臨床心理士の職域と独立について

仕事によるストレス、災害や事故の影響によるPTSDなど、メンタルヘルスの問題を抱えている人は少なくありません。そのような中で、臨床心理士は心の問題と向き合うための専門的な知識と技術を持つプロフェッショナルとして活躍の場を広げています。

臨床心理士を含め、カウンセリングや心理療法などを扱う職業は多く存在しています。臨床心理士は民間資格で、指定された大学院を卒業した人など、特定の受験資格を取得しなければ受験することができません。臨床心理士になるためには、専門性の高い教育を受け、専門の知識や技術を身に着けなければならないので、難易度の高い資格といえます。

今回は臨床心理士の職域と独立について説明します。

目次



臨床心理士の専門業務とは

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臨床心理士には次の四つの専門業務があります。

臨床心理査定(心理アセスメント)
相談依頼者(クライアント)の状態を理解するために、心理テストなどを用いた心理査定により、心の問題で悩む人をどのようにサポートするかを考察します。望ましいサポートの手段を導きだし、他の専門家とともに検討することが臨床心理士の専門行為とされています。

臨床心理面接(心理カウンセリング)
相談依頼者のそれぞれの心の問題に対応した臨床心理的技法を用いて、心の支援をします。臨床心理面接は、臨床心理士の仕事の中心ともなる専門的行為といえます。精神分析や夢分析、臨床動作法、行動療法、箱庭療法、ゲシュタルト療法などさまざまな心理療法が用いられ、それらの専門的な知識や技術が求められます。

臨床心理的地域援助
近年はいじめやハラスメントなど、学校や企業での問題などに対応すべくスクールカウンセラーや産業カウンセラーなどが注目されています。個人だけでなく学校や職場などのコミュニティで、心理的サポートをすることも臨床心理士の専門性を活かした専門行為であるといえます。

上記に関する調査・研究
精神的分野の研究は医師だけでなく、臨床心理士の専門でもあります。心理療法の事例検討や臨床心理研究などは、臨床心理士の専門性の維持や向上にも重要な専門業務です。

臨床心理士の職域とは

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臨床心理士の活動領域は広く、多岐に渡りますが、主な分野としては次のものが挙げられます。

教育分野
スクールカウンセラーなど、学校内での問題など児童や学生が抱える心理的な問題に対してサポートを行います。学校内の相談室や、教育相談機関などで活動をしています。

医療・保健分野
病院や診療所に来る、心の疾患を抱えている人に心理アセスメントや心理カウンセリングなどを行い、適切なサポートをします。また市区町村の保健センターや精神保健福祉センターなどで、心の問題に悩む人の相談にのる業務も行っています。

福祉分野
児童相談所や療育施設、障害者作業所などにて、子どもや障害児・者をめぐる問題に対して臨床心理学的側面からサポート業務を行っています。DV被害者や高齢者、障害者、子どもへの虐待に関する問題も扱います。

司法・矯正分野
家庭裁判所や少年鑑別所、刑務所、保護観察所などにて、矯正や社会適応に向けての取り組みをサポートしています。心理カウンセリングにて個々の問題に向き合い、社会適合や再犯防止に取り組む活動が挙げられます。

労働/産業分野
メンタルヘルスの向上のため、企業内に相談窓口を設けている企業も増えてきています。職場内外での臨床心理的サポートやコンサルテーションまで臨床心理士の活動範囲は多岐にわたります。

臨床心理士が独立するためには

臨床心理士が活躍する職域は多岐にわたりますが、実際にどのように働いているのでしょうか。日本臨床心理士会が行った調査によれば、臨床心理士の働き方として最も多いものが、病院や診療所での勤務です。また、スクールカウンセラーなどとして自治体から教育現場に派遣されている臨床心理士も多いようです。そんな中、民間の心理相談機関を開設し、独立して活動をしている臨床心理士もいます。

臨床心理士といっても、分野が多岐にわたることから専門性をきわめて売りにすることもできます。独立するまでには経験を積む中で、自分の得意分野・専門分野を作り、専門性や信頼性を高めていくことが独立へとつながっていきます。

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臨床心理士として独立するにはどんな準備が必要

臨床心理士として独立する際に必要な手続きは、税務署への開業届のみとなります。確定申告で青色申告書を使用する場合や雇用を予定している場合は、青色申告の届け出と「給与費払い事務所等の開設届出書」も併せて提出します。

開業に必要なこと

カウンセリングルームの設置
臨床心理士として開業するためには、面談を行う場所が必要です。心理療法によって設備は異なるものの、プライバシーが保てる空間は欠かせません。部屋を借りると経費がかさんでしまうため、軌道にのるまではカウンセリングルーム用に部屋を用意せずに、自宅の一室やレンタルスペース、訪問などのかたち、開業することを検討してもいいでしょう。

集客方法
臨床心理士が病院や保健施設などに所属し勤務をしている場合には、自ら集客を行うことは少ないかもしれませんが、独立後は集客についても検討しなければなりません。現代はインターネットを通して集客ができるため、ホームページやブログなどが活用できます。いずれも無料で開設できるものも多いので、初期費用を抑えることが可能です。外注もできますが、まめに更新をしている方が集客につながるため、ある程度は自分でできるようにすると長期的に見た場合にコストパフォーマンスが良いといえます。

セッションの価格設定
独立・開業をしているカウンセラーや臨床心理士も多く、価格やサービスで差別化を図る必要もあります。自分の想定しているセッションの流れや必要な時間を考慮して価格を決定しましょう。

決済方法
支払い方法としてまず想定するのが現金での支払いかもしれません。しかし、手持ちの現金が足りない場合や高額の支払いになる場合を想定して、クレジットカードQRコード電子マネーでの決済ができると相談者の満足度を高めることが期待できます。個人で開業している場合、クレジットカード決済を導入するのは難しいように感じる人も多いのではないでしょうか。

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執筆は2019年1月11日時点の情報を参照しています。2022年9月1日に記事の一部情報を更新しました。 当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。 Photography provided by,Unsplash