Tokyo Comedy Bar | Square 導入事例

Tokyo Comedy Barは、2022年5月のオープン当初からSquareを利用している、東京初のスタンドアップコメディバーだ。バーを経営しているのは、スタンドアップコメディアン、タレントとしての顔を持つ傍ら、ポッドキャストの企画・司会も務めるなど、マルチに活動しているBJ Fox(ビージェイ・フォックス)さん。過去にはゲーム会社などのカントリーマネージャーを務めた経験も持つ。ここではSquareの使い心地、インバウンド観光客の集客術、そして東京でスタンドアップコメディバーをはじめた理由を聞いてみた。

▼Tokyo Comedy Bar(東京コメディバー)について
Tokyo Comedy Barは2022年5月にオープンした東京初のスタンドアップコメディ(※)バー。渋谷駅のハチ公像から徒歩2分の場所にあり、クラフトビールやおつまみなどを片手にコメディを楽しむことができる。ゆりやんレトリィバァや村本大輔などの日本のお笑い芸人をはじめ、国内外のコメディアンが毎晩ライブをしている。全世界で利用されている旅行プラットフォーム、トリップアドバイザーの「東京での夜を盛り上げるアクティビティートップ10(2023)」では2位を獲得し、海外観光客からの人気を集めている。

※スタンドアップコメディ:欧米で主流のコメディショー。観客を前にマイクを片手に1人で笑いをとるのが基本的なスタイル。ところどころで観客とのやり取りを織り交ぜるところが特徴的だ。欧米ではスタンドアップコメディアンから俳優に転じたケースも少なくなく、エディー・マーフィーがその一例である。近年ではストリーミングサービスなどでさまざまなスタンドアップコメディ番組が配信されており、日本でも認知度が高まっている。

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▼使用しているSquareのプロダクト

※Tokyo Comedy Barでは第1世代を使用。現在は第2世代のみの販売となります。

▼Square 導入の経緯
キャッシュレス決済を受け付けるために、Squareを導入。助かっているのは、リアルタイムで売上状況がわかり、POSレジと決済端末のどちらも感覚的に操作できて、使い慣れるのに時間がかからないところである。

目次

スタンドアップコメディが人生を変えた

英国で生まれ育ったBJ Foxさん(以下、BJさん)がスタンドアップコメディに出合ったのは、転勤先のシンガポールだ。たまたま友達に誘われてライブに行ったところ、「僕にもできるかも」という衝動に駆られ、趣味として始めたのだという。

次の転勤で移り住んだ日本でも、せっかくはじめたスタンドアップコメディを続けたかった。ただ当時は2015年で、「スタンドアップコメディ」は日本ではまだ馴染みのない言葉だった。イベントの開催はごく稀だったが、まずは月に1、2回のペースでライブに出演した。徐々に物足りなさを感じはじめ、仲間と一緒にスタンドアップコメディのイベントを主催するようになった。下北沢や六本木をはじめ、都心にあるイングリッシュパブや貸切スペースを借り、イベントを催した。

BJさんが開催するコメディライブの9割は英語(1割は日本語)だったため、自然と英語が話せる観客が大半を占めるようになり、その頃うなぎ上りだった訪日観光客数もイベントの来場者数に大きく貢献した。2019年になると、開催頻度は週4、5回に増えていた。

「2019年は本当に忙しくて。ラグビーワールドカップが日本で開催されていましたし、安倍政権の観光政策は2020年までに年間4,000万人の訪日観光客数を目指していました。その影響もあって僕たちのイベントの客数も増えていきました。それにちょうどそのとき僕と友達のルーベンが、NHK Eテレで放送されている『バリバラ』のお笑いバトルでグランプリを優勝しました。物事がいい方向に進みはじめた1年でした」

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▲BJ Foxさん

東京でスタンドアップコメディをすることはメディアに躍り出るきっかけにもなった。たとえばコメディライブがNHKの社員の目にとまったことで、4シーズンにわたり、テレビドラマ『Home Sweet Tokyo』の主演と脚本を務めることになった。妻の父親と暮らすためにロンドンから日本に越してきた英国人の主夫を演じ、日本の暮らしに馴染もうとするなかで浮かぶ疑問をコミカルに投げかけた。

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▲『Home Sweet Tokyo』より

この番組を通してBJさん自身の知名度も高まり、自身の英会話ポッドキャスト「裏技英語」の配信を開始。2022年8月からはスピンオフ番組として、「外資系裏技英語-基本のKEY」がAmazon Musicで独占配信されるようになった。いずれも外資系企業での勤務経験を持つBJさんが、本当に役立つ英語のフレーズを紹介するという内容だ。

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▲BJ Foxさんのポッドキャスト『裏技英語

来日時にはゲーム会社でセールスとマーケティングのマネージャーを務めていたBJだが、いつしかマルチに活動する起業家兼スタンドアップコメディアンになっていた。

「僕にとってスタンドアップコメディは奇跡的な出会いでした。人生ががらりと変わりました」

コロナで活動が全て中止に

スタンドアップコメディも、BJさんのキャリアも盛り上がっていた頃に訪れたのが、新型コロナウイルス感染症の拡大だ。

スタンドアップコメディは休止せざるを得なくなり、しばらくはポッドキャストやゲーム会社のコンサルタント業務などに注力しながら、日々を過ごしていたという。

2022年に入ると、イベントがぽつぽつと開催されるようになった。ただ、以前の生活に戻ることにはBJさんも仲間もあまり乗り気ではなかった。

「僕には娘が生まれました。仲間の1人は、すでに都内を出て郊外に引っ越していました。以前のように週4、5回イベントを開催するのは現実的か?結構ハードだったしな、と思いはじめました。それでどうしようかと考えていたときに、自分のコメディバーをはじめたらどうかと思うようになりました」

こうして仲間4人と出資し合い、2022年5月に東京初のコメディバーが誕生した。

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「キャッシュレス決済を受け付けないという考えすら浮かばなかった」

場所は、渋谷駅北口にあるハチ公像から徒歩2分という絶好のロケーション。Tokyo Comedy Barは全世界で利用されている旅行サイト、トリップアドバイザーの「東京での夜を盛り上げるアクティビティートップ10(2023)」で2位を獲得している(※)ほど海外観光客には人気スポットでもある。

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※2023年7月時点

オープンに伴い導入したキャッシュレス決済サービスが、Squareだ。ドリンクやおつまみをバーで注文する際のキャッシュレス決済にはSquare リーダーを、入り口付近での当日券の販売にはSquare ターミナルを使用している。

コロナ禍の影響もあり、オープン時にはすでに都心でのキャッシュレス決済利用が定着してきていて、「キャッシュレス決済を受け付けないという考えすら浮かばなかった」とBJさんは話す。

実際にTokyo Comedy Barでは全体の48%がキャッシュレスで決済しているという。各ドリンクは500円から1,200円ほどとそこまで高くない価格でありながらも、キャッシュレス決済のほうが主流のようだ。補足すると観客のうち8割は外国人で、そのうちの半分は海外観光客だという。英語圏の観光客が多いのかと思いきや、カタールやサウジアラビア、メキシコ、スペイン、イタリア、ドイツ、ボリビア、フィリピンとさまざまで、国籍関係なく、「観光客のほとんどはキャッシュレスで支払います」とBJさん。

Squareなら今すぐキャッシュレス決済導入できる

カード決済、タッチ決済、電子マネー決済、QRコード決済が簡単に始められます

Squareを使い始めてから1年ほどが経つ。気に入っている点をいくつか聞いてみた。

「一番気に入っている機能は、決済状況がアプリからリアルタイムで見れるところです。いつでもアプリを開けばその日の売上状況が把握できるのは便利ですね。ただそのせいで、家にいても見ちゃうんです。妻によく注意されます(笑)」

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「それと見た目も気に入っています。飲食店とかに行くと、端末が4つくらい並んでいたりするじゃないですか。ちょっとごちゃごちゃした見た目になりますよね。Squareはそれと比べると1台で済む(※)ので本当にシンプルです」

※Squareでは、クレジットカード決済、電子マネー決済、交通系IC決済、QRコード決済をすべて一つの端末で受け付けることができます。

「あとセットアップって、結構時間がかかるかと思うじゃないですか。どこかでつまずきそうだなとか。僕は別に機械オタクでもなんでもないですが、端末のセットアップをするときこれといった問題はありませんでした。動画を見ながら簡単にできました。いじっていくだけで感覚的につかめてくるので、スタッフにも特にトレーニングはしていませんね」

「観光客のほとんどはキャッシュレスで支払いますね」

水際対策緩和以降、売り上げはオープン当初の約3倍に

コメディバーがオープンするまでには水際対策が緩和されているようにと願っていたものの、海外観光客の入国が解禁されたのはオープンから半年近くが経った2022年10月だった。いざ入国規制が大幅に緩和されると、訪日観光客数の伸びも手伝って、イベントもずいぶんと埋まるようになってきた。2022年10月にはすでに前々月の売り上げの約2倍までふくらみ、2023年3月にはその約3倍まで拡大していた。

大きく変化したところとして、営業日数がある。オープン当初は週5日お店を開けていたが、需要の高まりに応えて2023年初頭からは毎晩イベントを開催するようになった。「インバウンドには助けられましたね。1年ビジネスを続けたことで成長した部分もあると思います」とBJさん。

Tokyo Comedy Barに学ぶ、インバウンドの集客術

入国規制の緩和以降増え続ける訪日観光客をしっかりと集客し、売り上げを当初の3倍にまで拡大させたTokyo Comedy Bar。どんなインバウンド集客術を取り入れているのだろうか。

(1)海外旅行サイトへの掲載

BJさんが第一に行ったのは、トリップアドバイザーやAirbnbなどをはじめとする旅行サイトへの掲載だ。どのサイトからも店舗情報がわかるようにしているのはもちろん、イベントチケットの購入も各サイトからできるよう設定している。また、地図アプリとして圧倒的な人気を誇るGoogle マップの位置情報には公式サイトのリンクを貼り、チケット購入への導線を引いている。

目にとまったのは、各サイトでのレビューの評価の多さと、高さだ。トリップアドバイザーでは、161件のレビューがあるなか総合評価は5点中5点。Googleではそれを上回る232件のレビューがあるが、総合評価は5点中4.9点だ(※)。

※2023年7月27日時点

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「レビューを書いてもらえるよう、ライブのあとに積極的にお声がけしています」とBJさん。「楽しい時間を過ごしてもらえているんだと思います。お客様に喜んでもらえるよう接客は徹底していますし、ショーが終わるとコメディアンと話したりすることもできるので、『みんなとてもフレンドリーだった』という声はよくもらいます」

レビュー特典を設けているのかと聞くと設けていないとのこと。満足度の高さがレビューを残したくなる要因なのかもしれない。トリップアドバイザーの「東京のナイトライフを楽しむためのアクティビティートップ10(2023)」で2位を獲得できた(※)のも、評価の高さのおかげだという。

※2023年7月時点

(2)影響力のある団体などとのコラボレーション

2023年には客層をさらに広めるために、影響力のある団体などとのコラボレーションもはじめた。コラボする団体にもイベント情報を拡散してもらうことでリーチを広めるという試みだ。

「たとえば最近だとコト・ジャパニーズアカデミーという日本語学校の生徒とともに『日本語わからナイト』というイベントをはじめました。リーチを広げるためのコラボレーションでもありますが、彼らが日本や日本語に対して感じることが、在日外国人や在留外国人のツボとマッチすることもわかりました」

この取り組みはうれしいことに、客層を細分化し、それぞれの客層に合った笑いを提供するというTokyo Comedy Barのもう一つの試みにも貢献しているそうだ。

たとえば日本にはじめて来る観光客と日本で数年暮らしてきた外国人では、日本文化への理解度が違うため、笑える話題も変わってくるという。そこで19:30の枠は主に観光客向け、21時の枠は主に日本在住の外国人向けと大胆に振り切った。『日本語わからナイト』に出演するコメディアンは日本に住んでいる外国人が比較的多く、在日外国人や在留外国人との相性は特にいいようだ。そのほかにもハーフの人が経験するあるあるを取り上げる『ハーフ・タイム・ショー』やLGBTQ+のあるあるを笑いに変える『LGBTQ+ナイト』など、バラエティに富んだラインアップで幅広い層を楽しませている。このようにお客様のニーズを把握し、運営方法を柔軟に変えていくことはどんなビジネスにも欠かせないことだろう。

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(3)オフライン・オンラインの両方での宣伝

地道な作業にもしっかりと取り組む。たとえばビラ配りや、渋谷の観光案内所でのチラシの設置など、オンライン上だけでなく、実際に道行く人の目にとまる場所にも集客の種をまいている。もちろん公式のInstagramアカウントからも毎晩のようにイベントの告知投稿をしている。2022年4月にはじめて投稿をした公式アカウントのフォロワー数は、2023年7月時点で3,000を超えている。

このようにターゲットの細かな絞り込みとあわせて、多方面からアプローチすることで潜在顧客との接点を作っているそうだ。

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試行錯誤をしながらくぐり抜けた最初の1年。単発でイベントを開催していた従来のフォーマットから自店舗での開催に移行し、どのような手応えを感じているのだろうか。

「自分たちの店をはじめたことは、いろんな意味で正解だったと思っています。以前のように毎回会場が変わることもありませんし、仕事量でいうと、以前イベントを開催していたときとそこまで変わらないんじゃないかと思います。

お店があることで海外の著名コメディアンから『ライブしてもいいですか』とお声がけいただけるようにもなりました。以前までは連絡する宛がなかなかなかったと思うのですが、日本では僕たちが受け皿になれるようになりました」

Tokyo Comedy Barではアメリカで国民的な人気を誇る番組『アメリカズ・ゴット・タレント』などへの出演経験を持つアレックス・フーパーをはじめ、さまざまな海外の有名コメディアンが出演してきたが、BJさんがブッキングした人は1人もいなく、すべて向こうからの申し出をもとに実現したことだという。

海外のコメディアンからも「東京でスタンドアップコメディをするならここ!」と認識されつつあるTokyo Comedy Barが、次に目指すのはどんなことなのだろう。

「今は9割が英語のスタンドアップですが、本来は日本語とで半々ずつできたら理想です。日本人の観客をどのように集客していくかは、今模索している最中です」

日本語でのライブを見たいときは「マンスリー日本語ナイト」というイベントをチェックするといいそうだ。試しに夜をスタンドアップコメディで締めくくってみてはどうだろうか。

「一番気に入っている機能は、決済状況がアプリからリアルタイムで見れるところです。いつでもアプリを開けばその日の売上状況が把握できるのは便利です」ーBJ フォックスさま Stand-Up Tokyo合同会社 代表取締役

Squareが実現したこと

売上状況がいつでもリアルタイムで確認できる

Squareで受け付けた支払いはリアルタイムでデータ集計されるため、BJさんはバーにいないときもSquareのスマートフォンアプリから売上状況を確認することができています。

たったの1台でさまざまなキャッシュレス決済に対応できた

Tokyo Comedy Barがバーで提供しているドリンクは各500円から1,500円とそこまで高額ではありませんが、お客様の48%はキャッシュレス決済を利用しています。海外観光客に関しては、ほとんどがキャッシュレス決済を希望するそうです。BJさんはキャッシュレス決済方法ごとに端末を用意することを望んでおらず、1台でさまざまなキャッシュレス決済に対応できたのもうれしい点でした。

簡単にセットアップできた

Tokyo Comedy Barではオープンの1週間ほど前にSquareを導入しましたが、セットアップはすぐにできて、困ることはなかったといいます。感覚的に操作できるので、トレーニングにかかる時間を大幅に削減できているそうです。


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