広いのも特徴です。
Alipay
Alipayは、中国のアリババグループが提供するQRコード決済サービスです。中国ではシェア率トップとされており、中国からの観光客の利用が多い店舗では必須の決済手段といえます。また、中国のAlipayに加えて、香港のAlipay HK、韓国のKakaoPayやNaverPay、マレーシアのTouch’n Go eWalletなど、東南アジアを中心にさまざまな国で使われている決済方法に対応できるAlipay+(アリペイプラス)というサービスがあり、インバウンド需要が多い店舗におすすめです。
WeChat Pay
WeChat PayはメッセージアプリのWeChatが提供するQRコード決済サービスです。、Alipayと同様に中国で普及しており、店舗での決済だけでなく、お年玉や御祝儀を手軽に送金できる個人間送金機能がよく使われています。こちらも観光客が多い店舗では検討したい決済手段でしょう。
手数料を抑える方法
QRコード決済事業者のウェブサイトでは、期間限定で「初期費用・手数料が無料」になるキャンペーンが紹介されていることがあります。しかし、導入にあたっては、キャンペーンによるメリットだけでなく、キャンペーン期間終了後に発生する手数料の違いをチェックしましょう。QRコード決済にかかる手数料が増えると、それだけ利益が減ってしまうため、できる限り安く抑えたいところです。手数料を抑えるには、下記のような方法があります。
決済代行会社を利用する
決済代行会社は、QRコード決済の導入を希望する店舗とQRコード決済事業者のあいだに入り、手続きの代行などをする会社です。QRコード決済に加え、クレジットカード決済など多種の決済手段を一括で導入できます。QRコード決済事業者と直接契約をするよりも決済手数料が割高になる傾向がありますが、振込手数料といったその他の利用手数料を考慮すると、複数の決済事業者と契約をするより、決済代行会社1社に対して支払う方が包括的に見て安い場合があります。
コストを抑えてQRコード決済を導入するならSquare
決済代行会社Squareの場合、クレジットカード・QRコード・電子マネーによる決済を導入することができます。QRコードは、PayPay、楽天ペイ、d払い、メルペイ、Alipay+、Wechat Payの7種類に対応しています。
運用コストとしてかかる手数料は決済手数料のみで、振込手数料や早期振込手数料、月額利用料といった固定費はかからず、お客さまが利用した決済手段に関係なく売上代金は最短で翌営業日に振り込まれます。コストは決済手数料のみ、入金サイクルも一元化できる便利なサービスです。
QRコード決済を導入するメリット
QRコード決済の種類や各社の違い、手数料などについて説明してきました。「手数料をかけてまでQRコード決済を導入するメリットはあるのだろうか」と疑問に思う人もいることでしょう。
そのメリットはなんといってもお客さまを取り逃がさないことでしょう。冒頭でも触れた調査によれば、QRコード決済の利用率は68%。さらに59%がQRコード決済アプリの利用が増えたと答えています。また、QRコード決済を利用するのは日本のお客さまだけではありません。キャッシュレス決済比率が8割を超える中国では現金を持ち歩く習慣自体がなくなりつつあるといわれています。AlipayやWeChat Payは日常生活に欠かせないアプリであり、それが海外で入ったお店でも使えるのなら買い物もよりスムーズになるでしょう。
売上拡大のチャンスだと考えて、QRコード決済の導入を検討してみてはどうでしょうか。
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執筆は2022年2月7日時点の情報を参照しています。2024年9月25日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash