時間や人員に余裕のない個人事業主や中小企業にとって、事務作業にかかる手間や時間は最小限に抑えたいもの。なかでも請求書に関する業務はその筆頭でしょう。
請求書のミスはトラブルにもつながるため、発行や送付、管理には細心の注意が求められます。事業が成長して取引の数が増えるほど、作業の負荷が大きくなったと感じる経営者も多いのではないでしょうか。
しかし、クラウド請求書を使えば請求業務にかかる工程を大幅に短縮でき、浮いたリソースや時間を事業の成長に充てられるようになります。パソコンやタブレットとインターネット環境があればすぐに使うことができ、専用のサーバーやソフトウェアなどは必要ありません。
今回は、そんなクラウド請求書を使うメリットや、請求書作成サービスを選ぶ際に注目すべきポイントを押さえたうえで、おすすめの無料サービスを四つ紹介します。
目次
- クラウド請求書とは
・クラウド請求書発行システムとは
・クラウド請求書発行システムの主な機能 - クラウド請求書発行システムを導入する3つのメリット
・1.コストの削減
・2.ミスの削減
・3.業務の自動化 - クラウド請求書サービスを選ぶ際のポイント
・発行枚数に制限はあるか
・支払状況は確認しやすいか
・どのように支払いを受け付けたいか
・インボイス制度に対応しているか
・実店舗の売り上げと一元管理できるか
・サポート体制は整っているか - 無料なのに高機能!制限なしに請求書を発行できるサービス厳選4選
・Square 請求書
・Zoho Invoice
・INVOY
・MakeLeaps
クラウド請求書とは
クラウド請求書とは、オンライン上で請求書の作成や発行ができるサービスを指します。データはすべてインターネット上に保管されるため、「特定のパソコンでないと請求書を作れない」ということはありません。
つまり、クラウド請求書を使えば、いつでもどこからでも請求書の作成や発行、送付ができるのです。
クラウド請求書発行システムとは
クラウド請求書システムとは、請求書や見積書の発行・送付・管理をクラウド環境で行える専用のシステムです。利用方法は簡単で、インターネットブラウザでシステムを開き、アカウントを作成するだけ。特別なソフトウェアをインストールする必要はなく、インターネットにつながってさえいればスマートフォンやタブレットなどからも利用できます。
クラウド請求書発行システムの主な機能
クラウド請求書発行システムの大きな特徴は、請求書に関するすべての作業をワンストップで行える点です。主な機能は次のとおりです。
- 取引先情報の登録・管理
- 請求書の予約および定期送信
- 発行・送付履歴の管理
- 支払い状況の追跡・管理
- 売上管理・分析
- クラウド会計システムとの連携
クラウド請求書発行システムを導入する3つのメリット
クラウド請求書発行システムを導入すれば、業務効率が大幅に上がります。特に注目したいのは次の三つの効果です。
1. コストの削減
請求書に関するあらゆる作業を1カ所で行うと、各工程間の連携がスムーズになり、時間を大幅に短縮できます。それだけでなく、決まった取引先に請求書を定期的に発行する作業を自動化できるため、その工数自体の削減が可能です。また請求書の検索や並べ替えも簡単で、必要に応じてすぐさま確認できるため、紙やファイルを探し回る手間もなくなります。
ほかにも注目したいのが、物理的な費用の削減です。メールやクラウド請求書発行システム上で請求書を送付すれば、印刷および郵送コストはゼロに。紙での送付が必要な場合は、郵送代行機能のついたサービスを使えば、封筒や用紙、プリンターといった備品を準備する必要はありません。
2. ミスの軽減
クラウド請求書発行システムの機能は、手作業によるミスを防ぐのにも大いに役立ちます。たとえば定期送信機能を使って、事前に登録した情報をもとに請求書を自動で発行・送付すれば、毎回の請求内容に間違いは起こりません。
また、請求業務やその周辺業務でミスが起きる可能性はシンプルな管理によって回避できます。クラウド請求書発行システムなら、請求書のステータスがすべて可視化されるため、発行および送付漏れを未然に防げます。それだけでなく、発行済みの請求書を紛失する心配もありません。
3. 業務の自動化
クラウド請求書発行システムでは支払い状況を一覧でき、未払いの請求書をすぐさま判別できるため、状況把握に時間がかかりません。また、取引先に支払い期限の前、当日、あとに自動リマインダーを送信して支払い漏れを防ぐこともできます。
さらに、支払い完了と同時にメール通知が届くよう設定すれば、入金状況の確認作業も必要ありません。それだけでなく、会計システムと連携させると請求書の数字が帳簿に自動反映されるため、転記の手間や時間も省けます。
クラウド請求書サービスを選ぶ際のポイント
クラウド請求書発行システムのなかには無料で使えるサービスが少なくありません。導入ハードルが低い一方で、注意したいのがさまざまな制限です。そこで、最適なサービスを選ぶために見るべきポイントを五つ解説します。
発行枚数に制限はあるか
多くのサービスには無料プランと有料プランがありますが、その違いの一つが請求書の発行枚数です。無料で使える範囲で、自身のビジネスに必要な発行枚数を満たしているかどうか確認しましょう。
支払状況は確認しやすいか
入金管理のしやすさも重要です。未払いや支払い済みなど、請求書ごとの入金ステータスを一覧できるサービスなら、支払い漏れなどにもすぐに対応できるので安心です。
どのように支払いを受け付けたいか
請求書の支払い方法というと、まず思いつくのが銀行振込かもしれません。最近は、クレジットカード決済機能のついたクラウド請求書も登場しています。アメリカン・エキスプレス・インターナショナルが食品飲料卸・飲食サービス業を対象に実施した調査によると、購買や仕入れなどの支払いにクレジットカードを利用したいと答えた人は61%、代金回収時にクレジットカード決済を受け入れたい人は55%にのぼることがわかりました。
クレジットカード決済機能があるからといって、使い方が複雑というわけではありません。たとえばSquare 請求書なら、取引先は請求書内にあるリンクをクリックし、リンク先でカード情報を入力するだけ。入金も最短翌営業日と早いので請求側・支払い側ともにスムーズです。銀行振込の場合、期日までに入金があったかどうかの確認作業が発生しますが、Square 請求書のクレジットカード決済機能なら取引先が支払いを完了させたと同時にシステム上でステータスが自動更新され、入金状況を瞬時に把握できます。
インボイス制度に対応しているか
2023年10月以降、適格請求書発行事業者は、仕入税額控除を受けたい取引先に対して、必要事項を記載したインボイス(適格請求書または適格簡易請求書)を発行しなければなりません。さらに、発行したインボイスの写しを7年間保存することが義務づけられています。
取引先に迷惑をかけないためにも、抜け漏れのないインボイスの作成は重要です。そのため、クラウド請求書サービスを選ぶ際は、要件を満たした請求書をミスなく簡単に作成できること、そして保存の手間がかからない点を重視しましょう。
実店舗の売り上げと一元管理できるか
販売チャネルが複数ある場合は、一元化できるサービスを選びましょう。実店舗を経営している場合、対面決済と請求書ベースでの売り上げをまとめて管理できる機能があれば便利です。
たとえば前述のSquareでは、請求書に限らず、対面で利用できる決済端末や、ネットショップを作成できる機能も提供しています。これらを請求書機能とあわせて使えば、あらゆるチャネルの決済を一つの管理画面で確認できるようになり、売上情報の分散を防ぐと同時に業務の効率化が叶います。
サポート体制は整っているか
操作方法やシステムの動作について不明点や質問があるときに、すぐに連絡できる窓口があるのも重要です。電話やメール、チャットによるサポートが受けられるのかどうか、サポートに費用がかかるのかどうかはあらかじめ確認しておきたいところです。
無料なのに高機能!制限なしに請求書を発行できるサービス厳選4選
ここでは、無料プランでも請求書発行数が無制限のサービスを四つ集めました。どのサービスを導入するか迷っている場合は、ここで紹介したものから試してみるとよいでしょう。
Square 請求書
キャッシュレス決済サービスのSquareが提供するクラウド請求書サービスです。無料プランが充実しており、見積書作成やリマインダーの送信、請求書の定期送信、入金状況のリアルタイム確認などといった機能は有料プランでなくとも使えます。
大きな特徴は、クレジットカード決済機能がついた請求書を送れる点。取引先は受け取ったメールにあるリンクから、クレジットカード情報を入力して決済を完了できます(もちろん、請求書に口座情報を記載して銀行振込を依頼することも可能です)。
インボイス制度にも対応しているうえ、freeeやマネーフォワードなどクラウド会計ソフトとの連携も簡単です。詳しくは、Square 請求書のさまざまな機能についてまとめた記事も参考にしてください。
Zoho Invoice
Zohoは、企業向けのクラウドソフトウェアを提供しているインド発の企業です。「Zoho Invoice」は同社が展開する数あるサービスの一つで、クラウド請求書の発行が可能です。プランは無料プランしかありません。日本語、英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語など、多言語に対応しており、Zoho Signとの連携で取引先に電子署名を求めることもできます。
INVOY
INVOYは、FINUX株式会社が提供するクラウド請求書サービスです。税込5,000円以上の請求金額からクレジットカード決済に対応しているほか、受け取った請求書をカード払いにする機能もあります。利用には3%あるいは3,000円の手数料がかかりますが、カード払いを利用する場合、INVOYから3営業日以内に取引先の銀行口座に請求額が振り込まれます。料金プランは無料と有料の2種類ですが、どちらも請求書の発行枚数に制限はありません。
MakeLeaps
リコー(RICOH)グループのメイクリープス株式会社が提供するサービスで、国内で多くの企業に利用されています。無料プランのほか、事業規模によって複数の有料プランが用意されており、郵送にも対応しているのが特徴です。
無料プランでは請求書の発行枚数に制限はないものの、取引先が3社まで、ユーザー数が1名のみに限られます。取引先が3社以上ある事業や、複数ユーザーが利用する場合は有料プランを検討するといいでしょう。
人手不足の今、中小企業や個人事業が勝ち残る鍵の一つが事務作業の効率化です。クラウド請求書発行システムは簡単に導入できる割に、業務効率化に驚くほどの効果を発揮します。請求書業務のデジタル化に踏み出せていないのであれば、これを機に無料のクラウド請求書サービスをぜひ試してみてください。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2017年9月1日時点の情報を参照しています。2024年9月13日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。