飲食店の予約手数料とは?仕組み、メリット、注意点を解説

無断キャンセルは、多くの飲食店が直面する問題です。2021年の米・OpenTableが発表した調査によると、回答者の28%が過去1年間に予約をしたのにも関わらず、実際には店舗を利用していませんでした。予約をするのは人間だけではありません。人気の高いレストランや試食イベントでは、予約を確保するためにボット(自動化プログラム)が利用されることがあるようです。しかもその理由の大部分は転売目的です。

こうした問題を避けるために、キャンセル料を設定している飲食店もあります。一方で、キャンセル料の支払いを拒むお客さまがいたり、キャンセル料を請求したことでチャージバックが発生したりと、キャンセル料の回収にまつわる悩みを抱える飲食店も少なくありません。

解決策として、海外では予約時にお客さまに予約手数料を請求する仕組みが利用されはじめています。事前に料金が発生するため、無断キャンセルが発生する可能性が減る効果が期待できます。

ここでは、予約手数料の仕組みとそのメリット、および導入前に考慮すべき点について解説しています。

予約手数料とは

予約手数料とは、予約時にかかる手数料です。一般的には、グルメサイト経緯で飲食店に予約が入ったときに、飲食店は予約数に応じた予約手数料(送客手数料)を支払います。たとえば、ホットペッパーグルメののネット予約プラン(掲載料無料)では、1名につき150円(税抜)の予約手数料がかかります。この記事では、飲食店が支払う予約手数料ではなく、飲食店の利用者が支払う予約手数料(保証金)について取り上げます。

予約手数料(保証金)は予約時に請求され、通常は利用後の会計から差し引かれます。指定された期日(予約時間の24時間前など)までに予約がキャンセルされた場合、予約手数料の全額または一部を払い戻す店舗もあります。ただし、これらの手数料を払い戻し不可と明示している店舗もあります。合意の期日を過ぎて予約をキャンセルした場合、予約手数料は返金されません。

予約手数料(保証金)は、一律と変動のどちらでも設定できます。一律の場合、人数や時間帯を問わず、予約時に一定額が発生します。変動の場合、金額は人数や時間帯などの要因によって変動します。

たとえば、ニューヨーク市にある寿司レストラン「Kintsugi Omakase」は、保証金を1人あたり35ドルに設定しています。10席だけの高級レストランでは、無断キャンセルが発生すると売り上げに大きな影響が出ることから、周囲の飲食店と比べても高額な保証金を設定しているようです。

変動制の保証金は、需要や人数の多さに応じて調整できることが特徴です。変動制にする場合、レストラン業務全体を把握できる、Square レストランPOSレジのようなデータ主導のツールがあると理想的です。お店の業績をリアルタイムで確認できるため、必要に応じて手数料を調整できます。

予約手数料を導入するメリット

予約手数料は慎重に導入すれば、さまざまなメリットをもたらします。

無断キャンセルの抑制

予約手数料により、お客さまには事前に料金が発生するため、軽い気持ちでのキャンセルや直前のキャンセルを防げます。これにより、お客さまが予約通りに来店する可能性が高まり、仕入れや人員配置などの予測を立てやすくなります。

収益の安定

予約手数料は、無断キャンセルが発生した場合の損失を埋め、より安定した収益につながります。ピーク時に空席ができてしまうことによる経済的な損失を回避できるほか、資金計画、スタッフや食材の管理をより効果的に行えます。

顧客満足度の向上

予約によって席を確保すると、お客さまとスタッフの両方にとって飲食店での滞在がよりスムーズで快適なものになります。また、待ち時間を減らして客席の回転率を上げることで、サービスの中断を最小限に抑えられるため、お客さまの満足度も高まります。

予約手数料を導入する前に考慮すべき重要なポイント

予約手数料にはメリットがある一方で、デメリットや課題についても慎重に検討することが大切です。

お客さま側の抵抗感

お客さまのなかには、予約手数料を面倒で余計な出費だとみなす人もいるかもしれません。これは、お店へのネガティブな印象につながります。予約手数料が必要な経緯を予約ページで分かりやすく、明確に説明するなど、お客さまの理解を得る努力は欠かせません。

常連客への影響

予約手数料を導入することで、常連客からの信頼度に影響する可能性があります。予約手数料に抵抗を感じ、常連客が遠ざかることも考えられます。これを防ぐ方法の一つが、特典プログラムを導入し、一定のポイントを獲得したお客さまを予約手数料の対象外とすることです。Square ロイヤルティを利用すると、簡単に特典プログラムを設定し、特定の条件(来店回数、購入総額、購入した商品やカテゴリーなど)に基づいた特典をお客さまに提供できます。

ネガティブなレビューの可能性

サービスに満足しなかったお客さまが、SNSなどを通じて不満を訴えることがあります。ネガティブなレビューは見込み客を遠ざけかねません。予約手数料を導入する前に、オンラインでの店舗のレビューを管理できる態勢を整えておきましょう。たとえば、予約手数料に関するネガティブなレビューに速やかに対応することで、見込み客がネガティブな先入観を持つことを防げます。

飲食店に予約手数料を導入する方法

1.予約手数料の種類と金額を決定する

飲食店の特性、ピークタイム、お客さまの期待値を考慮に入れます。人気店では、ピークの時間帯に予約が殺到することが珍しくありません。大人数が参加するパーティーや特別なイベントの開催、個室の予約など、特定の状況での予約に、予約手数料をお願いする方法も考えられます。

人数や時間帯などの要因に基づいて、一律料金または変動料金のどちらが適しているかを判断します。また、無断キャンセルを防止しつつお客さまの満足度も維持できる、バランスの取れた金額にすることも重要です。たとえば、売上データの分析を活用することで、平均単価を把握できるため、予約金についてより適切な判断を下せます。

2.予約手数料の回収方法を考える

予約手数料の支払い方法が面倒だと、予約を途中でやめてしまうお客さまが出てくるかもしれません。予約が入るたびに、振込先の口座情報を口頭やメールで伝えることになると、飲食店の負担も増えます。おすすめなのは、決済機能のついた予約システムを使うことです。たとえば、予約システムのSquare 予約なら、無料で事前決済に対応した予約ページを作成できます。

3.予約手数料に関するポリシーをお客さまに伝える

予約手数料の導入を成功させるには、透明性の高いコミュニケーションが不可欠です。お客さまの理解を得られるよう、さまざまなチャネルを通じてポリシーについて知らせましょう。お店のウェブサイト、予約ページ、SNSを活用して、予約手数料について丁寧に説明しましょう。

4.お客さまの意見を聞き、ポリシーを調整する

予約手数料は、導入したらそれで終わりではありません。SNSなどのツールを活用して、お客さまの意見に積極的に耳を傾け、感想や体験を分析しましょう。それらの意見を参考にすることで、予約手数料に関するポリシーを改善・調整できます。

予約管理はSquare 予約で

Squareの予約管理は無料から導入でき、事前決済はもちろん、有料プランの場合はキャンセル料も取れるので、ノーショウ対策もできます。専用アプリでも、お使いのブラウザでも、場所を問わず、どこでも予約の状況を確認、調整できます。

予約手数料や保証金は無断キャンセルを減らし、収益の安定性を高め、レストランでの全体的な体験を向上させるのに役立ちます。ただし、予約手数料の導入を決定する際には、お店独自の環境や、顧客基盤、最優先すべき目標を十分に理解しておく必要があります。導入する準備ができたら、Square レストランPOSレジやSquare 予約といった目的に合ったツールを選択しましょう。


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2024年3月14日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash