電子契約を賢く活用してコスト削減を手に入れよう

仕事で契約書などを交わす時、「案外時間がかかるな」と感じたことありませんか。実際に契約書など書類作成の業務は、時間と手間とコストがかかります。そんな書類作成業務を短縮したい経営者に、おすすめのシステムが「電子契約」です。

今回は電子契約についてメリットや注意点、話題の電子契約システムなどについて紹介します。

電子契約とは?

電子契約とは、インターネット上で電子文書を取り交わし、契約が締結されるまでの一連のシステムです。契約が締結した電子契約書は、企業のサーバーなどに電子契約書として保管されます。

2001年(平成13年)4月に「電子署名法」(正式名称は電子署名及び認証業務に関する法律)という法律が制定されました。この法律の制定により、今まで紙と手書きの署名と押印が必要だった書類が電子文書でも認められるようになり、徐々に普及し始めています。

参考:電子署名法の概要と認定制度について(法務省)

電子契約について、もう少し具体的に説明をします。

電子契約書をインターネット上で交わすためには 「電子署名(電子証明書)」と「タイムスタンプ」が必要です。電子署名とは紙の書類の署名または押印に当たるもの、タイムスタンプとは、電子文書がいつ交わされたかを記録するためのものです。

電子署名とタイムスタンプをそれぞれ使えるようにするためには、どちらも認証機関への届け出が必要です。電子署名では届け出をすると 「秘密鍵」と「公開鍵」 が交付されます。これを電子契約時に使用します。電子署名とタイムスタンプの使い方や技術の取得に自信がないという人のために、現在ではさまざまな電子契約システムが用意されています。

電子署名法が施行されて今年で18年、企業の電子契約は増えているのでしょうか。一般財団法人日本情報経済社会推進協会の調査によると2019年現在、企業の電子契約の普及率は約44%(複数の部門、一部の部門含む)、普及を検討している企業が約23%となっています。2020年以降、電子契約はますます増えると予測されます。

参考:IT-Report 2019 Spring(一般財団法人日本情報経済社会推進協会)

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電子契約と書面契約の違いとは

電子契約には興味があるものの、書面契約に慣れているとなかなか導入に踏み切れないかもしれません。ここからは電子契約と書面契約の違いを検証するとともに、電子契約のメリットについて紹介します。

契約書を紙で作成する書面契約は、紙代と印刷代がかかります。契約書が完成すると、相手側に郵便などで送って署名や押印をもらうので、郵送代が発生します。担当者が取りに行く場合は、交通費もかかります。所定の手続きを経て契約締結後は、その書類を数年間保存する必要があります。

保存期間の目安は人事・労務関係に関する書類は2年から5年、経理に関わる書類は7年から10年、会社法に関わる書類は5年から10年と保存期間が定められています。また収入印紙が必要なので、印紙税も発生します。さらに書面契約は、契約書を作成してから契約が締結するまでにおおよそ2週間から1カ月ほどの時間がかかることが予想されます。

契約書の種類が多いとコストとマンパワーは大きくなり、時間もかなりとられます。しかも書類は紛失する可能性もあり、保管には神経を使います。企業によっては紙の契約書がオフィス内では保管しきれず、倉庫を確保する必要も出てきます。そうなると、倉庫代が発生します。書面契約作成にかかる費用をまとめると「紙代」「印刷代」「郵送代」「交通費」「印紙税」「倉庫代」「人件費」などです。

一方の電子契約は、電子署名とタイムスタンプの認証手続きが終わっていれば書面契約に比べて時間と費用が節約できます。収入印紙を貼る必要もないので印紙税は発生せず、郵送代などもかかりません。契約書はサーバーやクラウドに保管をするので、倉庫代も不要です。

以上、電子契約のメリットをまとめると

・書類締結の時間が早い
・人件費や郵送代ほかコスト削減が大きい
・保管が楽で管理も容易

となります。

電子契約の注意点

書面契約に比べてメリットが大きいといえる電子契約ですが、いくつかの注意点もあります。ここからは、電子契約の注意点について検証します。

取引先と電子契約でやりとりを考えている場合、必ず事前に電子契約での取引ができるかどうかを確認します。理由は、書類の種類によっては法令で書面を交わすことが定められていたり、相手の承諾が必要なものがあったりします。電子契約での取引が不可、または承諾などが必要なケースとしては

・定期借地契約
・投資信託契約の約款
・労働条件通知書の交付
・訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引

などです。

取引先と電子契約が行なえる契約内容だったとしても、さらに確認が必要なケースがあります。それは取引き先が電子契約でのやりとりが初めての場合、利用するサービスの内容によっては相手側もそのサービスに加入する必要があるからです。取引先の理解が得られれば問題ありませんが、場合によっては相手側に費用の負担などが発生するので注意が必要です。

さらに電子署名やタイムスタンプには検証が可能な有効期限があります。

以上、電子契約の注意点をまとめると

・契約内容によっては電子契約が不可能のものがある
・取り引き先の理解が必要、利用するサービスによっては取り引き先もそのサービスに加入する必要があるため
・電子署名やタイムスタンプには有効期限がある

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おすすめの電子契約システム3選

ここからはおすすめの電子契約システムを三つ紹介します。

CLOUDSIGN(クラウドサイン)

クラウドサインは「日本の法律に特化した弁護士監修の電子契約サービス」がコンセプトのサービスです。契約締結のスピード化、コスト削減、コンプライアンスの強化が見込めます。現在電子契約を利用している企業の約8割がこのクラウドサインを利用しているのだとか。暗号化通信、保存ファイルの暗号化などセキュリティー面も万全です。お試しのフリープランもあるので気軽に利用できます。スタンダードプランは月1万円からです。

GMO電子契約サービスAgree

「締結から管理まで、クラウドでかんたんに」がコンセプトのGMO電子契約サービスAgreeは、使い方が比較的簡単ながら上場企業の利用も多い電子契約システムです。大きな特長としては取引先の負担が必要ない点です。メールアドレスによる署名のため、取引先の電子証明書の取得が必要なく、相手方への負担は軽減されます。月10契約まで無料の、お試しフリープランもあります。

BtoBプラットホーム 契約書

「契約業務を楽々、スピーディーにする」がコンセプトの「BtoBプラットフォーム 契約書」。最大の特徴は、締結した契約情報をデータ改ざん耐性に強いブロックチェーンに記録することです。また対応しているサービスの幅が広く、見積もりから請求まですべての商取引が電子化できるのだとか。無料で試せるフリープランもあります。電子契約に加えて電子保管ができるゴールドプランもあります。

電子契約を上手に活用すればコスト削減のみならず、膨大な紙の書類もクラウド上で保管できます。紙の書類は紛失の危険や、災害などで書類自体がダメージを受けるケースも考えられます。リスク分散のために紙の書類を電子化してクラウド上で保管することは、危機管理にも対応できます。しメリットの多い電子契約システムを有効活用して、人件費などのコスト削減と浮いた時間をビジネスチャンスに生かしませんか。

執筆は2019年10月10日時点の情報を参照しています。
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